出典:Solar Foods
味の素は今月27日、フィンランドのソーラーフーズが開発した代替タンパク質「ソレイン(Solein)」を使用したコーヒー飲料の限定販売を開始した。
同社がソレインを使用した製品を発売するのはこれが3回目(4製品目)。
ソレインは、二酸化炭素、電気、水素細菌という微生物から作られるタンパク質。二酸化炭素を使用して工場で生産されるソレインは、土地や水の使用量を抑え、持続可能なタンパク質として期待されている。
味の素は昨年、ソレインを使用した月餅、アイスクリームサンドを、今年3月にはアイスクリームをシンガポールで発売した。第一弾の月餅、アイスクリームサンドは期間限定だったが、アイスクリームは現在もフードトラックでポップアップ販売を継続している。
味の素がソレイン使用の第3弾商品・コーヒーを発売

出典:Atlr.72 インスタグラム
今回発売された飲料「GRe:en Drop Coffee」は、レギュラーコーヒー70%と豆不使用コーヒー30%をブレンドし、さらにソレインとオーツ麦飲料を組み合わせたクリームを使用している。
プレスリリースによれば、ソレインに植物油脂、水を加えて生成される「ソレインクリーム」は、コーヒーやアイスクリームなどで通常のクリームのように使える汎用素材であり、クリーミーな食感をもたらすと同時にタンパク質を強化できるメリットもあるという。
ソーラーフーズの最高販売責任者のJuan Benitez Garcia氏はプレスリリースで、「乳製品フリーのコーヒークリーマーの需要は増加しています。Atlr.72製品は乳製品や卵黄の代替としてだけでなく、栄養価の高いタンパク質原料として活用できるソレインの多様性を示すものです」と述べている。
本製品も、味の素が打ち出す地球に配慮した食材を採用する「Atlr.72(アトリエ・セブンツー)」ブランドとして販売され、シンガポールのOcean Financial Centerで10月27日から11月2日(日曜日を除く)まで期間限定で販売される(営業時間など詳細はこちらから)。
今後はさまざまな食品カテゴリーへの展開も予定している。
Preferの可溶性代替コーヒー粉末を採用
製品に使用された豆不使用コーヒーは、シンガポールのスタートアップPreferが開発したブレンド用途の可溶性代替コーヒー粉末。
米とひよこ豆を原料にした「PreferRoast」で従来のコーヒーを30%置き換えることで、製品全体の二酸化炭素排出量を25%削減できるとされる。食品製造の副産物を原料に独自の発酵・焙煎プロセスで開発された。
PreferはシンガポールのGoogleオフィスをはじめ、レストラン、カフェ、ホテル向けに広く提供されており、Foovoの調査では80店舗以上に導入されるなど、販路を着実に拡大している(2025年10月31日時点)。8月にはタイの味の素とも提携した。
今回の取り組みは、味の素がソレイン使用の“第3弾”商品を発売しただけでなく、スタートアップが開発した代替コーヒー粉末を製品に配合しており、2つの技術革新を組み合わせている点で重要な意味を持つ。
Factory 01、年産160トンのフル稼働が可能に

現在もシンガポールで販売されているソレイン配合アイスクリーム 出典:Atlr.72 インスタグラム
味の素とソーラーフーズは2023年5月に戦略的パートナーシップを締結。
ソーラーフーズは2022年秋にシンガポールで認可を取得、翌年、シンガポールのレストラン「Fico」でソレイン配合のアイスクリームを期間限定で販売した。2024年9月にはアメリカでGRAS自己認証を取得。先月にはソレイン配合のマヨネーズの開発を発表した。
今月には、昨年4月に稼働を開始したフィンランドの自社工場「Factory 01」が、年産160トンを生産するという設計上のフル稼働が可能になったことを発表。2026年には230トンへの拡張を計画している。年産160トンの「Factory 01」では、1日あたり300頭の乳牛が生み出す乳タンパク質と同等量のソレインを生産できる規模となる。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:Solar Foods






















































