出典:ディーツフードプランニング
農林水産省は7月14日、農林水産分野における研究開発の重点事項を示した「農林水産研究イノベーション戦略2026」を公表した。
今回の戦略では、新たな市場の獲得に向けた技術開発の一つとして、昨年に引き続きフードテックの研究開発を位置づけ、植物性タンパク質や微生物を活用した食品などを具体的に挙げた。
一方、培養肉など細胞性食品は研究開発対象の具体例として明記されていない。
農水省はフードテックを含むバイオテクノロジーについて、気候変動への対応、食料安全保障の確保、環境負荷低減などの社会課題の解決と成長を両立するうえで「期待が極めて高い」イノベーションだとしている(戦略p8)。2025年版では「期待が大きい」としており、2026年版では表現を強めた。
2025年11月、日本成長戦略会議が設置され、フードテックが17の戦略分野の一つに位置づけられた。同年12月にはフードテックワーキンググループが発足。6月には植物工場、陸上養殖、食品機械、新規食品の4領域について官民投資ロードマップ案が公表され、7月21日にロードマップが正式決定した。
微生物を活用した代替タンパク質、2030年の実用化を目標

出典:2foods
2026年のイノベーション戦略では、植物工場などと並び、タンパク質供給の可能性を広げる技術として、植物性タンパク質や微生物を活用した食品の研究開発を推進するとしている。
微生物由来食品については、「水素細菌や麹菌が生成したタンパク質源等の食品」を具体例としている(戦略p8)。これらは昨年の「農林水産研究イノベーション戦略2025」でも対象として挙げられていた(前年版p8)。
同戦略の参考資料「農林水産技術カタログ」では、植物性タンパク質や、水素細菌・麹菌などの微生物を活用した食品について2030年の実用化を目標としている(同資料p59)。
大豆を中心としたプラントベース食品などはすでに市販されているものの、「一層の利用拡大」と「タンパク質供給源の更なる多様化が重要」だと指摘(p59)。同カタログでは、プラントベース食品の例として2foodsとカゴメが共同開発した「Ever Egg」、マイコプロテインの例としてアグロルーデンスの製品・技術が掲載されている。
また、代替食品の消費者需要の確立に向けて、生産コスト削減技術の開発に加え、安全性に関するデータ収集、安全性評価技術、生産管理手法の開発を進める方針を示している(p59)。
微生物による有用物質生産を新たに追加

出典:Formo
さらに、同カタログではフードテックとは別枠で「有用物質生産技術」も重点項目として掲げている。
植物による有用物質生産では、ゲノム編集技術などを用いて有用物質を高蓄積する植物は開発されているものの、植物工場における栽培技術の開発が必要だとしている。植物工場などでタンパク質等の有用物質を生産する栽培技術を開発し、2027年の実用化を目標としている(同資料p56)。
植物による有用物質生産は、2025年版でも研究開発項目に盛り込まれていた(昨年版p47)。
一方、2026年版では昨年版にはなかった「微生物による有用物質生産」が新たに追加された。
植物由来の有用成分を大量の植物から抽出する従来の方法では、生産量やコストに課題があると指摘。植物の機能性成分につながる重要な中間体を高生産するプラットフォーム菌株や、そこから実用的な化合物を生産するモデル菌株を構築し、スケールアップによる安価な大量生産システムを開発することを目標に掲げた。2028年の実用化を目標としている(同資料p56)。
これらの植物・微生物による有用物質生産は、目的物質を植物や微生物に生産させる点で植物分子農業・精密発酵と重なる技術領域といえる。ただし、資料では「植物分子農業」「精密発酵」という用語は使用しておらず、具体例は示されていない。
今回の戦略では、食品産業の持続的な発展に向けて、原材料の国産化とともに「フードテック等の新技術の活用」が必要との認識が示された(戦略p3)。政府は、2030年までに農林水産物・食品の輸出額を現行の約3倍に拡大する目標を掲げている(戦略p8)。
※本記事は、「農林水産研究イノベーション戦略2026」をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にページ番号・リンクを付与しています。
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