香港発の代替肉スタートアップ企業グリーンマンデーが、代替豚肉に続いて代替魚に参入する。
グリーンマンデー傘下のフードテック部門であるオムニフーズが、植物ベースの代替シーフードの新しいラインナップを発表した。
「ビヨンドミート」のアジア版グリーンマンデー
グリーンマンデーはアジアを代表する香港の代替肉企業。これまでに中国、マカオ、イギリス、日本、シンガポール、タイ、オーストラリアなどに進出している。
主力製品はえんどう豆、大豆、米、しいたけをベースとするオムニポーク(OmniPork)。
商品名「オムニポーク」が示すとおり、「豚肉」の代替品に特化して、ひき肉、ランチョンミート(オムニランチョン)、細切り肉(オムニポークストライプ)などさまざまな商品を開発している。
レストラン、小売で展開するほか、上海とシンガポールにはプラントベース食品を扱うヴィーガンカフェ「GreenCommon」をオープンしている。
昨年の香港・マカオに続き、今年3月には中国主要都市のマクドナルドに導入されるなど、ビヨンドミートの「アジア版」ともいえる展開をみせている。
オムニシーフード、8-9月に小売で販売
今回発表された代替魚オムニシーフード(OmniSeafood)シリーズは、魚の切り身、バーガー、サーモン、缶詰ツナ、クラブケーキなど6製品。
オムニポークシリーズと同様、えんどう豆、大豆、米のタンパク質をベースに作られている。
記者会見でCEOのDavid Yeung氏は次のようにコメントしている。
「3年前にオムニポークを開発してから、プラントベースのシーフードをいつ開発するのか常に聞かれました。」(David Yeung氏)
オムニシーフードは香港のレストランに導入されたのち、8月または9月に小売で販売される予定。
これまでの代替豚肉の展開と同様、グリーンマンデーは香港でリリース後に海外展開を考えている。
対象国は、中国本土、東南アジア、オーストラリア、イギリスをあげており、今後数ヵ月のうちに海外進出することが予想される。
世界シーフードの2/3はアジアで消費
乱獲される魚資源の量は、1980年の13%から2017年には34%と2倍に増えている。
乱獲による個体数の減少によって、このままいくと、2048年には魚はいなくなると言われている。
特にアジアはシーフードの3分の2以上を消費しており、2017年のデータによると、1人当たりの年間魚介消費量は、中国が38.1kg、韓国が54.97kg、日本が45.4kgなどアジア圏が突出して多い。
Yeung氏は、シーフード需要の73%がアジアであることに触れ、アジア企業としてこの地域で需要の高い豚肉に続き、代替シーフードに取り組む必然性があることをコメントしている。
プラントベース食品全体では代替魚のシェアはまだ小さいものの、魚介消費量は過去50年間で4倍に増えており、GFIは代替シーフード市場には「空白」があるとしている。
こうした高まる魚介消費のニーズにこたえつつ、海洋を守る新たな手段として最近では、代替シーフードに取り組む企業の台頭が目立つ。
アメリカではGood Catch、Ocean Hugger Foods、Kuleana、New Wave Foodsなどが植物シーフードで市場に参入している。ヨーロッパではHooked、3Dプリンターを活用するRevo Foodsといった企業も登場している。
先日には培養魚を開発するFinless Foodsが植物マグロへの参入を発表した。
代替シーフード分野では植物性に限らず、細胞培養により培養魚を作る企業も登場している。
アメリカのBlueNalu、Cultured Decadence、香港のAvant Meat、シンガポールのShiok Meats、ドイツのBluu Biosciencesなどがいる。
こうした企業と比べ、グリーンマンデーの優位性はすでに幅広い販路を確立していることだろう。
これまでに10カ国以上に進出しており、今年になってからイギリス、アメリカを攻めるなど、進出が止まらない。
すでに確立してあるオムニポークの販路でオムニシーフードを販売すれば、一挙に市場へ投入していくと予想される。
代替シーフードにはネスレ、タイ・ユニオンなど大手企業も参入しており、市場の空白を狙って、競争が激化していくことは間違いない。
参考記事
関連記事
アイキャッチ画像の出典:グリーンマンデー