砂糖削減・代替砂糖ソリューション

Manus Bio、発酵由来ラカンカ甘味料を米国で商用スケール生産|中国依存構造に第2の供給ルート

出典:Manus Bio

中国に生産を依存してきたラカンカ甘味料の供給構造が、発酵技術によって変わろうとしている。

米Manus Bioは6月18日、アメリカで商用スケールで生産したラカンカ甘味料を発表した。同社によれば、アメリカでの商用スケール生産は初のことで、ジョージア州オーガスタの施設で製造している。

ラカンカ(羅漢果)は中国南部の広西チワン族自治区で栽培されるウリ科植物で、甘味成分である配糖体の一種、モグロシドを含む。ラカンカ由来の甘味料はゼロカロリーで、血糖値への影響が少ない甘味料として、砂糖削減用途で利用されてきた。

Manusは、世界のラカンカ供給が中国に集中しており、収穫サイクル、価格変動、品質ばらつきの影響を受けやすい現状に着目し、アメリカを拠点とする独立した第2の供給ルートとして発酵由来のラカンカ甘味料を開発している。

ラカンカを「ニッチ」から砂糖削減の「主力原料」へ

Ajikumar “Aji” Parayil氏 出典:Manus Bio

Manus創業者兼CEO(最高経営責任者)のAjikumar “Aji” Parayil氏は、「アメリカで商用生産することで、ラカンカをニッチな高級原料から、砂糖削減のための実用的な主力原料へと変えます」とプレスリリースで述べ、同社技術がラカンカの中国一極依存に対する解決策になるとしている。

Manusは微生物を「細胞工場」として設計し、代謝経路や酵素活性を操作することで目的分子を生産する。これは一般に精密発酵と呼ばれる技術だ。同社は使用微生物を明らかにしていないが、公式FAQで、主要な細菌種と酵母種に特化していると言及している。

CTO(最高技術責任者)を務めるChristine Santos氏は、モグロシドVのような複雑な分子を発酵で作るには、1つの細胞内で30以上の酵素反応が必要になるが、同社は、そのプロセスを設計し、スケールアップに成功したとプレスリリースで述べた。

Manusのラカンカ甘味料は、砂糖の約350倍の甘さを持ち、同社は苦味のある後味のない、まろやかな甘さ、溶解性、安定性を特徴とするという。用途は、即飲用飲料、乳製品・プラントベース食品、ベーカリー、菓子、機能性食品、外食産業などを想定する。

発酵・植物分子農業で広がるラカンカ甘味料

出典:Manus Bio

砂糖削減の領域では、精密発酵による甘味タンパク質に加え、Manusのように植物が持つ甘味成分そのものを発酵で生産するアプローチも注目される。

その中でラカンカ甘味料を開発するのはManusに限らない。

Layn Natural Ingredientsは、中国桂林を拠点としたラカンカエキスの生産に加え、バイオテクノロジーおよび酵素生産プラットフォームを用いて、モグロシドVをラボスケールで開発していることを昨年10月に発表した。

Ginkgo Bioworksもモグロシド生合成に関する米国特許を取得している。同特許では酵母や大腸菌などの宿主細胞を用いてモグロシドを生産する方法が扱われている。

一方、米Elo Life Systemsのように植物分子農業によりラカンカ甘味料を開発する事例もある。

2011年設立のManusはこれまでに、Tate & Lyleとのステビア由来のReb M、Givaudanとの柑橘系のバイオ代替品BioNootkatoneなども展開している。今回のラカンカ甘味料はすでに展開しているReb Mを補完する製品となるという。

ラカンカ甘味料についてFEMA GRAS審査は完了済みだが、FEMA GRASは香料成分を対象とする安全性評価プログラムであるため、同社は食品・飲料への幅広い展開に向けて、米食品医薬品局(FDA)へのGRAS通知の手続きを進めている。

7月12-15日にシカゴで開催されるIFT FIRST 2026で業界向けに披露した後、より広い商用提供に進む計画だ。

FoodNavigatorの今年1月の報道によると、Manusはすでに、キログラム単位でサンプルを提供しており、年末までにトン単位にスケールアップを計画しているという。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

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