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政府は17の戦略分野に指定したフードテックをめぐり、今年7月に官民投資ロードマップを策定した。官民投資ロードマップでは、2040年度までにフードテック4分野で計9兆7,000億円の官民投資を想定。このうち、非動物由来タンパク質などを含む「新規食品」には1兆円の投資を見込む。
農水省は今月、このロードマップ実現に向けた「フードテック成⻑戦略推進プログラム」を公表した。2027年度予算の概算要求では、農水省全体の3兆1,377億円のうち、フードテック関連施策として502億円を要求した。
前年度の当初予算額は約1億円で、大幅な増額となった。
対象となるのは、植物⼯場、陸上養殖、⾷品機械、新規⾷品の4分野。基盤技術の研究開発から、スタートアップの⼤規模実証、フードテック企業の海外展開など、事業化を見据えた支援策を盛り込んだ。
注目されるのが、新設する20億円の「フードテック基盤技術確⽴プロジェクト」で、新規食品に1億円を要求し、精密発酵技術の確立を明記したことだ。

出典:フードテック成⻑戦略推進プログラム(赤線はFoovo追記)
同プロジェクトでは、植物⼯場、⾷品機械、新規⾷品の3分野について、必要な基盤技術の研究開発を国主導で推進する。植物工場に18億円をあてる一方で、非動物性タンパク質などを対象とする「新規食品」には1億円を要求し、品質と美味しさを両立する技術として精密発酵を挙げた。(PDF p8/以下、ページ番号を掲載)。
研究開発だけでなく、量産・事業化への支援も大きく拡充する。
4分野のスタートアップの早期社会実装に向けて、大規模技術実証による量産体制の確立など事業化を支援する対策を新設し、367億5,000万円の予算を要求した。1件あたり最長5年間、最大50億円を支援し、2032年度にスタートアップの事業化割合80%の達成を目指す(p2)。
さらに、業界横断型プロジェクトやフードテック実証事業などを含む食品産業支援事業には14億5,800万円を要求し、前年度の12倍超に拡大した(p5)。
需要創出や市場確保、社会実装を見据えた標準化の支援も約18倍に拡大する。
戦略的な国際標準化を推進する事業には1億9,900万円を要求。新規食品について、JASの活用や国際標準化に向けた戦略検討、標準化ロードマップや規格原案の作成を進めるほか、標準化人材の育成やネットワーク構築などの体制整備を進めるとしている(p11)。
さらに9月11日には、フードテックを推進する取り組みの強化として「フードテック戦略推進グループ」が大臣官房に設置された。
農水省は7月に発表した「農林水産研究イノベーション戦略2026」において、フードテックを含むバイオテクノロジーについて、気候変動への対応、食料安全保障の確保、環境負荷低減などの社会課題の解決と成長を両立するうえで「期待が極めて高い」イノベーションだと明記した。
今年度の戦略の参考資料には、昨年版にはなかった「微生物による有用物質生産」が新たに追加された。プラットフォーム菌株の構築やスケールアップによる機能性成分の大量生産を掲げており、精密発酵と重なる技術とみられる。
一方で、官民投資ロードマップや戦略2026、今回のフードテック成⻑戦略推進プログラムでは、培養肉など細胞性食品は具体的な支援対象例として明示されていない。
今回の概算要求では、研究開発よりもスタートアップの大規模実証・量産体制の構築に大きな予算が割かれている。政府がフードテック政策で、技術開発だけでなく、社会実装や事業化を重視していることがうかがえる。
※本記事は、政府資料をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。なお、ページ番号は、PDFの該当箇所を示しています。
政府のフードテック政策の経緯
日本政府、フードテックを国家戦略分野に指定|官民連携で供給力を抜本的強化(2025年11月7日)
政府、フードテックWGを設置 17の戦略分野で成長戦略の検討体制固める(2025年12月26日)
政府、17の戦略分野で先行技術を指定|フードテック4分野では植物工場・陸上養殖を先行検討(2026年4月6日)
高市首相、フードテック関連企業5社と面会|国内外の需要創出に意欲(2026年4月27日)
政府、フードテックに9.7兆円の官民投資を想定|植物工場、陸上養殖、食品機械、新規食品の4分野(2026年6月27日)
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