代替プロテイン

フードテック官民協議会、細胞性食品の表現ガイドライン公表|「培養肉」は原則使用せず

出典:BlueNalu

フードテック官民協議会の細胞農業ワーキングチームは3月10日、「細胞性食品に係るコミュニケーションポリシー」を公表した。

同ワーキングチームは昨年8月、培養細胞を原料とする食品カテゴリの基本名称を「細胞性食品」とする方針を打ち出しており、今回はそれを踏まえ、対外発信で推奨する表現や避けるべき言い回しをより具体的に整理した形だ。業界横断で推奨・非推奨の表現をまとめた初のガイドラインとなる。

今回のポリシーでは、対外発信の科学的・中立的表現として「細胞性食品」を用い、「培養肉」「代替肉」「クリーンミート」などは原則として使わないよう呼びかけた。なかでも「培養肉」は、消費者になじみのない「培養」という技術用語を含み、「容易に肉をまるまる生産可能な技術」「細胞性食品分野は食肉などの分野と競合する」といった誤解や不安を招き、既存業界との軋轢を助長しやすいとした。

また、細胞性食品を既存の畜産肉を置き換えるものではなく、将来的な供給不安や需要増に対応する「補完的な選択肢」「タンパク源の多様化」として説明することが重要だとした。

ブロック状の製品などについても、精肉そのものと誤認されないよう、「加工食品に近い」位置づけの明記や、「細胞を培養して生産した細胞性食品を植物タンパク質と混ぜて作った加工食品」といった工程の補足を求めている。

一方、推奨しない表現として、「培養肉」「代替肉」「クリーンミート」のほか、「本物の肉」「完全再現」「動物を殺さずに作る肉」なども挙げた。既存産業との対立を強めたり、優良誤認を招いたりする懸念があるためだ。また、「ステーキ肉」「ブロック肉」「ヒレ肉」など部位名の単独使用も避け、使う場合は加工食品に近い位置づけや工程の補足を必ず併記するよう整理した。

また、「細胞農業」や「収穫」といった用語についても、文脈に応じて使用を控えるよう求めた。畜産農家や一次産業の関係者から違和感が示される可能性があるためで、「細胞農業」は「細胞性食品分野」、「収穫」は「回収」や「生産」などへの言い換えを例示している。

一方で、「細胞農業」は一部コミュニティで支持される用語でもあることから、全面的に排除するのではなく、記事の見出しやイベント名では使用を控えつつ、説明文では用いるなどの運用を目指すとした。

同ワーキングチームは、1月下旬から2月下旬にかけて食品企業や細胞性食品開発企業13社、アカデミア3名と個別に意見交換を実施。1月29日から2月24日までの意見募集や説明会を経て取りまとめた。今後は関係団体や企業への共有を進めるほか、よくある質問集の整備など、さらなる情報発信を進めるとしている。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:BlueNalu

 

関連記事

  1. ナイジェリア初の植物肉企業VeggieVictoryに世界の投資…
  2. Kikka Sushiが米ホールフーズで植物性のビーガン寿司を発…
  3. オレオゲルで代替脂肪を開発するPerfat Technologi…
  4. 【2023年度版】精密発酵レポート販売開始のお知らせ
  5. ドイツのFormo、麹菌由来のビーガンチーズを発売|約86億円の…
  6. AIを活用するチリ企業The Live Green Coが植物性…
  7. 米The EVERY Companyが米国スーパーマーケットで展…
  8. 米Prime Roots、菌糸体由来のデリミート製品を刷新──3…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

培養肉セミナー動画(日本細胞農業協会理事・岡田健成氏)|2024年3月開催

今月25日、培養肉の研究開発に取り組むかたわら、日本細胞農業協会で理事を務める岡…

GRAS自己認証に終止符か|米国FDA、通知義務化の規制案をアジェンダに追加

ロバート・ケネディ・ジュニア米保健福祉長官(出典:米保健福祉省)ロバート・ケネディ・ジュニア米保…

代替コーヒーのPrefer、タイ味の素社と提携|持続可能なコーヒー飲料の開発でグローバル展開へ

出典:Prefer2025年8月18日追記シンガポールのフードテック企業Preferは今…

ポルトガルのPFx Biotech、精密発酵による母乳タンパクのスケールアップに向け約8.2億円を調達

精密発酵で母乳タンパク質を開発するポルトガル企業PFx Biotechは今月、シ…

細胞性食品を開発するフランスのPARIMA、シンガポールで細胞性鶏肉の認可を取得|欧州企業として世界初の認可

フランスの細胞性食品企業PARIMAは今月23日、シンガポールで細胞性鶏肉(培養…

オランダのモサミート、培養牛脂でEU初の新規食品申請を提出

オランダの培養肉企業モサミート(Mosa Meat)は今月22日、欧州連合(EU…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

代替カカオレポート販売開始のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP