出典:Bestzyme
2026年9月28日更新
中国の合成生物学企業Bestzyme Biotechは、精密発酵で生産する甘味タンパク質専用の自動生産ラインを山東省済南市に完成させた。
年間生産能力は本格稼働時には100トンを超える見込み。同社によると、5,000平方メートルのこの工場は年間30万トンの砂糖に相当するブラゼインを供給できる規模となる。グローバルな食品・飲料メーカーへの安定供給に向けて、今後2年間で生産能力を倍増する計画だ。
Bestzymeは、バイオテック企業GenScript Biotechの子会社。今回完成した施設では、発酵から精製、凍結乾燥までを自動化した。同社は、甘味タンパク質専用として世界初の商用生産ラインだと説明している。
既存甘味料と組み合わせる精密発酵ブラゼイン

出典:Bestzyme
同社製品「Mellia」は、西アフリカ原産の果実「Oubli」に含まれる甘味タンパク質「ブラゼイン」を、精密発酵を用いて生産したものだ。
同社はブラゼイン遺伝子を導入したAspergillus oryzae(麹菌)を用いてブラゼインを生産している。
ブラゼインは砂糖の数千倍の甘味を持つとされ、少量で甘味を付与できる。同社によれば、カロリーはほぼゼロで、血糖値への影響もほぼない。
Bestzymeは、ブラゼインを砂糖の代替品としてだけではなく、「最後のピース」と位置付ける。ステビアや羅漢果など既存の甘味料と組み合わせることで「完全でまろやかな甘さ」を実現できる素材だとしている。
米国で炭酸水ブランドと提携、「0→1」から拡大フェーズへ

出典:Bestzyme
商用利用も始まっている。
Bestzymeのブラゼインは2025年4月、アメリカ食品医薬品局(FDA)からGRAS通知に対する「質問なし」のレターを受領した。
同社によると、すでにアメリカの炭酸水ブランドと組み、Melliaを使用した商品を市場投入し、「0→1」の商用実証を終えて「1→N」の拡大フェーズに入ったという。ただし、ブランド名や販売規模はプレスリリースで公表されていない。
中国では2025年3月、食品添加物の申請を提出し、中国衛生健康委員会(NHC)が受理した。中国でこのプロセスを着手したのは同社が初だという。
米中以外の国や地域でも規制プロセスを進めている。
Bestzymeは今後、原料供給にとどまらず、菌株開発、量産、顧客製品に応じた配合、各国の規制対応までを支援する体制を構築する。食品メーカーごとに甘味料の配合を最適化し、商品化までの期間を数ヶ月短縮させる狙いだ。
相次ぐ精密発酵によるブラゼイン開発

出典:Oobli
公開情報から確認できる精密発酵ブラゼインの商用化では、米Oobliが自社ブランドでチョコレート製品を上市している。
他の多くの企業は認可や開発段階にあるものの、工場建設の動きもみられる。
リトアニアのPentasweetはブラゼインの商用生産に向けた精密発酵工場の建設を進めており、第1段階の建設は2027年初頭の完了を予定している。
デンマークTasiraは耐熱性などを改良したブラゼイン開発を進めており、米Sweegenは今年6月、精密発酵ブラゼインについてFDAから「質問なし」レターを受領した。
精密発酵の代表的企業パーフェクトデイも、精密発酵ブラゼインについて2024年10月にFDAから「質問なし」のレターを受領している。
2025年には、同社共同創業者のPerumal Gandhi氏らが精密発酵スタートアップMelazymeを設立。今年5月に200万ドルのシード資金を調達し、ブラゼインやメラニンを商用パートナーと開発している。
これまで認可に関連したニュースが中心だったが、100トンを超える専用生産ラインが立ち上がったことで、精密発酵甘味タンパク質は量産と安定供給を競う段階へ進みつつある。
※本記事は、プレスリリース①・②をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから
関連記事

アイキャッチ画像の出典:Bestzyme















































この記事へのコメントはありません。