出典:オーフス大学
デンマークのオーフス大学発のスタートアップReact Foodsが、二酸化炭素(CO₂)から食品向けタンパク質をつくる技術のスケールアップに乗り出す。
BioInnovation Institute(BII)から420万デンマーククローネ(約1億円)の支援を受け、同大学のAU Viborgにあるパイロット設備を使って、技術の開発とスケールアップを進める計画だ。
React Foodsは、オーフス大学、スタンフォード大学、テュービンゲン大学の技術を基盤としている。
CO₂を酢酸に変換、酵母を育てる2段階プロセス

AU Viborg 出典:オーフス大学
React Foodsの特徴は、CO₂をいったん酢酸に変換してから酵母を育てる2段階のプロセスにある。
まず微生物にCO₂と再生可能エネルギー由来の水素を与えて酢酸(*)を生成し、その酢酸を酵母の栄養源として、タンパク質を豊富に含むバイオマスを生産する。
*厳密には酢酸イオンまたは酢酸塩(acetate)を指しますが、記事ではわかりやすくするため「酢酸」と表記しています。
得られたバイオマスは、食品に適した味や特性を持つ原料へ加工する工程も必要になる。将来はプロテインバーのほか、卵や乳タンパク質を代替する原料を想定しているという。
ソーラーフーズとの生産プロセスの違い

出典:Solar Foods
CO₂からタンパク質を生産する企業としては、フィンランドのソーラーフーズが先行するが、両社の生産方法は異なる。
ソーラーフーズは、水素酸化細菌にCO₂と水素を与え、タンパク質原料「ソレイン(Solein)」を生産する。一方、React Foodsは、まずCO₂と水素から酢酸をつくり、その酢酸を別工程で酵母の栄養源として利用する2段階方式となる。
React Foods創業者のLargus T. Angenent氏らは2019年、CO₂から酢酸を作り、酵母を培養するPower-to-Protein方式を研究レベルで実証していた。
2019年の実証試験では、炭素収率25%で酵母バイオマスを得て、その酵母バイオマス中のタンパク質比率は約40~50%に達した。
ソーラーフーズでは、水素酸化細菌そのものがCO₂と水素を主な原料として増殖するのに対し、React Foodsの技術では、CO₂を利用する微生物と、最終的にタンパク質源となる酵母を分けているのが特徴といえる。
ソーラーフーズは2024年に商用規模のFactory 01を稼働。シンガポールでの上市に続き、今年6月にはアメリカでもソレインを使った消費者向けプロテイン粉末の試験販売を開始した。デンマークのAerbioもCO₂と水素を利用するガス発酵でタンパク質「Proton」を開発している。
一方で、CO₂由来タンパク質の分野では事業終了の事例もある。
古細菌とCO₂を用いてタンパク質を開発していたオーストリアのArkeonは昨年破産を申請した。昨年夏には同じくガス発酵スタートアップのNovoNutrientsも事業を終了したが、今年6月に米Biosphereに買収されている。
React Foodsは、農地に依存しないタンパク質生産の新たな企業として注目されるが、社会実装するには、工業規模で機能するプロセスを構築する必要がある。
同社で科学諮問委員を務めるオーフス大学のLars Ottosen教授は、「個々のプロセスを機能させるだけでは十分ではありません。最終的に工業規模で稼働できる効率的なシステムとして統合する必要があります」とプレスリリースで述べ、AU Viborgのパイロット設備では、異なる工程を統合し、一体となったシステムとして機能するかを検証していくという。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:オーフス大学













































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