出典:Stockeld Dreamery
植物性チーズを開発するスウェーデンのStockeld Dreameryが先月23日、事業終了を発表した。
「世界で最も野心的なチーズを作ること」を目標に2019年に設立された同社は、創業から6年経て今年3月、アメリカ小売市場への進出を実現した。ニューヨークの著名なベーグル店「Ess-a-Bagel」をはじめ、アメリカ30州における500以上の店舗やレストランで取り扱いを拡大していた。
しかし、近年のプラントベース市場の減速、乳製品を購入する層への販売の難しさ、そして次の資金調達を正当化できるほどの勢いを示せないことから、同社は「責任あるかたちで事業を終了する」との決断を下したとブログで明らかにしている。

出典:Stockeld Dreamery
Stockeld Dreameryは発酵させたエンドウ豆やそら豆を原料にフェタチーズなどの植物性チーズを開発してきた。2021年5月には最初の代替チーズ「Stockeld Chunk」をスウェーデン国内の高級レストランやチーズ専門店で提供開始。
同年9月にはシリーズAラウンドで1650万ユーロ(当時約21億円)を調達し、翌年7月にはパイロット施設の稼働を開始した。その後、アメリカでの展開を強化し、代替クリームチーズやスライスチーズなどの製品を市場投入した(いずれも未開封で賞味期限は5か月)。
現在、同社は機器の売却、オフィスと研究所の閉鎖、在庫の販売を進めており、今後数ヵ月をかけてメニューや店頭から商品を撤去していく予定だという。知的財産の譲渡交渉も進めている。
米国で鈍化、欧州の一部では拡大する植物性チーズ市場

出典:Stockeld Dreamery
植物性チーズは、アメリカでは成長が鈍化する一方で、欧州の一部市場では急速に成長している。
GFI(Good Food Institute)によると、2024年のアメリカにおける植物性チーズは販売額・販売個数ともに数%減少したものの、減少率は2023年よりも緩やかだった。売上シェアは全体の約1%と依然小さいが、リピート率は48%(2023年)から54%(2024年)に上昇している。
一方で、GFI Europeは、イタリアの小売市場において植物性チーズが「最も成長著しいカテゴリ」だと報告している。イタリアではプラントベース食品の成長が好調で、2024年は前年比7.6%の成長、植物性チーズの売上高は過去1年で45%成長したという。

出典:Stockeld Dreamery
Stockeld Dreameryはスウェーデンからアメリカに事業の舞台を移していたため、事業終了の背景には同国市場および投資環境の影響が大きかったとみられる。
共同創業者のSorosh Tavakoli氏はAgFunderのインタビューで、アメリカにおける需要の弱さとカテゴリ全体の低成長を理由に挙げており、Green queenのインタビューでも、乳製品の消費者に自社製品を届けたかったが、ヴィーガンやアレルギー層以外の消費者は、代替製品を積極的に求めていないと指摘している。
アメリカにはViolife、Daiya、Miyoko’s Creameryなどの植物性チーズブランドがすでに存在し、市場シェア約1%の限られたカテゴリで、棚と試食機会を争う状況にあった。そのなかで、Stockeld Dreameryは「乳製品ユーザー」を主要ターゲットに、「乳製品の代替」としての立ち位置を貫いたと思われる。
一方、デンマークのスタートアップPlanetDairyが展開する「Audu」のように、動物性チーズの一部を植物性原料に置き換えたハイブリッド製品も市場には登場しており、乳製品ユーザーとの接点を残しながら段階的な移行を促す戦略も選択肢の一つとしてあり得た可能性がある。
Stockeld Dreameryの事業終了という事実は、「理解はしていても習慣を変えることが難しい」という消費者心理にどのように訴求していくか、という問いでもあるように感じる。
※本記事は、公式ブログ記事をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:Stockeld Dreamery




















































