代替プロテイン

ビーガンペットフードのWild Earthが約25億円を調達、来年に細胞培養ペットフード発売へ

 

ビーガンペットフードを販売する米Wild Earthが、シリーズAで2300万ドル(約25億円)を調達した。同社はこれに合わせ、2022年に細胞培養による牛肉、鶏肉、シーフードを含んだペットフードを発売予定であることを発表した

Wild EarthはIndioBioの共同創業者であるライアン・ベザンコート氏によって設立されたスタートアップ。カリフォルニア州バークレーとノースカロライナ州ダーラムを拠点とし、2017年に設立された。

Wild Earthは植物性成分を使ったビーガンペットフードを開発するパイオニア企業の1つとされる。小売、自社ECサイトでドッグフード、犬用おやつ、サプリメントを販売している。

出典:Wild Earth

主力製品のひとつである「Clean Protein Dog Food」は、酵母、ひよこ豆、オーツ麦、えんどう豆、さつまいもなどを原料としている。犬用おやつの「スーパーフード」は、麹を使った高品質な犬用おやつとされ、必要とされる必須アミノ酸をすべて含む。

いずれも、従来のペットフードよりも必要な資源が90%少ないサステイナブルなものとなっている。

Wild Earthはこれまで植物ベースのペットフードを展開してきたが、今後は培養肉を使った製品も開発していく。来年に細胞ベースの牛肉、鶏肉、シーフードを含むペットフードをリリースする予定。

「植物ベースのドッグフードとWild Earthの急成長により、収益は700%増加しました。これは、植物ベースの肉と乳製品業界の成長の2倍以上になります。

400億ドルのアメリカのペットフード市場を獲得し、ペットフード業界で2つの新しいカテゴリーを作り出せることを大変嬉しく思います」(共同創業者のライアン・ベザンコート氏)

ベザンコート氏によると、同社の顧客数は4万を超える。

Wild Earthは2022年に細胞ベースのペットフードを発売することについて「順調に進んでいる」とコメントしているが、小売やECなどどのルートで販売するのか、詳細は明らかにしていない。

ライアン・ベザンコート氏/代替タンパク質企業の多く出資している 出典:Wild Earth

ベザンコート氏は起業家であると同時に、多くの食品・バイオテックのスタートアップ企業を支援する個人投資家でもある。過去6年間で、Upside Foods(元メンフィスミーツ)、GeltorNotCoShiok MeatsVeggie Victoryなど120社を超える初期スタートアップを支援している。

2020年には、元Finless Foods(培養魚企業)のMariliis Holm氏とともに、エンジェルリスト初のローリングファンドとなるサステイナブル・フード・ベンチャー(SFV)を立ち上げた。SFVは、MeliBio(人工ハチミツ)、Hoxton Farms(培養油脂)、Evo Foods(代替卵)、Jellatech(代替コラーゲン)、Mogale Meat(培養肉)など、アーリーステージのスタートアップに出資している。

出典:Wild Earth

ビーガンペットフードを開発する試みはWild Earthだけではない。

Because Animalsは培養マウス肉を使ったキャットフードを発表した。同社は2022年までの市販化を目指している。Bond Pet Foodsは細胞農業によるペットフードを2023年に発売する予定。Omniは100%植物ベースのペットフードを開発している。

 

参考記事

Vegan Pet Food Pioneer Wild Earth Raises $23M, Announces Cell-Based Meat Products

Wild Earth Launches Cell-Based Pet Food As It Raises a Fresh $23 Million

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Wild Earth

関連記事

  1. Novameatがスペイン政府から約3100万円を調達、世界トッ…
  2. 培養肉生産用のアニマルフリーな血清を開発するMultus Med…
  3. 極限環境微生物で代替パーム油を開発するシンガポール企業Biteb…
  4. 菌糸体で代替ステーキ肉を開発する英Adamo Foodsが約2.…
  5. 【世界初】Shiok Meatsが試食会で培養カニ肉料理を発表
  6. スイスのPlanted、発酵技術を使用した植物性ステーキを欧州3…
  7. 培養ペットフードのBioCraft Pet Nutrition、…
  8. ビヨンドミートが代替ミルクにも参入か?ビヨンドミルクの商標を出願…

おすすめ記事

DICがスピルリナ由来ヘムを開発する米BYASに出資を発表

DICは、藻類由来製品の事業拡大のために米Back of the Yards A…

ニューヨーク発・シェフと消費者をつなぐCookUnity|パーソナライズされた定期デリバリー

コロナウイルスの発生で、外食の機会が減り、ウーバーイーツなどデリバリーを取る機会…

ドイツのMeatosys、農家の培養肉生産を可能にするモジュール型コンテナを開発

培養肉を広く供給するには、工業規模の工場が必要になるが、ドイツでは農場で培養肉生…

中国の培養肉企業Joes Future Food、パイロット工場建設のための資金を獲得

中国の培養肉企業Joes Future Food(周子未来)は先月、シリーズAラ…

話題のビーンレスコーヒーATOMO COFFEEを渋谷で飲んでみた|ATOMOの次の戦略

昨年8月、豆を使わないエスプレッソ粉「ATOMO COFFEE」が日本に初上陸し…

Apeel Sciences、鮮度を保てるプラスチックフリーなキュウリ、ウォルマートで販売開始|食品ロス問題の解決に

食品ロス問題に取り組む米スタートアップのApeel Sciencesは、Houwelingグループと…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(10/05 16:04時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(10/06 02:28時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/06 06:06時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/05 22:04時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(10/05 14:02時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(10/06 01:20時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP