代替プロテイン

Juicy Marblesが植物由来の骨付きリブ肉の開発に成功、今月より限定販売をスタート

 

スロベニアの代替肉企業Juicy Marblesは今月、骨付きの代替リブ肉を発表した。同社は、骨付きの代替リブ肉の開発は世界初の試みだと述べている。

この骨付きリブ肉は、骨も肉も植物タンパク質でできているため、骨まで食べることができる。大豆タンパク質、ヒマワリ油、レッドビートなどを原料に使用しており、今月28日より最初の500個が限定販売される。

The Guardianの報道によると、欧州・アメリカから販売され、一般販売は2024年初頭を予定している。Juicy Marblesは最初の限定販売でフィードバックを集め、製品のレシピ、名前、パッケージなどを調整する考えだという。

植物肉を食べて残った骨は、揚げたり焼いたりして食べたり、観葉植物の土に埋めたり、愛犬のおやつにしたりできる。約15分で用意できるJuicy Marblesのリブにより、時間のかかる調理プロセスをスキップすることができる

食用の骨を追加した理由

出典:Juicy Marbles

食べられる骨を追加した理由について、Juicy Marblesは自社のインスタグラムに下記のように投稿している

「(製造が)より簡単になるので、骨を追加しないことも検討しました。ですが、骨なしリブという概念について、どんなに努力しても、マーブル本社の誰もがしっくりこなかったのです。骨がなければ、ただの肉の塊です。骨は手を使わないといけません。骨はラック(肉)をいくつかの部分に分割します。忘れてはならないのは、「リブ」という名前は骨に由来していることです」。

「骨を使用すると決めた段階では、最初の目標は骨を堆肥化できるようにすることでした。しかし、タンパク質から開発してみると、食べられることが分かったのです。このことに気づいたのは(開発)プロセスの後半になってからでしたが、みんな賛成しました」。

試験販売を経て、スーパーと長期契約を締結

出典:Juicy Marbles

2019年に設立されたJuicy Marblesは、最初からホールカットの代替肉に焦点をあててきた。2021年には霜降りも再現した100%植物性のフィレミニヨンステーキの開発に成功。最近では菌類由来の代替脂肪の使用も検討している

昨年12月にはホールカットロースをイギリスで発売した。今年2月には、イギリスのスーパーWaitroseの精肉コーナーで期間限定でフィレミニヨンステーキを販売した。Waitroseでの限定販売は4日で在庫がなくなるという盛況ぶりで、この成功により、Juicy Marblesは今年6月、Waitroseと長期契約を締結している

骨付きリブ肉はフィレミニヨン、ロースに続く同社3つ目の製品となる。

「売上は右肩上がり」

出典:Juicy Marbles

アメリカでは植物肉の小売売上が前年比7.3%減に転じ、Nowadaysなど一部企業が事業停止を決断するなど、業界全体は苦戦を強いられている。こうした状況の中、Juicy Marblesは「新しい会社ですが、売上は右肩上がりです」と述べ、業績が好調であることをThe Guardianに明かしている

同社はさまざまな代替肉製品を開発し、味、価格、利便性の点で動物由来製品に匹敵し、最終的にはそれを超えることを使命としている。2030年までに食肉消費を半分に削減することを目指すJuicy Marblesの新しい製品が、消費者にどう評価され、受容されるのか、今後が注目される。

 

参考記事

New plant-based pork ribs to feature edible vegan bones

Juicy Marbles Unveils the World’s First Plant-Based Ribs with Edible Bones

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Juicy Marbles

 

関連記事

  1. 2023年精密発酵業界の全貌:認可企業の動向、2024年予測、C…
  2. MycorenaとRevo Foodsが3Dプリント用マイコプロ…
  3. 培養肉用の食用足場を開発する米Matrix Meatsがシードラ…
  4. Redefine Meatが70のレストランと新規パートナーシッ…
  5. Meati Foodsの菌糸体肉、全米のホールフーズ全店舗で発売…
  6. 米Wild Earth、2023年に細胞培養によるペットフード製…
  7. ビヨンドミートが代替鶏肉ビヨンドチキンテンダーを北米で発売
  8. モサミートがEUから助成金を授与、Nutrecoと共同で培地コス…

おすすめ記事

Fresh Insetがペルーで鮮度保持ソリューション「Vidre+」を登録

鮮度保持ソリューションVidre+を開発したポーランド企業Fresh Inset…

Kikka Sushiが米ホールフーズで植物性のビーガン寿司を発売

米大手スーパーチェーンのホールフーズと30年以上にわたって提携しているKikka…

細胞培養によるカキを開発するアメリカ企業Pearlita Foodsとは

細胞を培養して動物肉、魚肉を開発する企業が近年、増加している。培養肉の開発が進む…

ベルギー発のFishway、細胞培養で魚の鯛由来のバイオマスを開発—乳児用食品市場に注力

Fishway共同創業者のSam Van de Velde氏 オランダ、アムステルダムにて(2024…

MeaTech、3Dプリンターによる培養シーフードの開発でUmami Meatsと協業

バイオ3Dプリンターで培養肉を開発するイスラエルのMeaTechは、3Dプリンタ…

精密発酵のImagindairy、シードラウンドの資金調達を約35億円で完了

精密発酵で乳製品を開発するイスラエル企業Imagindairyは18日、シードラ…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(04/18 15:00時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(04/19 00:47時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(04/19 04:45時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(04/18 21:00時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(04/19 13:05時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(04/19 00:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP