第2回フードテックワーキンググループ冒頭で挨拶する鈴木憲和農林水産大臣/Foovo(佐藤あゆみ)撮影
2026年4月7日:識者コメントを追加しました
政府は3月10日、第3回日本成長戦略会議を首相官邸で開き、17の戦略分野における「主要な製品・技術等」を整理した。3月9日には農林水産省でフードテックワーキンググループの第2回会合が開催された。
高市早苗首相は、「主要な製品・技術等」について、「国内のリスク低減の必要性」、「海外市場の獲得可能性」、「関係技術の革新性」などの観点から、戦略的に選択したと説明した。

出典:首相官邸
フードテックは17分野の一つであり、「主要な製品・技術等」に指定された①植物工場、②陸上養殖、③食品機械、④新規食品のうち、先行して検討を進める対象として植物工場と陸上養殖が明記された。
植物工場は、気候変動の影響を受けにくく、定時・定量・定価格・定品質の農産物生産が可能な技術とされた。
日本の強みとして、モジュール型の完全閉鎖型植物工場や空調・照明などの先端技術、運営ノウハウが挙げられ、農産物だけでなく植物工場システムも含めて2040年に国内外市場シェア3割を目指すとしている。
陸上養殖も、海洋環境の変化に左右されず水産物を安定供給できる技術として指定された。
政府は、水処理・浄化技術やゲノム関連技術を活かし、種苗・飼料の開発・生産や、展開先国のニーズに応じた魚種の生産まで行うことで、2040年に国内外市場シェア3割を目標に掲げる。国内では水産物の安定供給を目指し、海外では、日本産の種苗や飼料、安定生産の技術販売やライセンスを行う考えだ。
植物工場では現状、商業品目がレタスなどの葉菜類に限定されるため、対象農産物の技術開発を進めるとしている。陸上養殖では人材・種苗・飼料の確保、市場形成の不確実性などが課題として整理された。使用する飼料原料の多くは特定国からの輸入に依存しており、代替飼料の開発も期待される。

第2回フードテックワーキンググループ会合/Foovo(佐藤あゆみ)撮影
両分野とも、水・電力などインフラ確保のほか、投資回収期間の長さも課題とされているが、設備投資が高い産業としての特徴を踏まえると、イラン情勢を受けたナフサの供給不安も無視できない。
プラスチック原料の多くはナフサ由来であり、植物工場では栽培パネルや培地カップなどにポリプロピレン製部材などが、陸上養殖では、大型水槽にポリプロピレンなどが使用される。
今後、こうした部材の価格上昇や納期の長期化がみられた場合、破損時の交換部材の確保が難しくなり、稼働率や生産計画に影響を及ぼす可能性があるため、先行き不透明な地政学的要因がもたらす不確実性も念頭において、政策を策定していく必要があるだろう。
また植物工場については、すでに先行してきた海外事例の成否も踏まえて、市場や収益構造を見極める視点も欠かせない。
元農林中央金庫シニアマネージャーの勝原健市氏は、「2022年頃まで欧米では巨額の資金調達が相次ぎましたが、電力や人件費の高騰、既存農法との価格競争の激化により、2023年以降は資金枯渇による廃業が続出しました」とFoovoに述べた。
「現在は一部で黒字化事例も出ていますが、その多くは完全閉鎖型からハイブリッド型(太陽光利用型)への転換や、高回転・高付加価値な作物(マイクログリーンやハーブなど)への特化など、ビジネスモデルを抜本的に見直したものになります」とし、黒字化は施設形態や栽培品目を含めた事業構造の見直しによって実現したケースが多いとの見方を示した。
その上で、「日本が海外市場で勝機を見出すのであれば、ハードウェアの輸出だけでなく、日本の強みである緻密な生産管理体制(オペレーション能力)の提供や、現地での販路構築への投資に軸足を置くことが重要ではないでしょうか」と述べた。
※本記事は、内閣官房の発表(資料1・資料2)、メール取材をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像はFoovo(佐藤あゆみ)撮影



















































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