出典:首相官邸
政府は24日、第2回日本成長戦略会議を首相官邸で開催し、2026年夏の成長戦略取りまとめに向け、フードテックを含む17の戦略分野と8つの分野横断的課題の検討体制を固めた。
高市早苗首相は各担当大臣に対し、対象領域を戦略的に絞り込んだうえで「官民投資ロードマップ」を策定するよう求めた。日本成長戦略本部の公式ページに、17の分野・8つの課題における検討体制の詳細がアップされていく見通しだ。
戦略分野はワーキンググループ(WG)などで検討し、分野横断的課題は8つの分科会で検討する。また、17分野の進捗管理を行う戦略分野分科会が新設され、2026年1月に初会合が予定されている。

17の戦略分野 Foovo作成
新設された「フードテックWG」は、鈴木憲和農林水産大臣がWG長を務め、7名の有識者および関係省庁で構成される。25日の第1回フードテックWG初会合では、議題を「現状と課題」「今後の進め方」とし、下部組織として①植物工場、②陸上養殖、③食品機械、④新規食品の4ユニットで検討を進めることが示された。来年4月~5月を目途に、官民投資ロードマップ(案)を策定する。
有識者にはUnlocXの岡田亜希子氏、Beyond Next Venturesの有馬暁澄氏などが含まれる。
同WGの資料によると「世界に打って出られる分野の勝ち筋を見極め、攻めの分野として戦略的に投資を進めていく」としている。その分野として指定されたのが、植物工場、陸上養殖、食品機械、新規食品の4分野だ。

出典:第1回フードテックWG 資料3
第1回フードテックWGの資料3によると、「新規食品」の例として想定されるのは、植物性食品、未利用食品の加工、アレルギー低減卵、栄養食/パーソナライズ食など。初回資料の記載範囲では、培養肉などの細胞性食品は例に含まれておらず、植物性食品・未利用資源を活用した食品・機能性を強化した食品などが前面に置かれていることがうかがえる。
同WGが同じく重点分野にかかげる「植物工場」については、日本のスタートアップが世界初のモジュールタイプの人工光型植物工場を開発するなど、日本には技術と経験があるとする一方で、人工光型植物工場の約9割がレタスと、事業化されている品目が限定されている現状を指摘。
先月10日に開催された第1回日本成長戦略会議では、植物工場でイチゴを生産し、アメリカで事業展開するOishii FarmのCEO、古賀大貴氏が民間ヒアリングとして登壇し、気候変動等で既存農業のコストが上がる中、植物工場は「影響を受けない」ことから「農業のかなりの部分がこれから植物工場に置き換わっていく」と述べた。
さらに「今後、100兆円産業になると言われている植物工場だが、施設園芸と工業の両方を持ち合わせている国は世界的に見ても日本しかない」とし、日本が優位に立てる産業だと述べ、長期・大型の投資支援を政府側に呼びかけた。
鈴木大臣も同日、植物工場などフードテックへの投資が「近い将来日本の『稼ぐ力』に必ずなる」と述べ、政府として産業化を後押しする考えを示した。
政府全体としてフードテックを成長戦略に位置付ける動きとは別に、農水省側でもフードテックを重点分野に打ち出す動きがみられる。
農水省は今月5日、「日本の農林水産行政の戦略本部」を立ち上げ、「食の分野を日本の稼ぎの柱」とする方針を示した。攻めの分野としてフードテック、食文化産業、生産性向上、米の需要創造を掲げ、守りの分野として中山間地域振興や種子・種苗確保もテーマに挙げている。
※本記事は、首相官邸発表をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:首相官邸




















































