出典:The EVERY Company
精密発酵で卵白タンパク質を開発するフィンランド発Onego Bioと米The EVERY Company(旧称Clara Foods)の特許をめぐる訴訟で、Onegoの請求が却下された。
デラウェア州連邦地方裁判所は10月9日、Onegoが主張していた、EVERYの特許が無効であることや、Onegoが同特許を侵害していないことの確認を求めた請求、さらにEVERYが虚偽広告を行っているとの請求を退けた。
争点となったのは、卵白の主要タンパク質オボアルブミンに関するEVERYの米国特許(第12,096,784号)。
Onegoは2025年9月に提訴し、EVERYが投資家らに対して、OnegoがEVERYの特許を侵害している可能性を示唆していたと主張した(判決文p4/以下、ページ番号表記)。
一方、裁判所は、EVERYがOnegoに対して特許侵害をしていることを非難した事実は認められず、投資家への発言についても、仮に事実であったとしても当事者間に明確かつ具体的な紛争があったとは言えないとして、判決を出すために必要な具体的な紛争は成立していないと判断した。さらに、対立を仕掛けたのはむしろOnego側だったと指摘した(p9-13)。

出典:Onego Bio
両社は2025年5月から協議を始めた。Onegoは、二社間で相互ライセンスを認め、特許侵害に関して相互に訴訟を提起しないことを提案(p4)。OnegoはEVERYの欧州特許を無効と考えていたのに対し、EVERYは自社の特許ポートフォリオが有効だと主張した(p4-5)。
その後、EVERY側からは、相互ライセンスまたは合併案も提示されたが、Onego側は「厳しいスケジュール」を理由に合併案を拒否し、合意には至らなかった(p5)。Onego側が相互ライセンスで合意しなかった理由は判決文からは確認できない。
Onegoはまた、EVERYの卵白タンパク質には天然の卵には含まれないアミノ酸や、酵母タンパク質由来のアミノ酸が含まれているにも関わらず、EVERYが天然の卵タンパク質と「同等」などと呼ぶことは虚偽または誤解を招くものだと主張。
これにより自社が損害を被り、今後も被る可能性があるとし、虚偽広告だと主張した。裁判所はこの主張についても、具体的な営業上の損害を十分に示していないとして却下した(p3,14)。

出典:The EVERY Company
両社は同じ卵白タンパク質を精密発酵で製造するが、使用する微生物は異なる。
2022年にフィンランド技術研究センター(VTT)からスピンオフしたOnegoは、糸状菌Trichoderma reeseiを使い、卵白タンパク質「Bioalbumen」を開発。今年9月、ニューヨークのワッフルブランドと商用提携を締結し、アメリカ向けにBioalbumenを供給すると発表した。ウィスコンシン州で工場建設計画を進めており、アメリカ政府から資金援助を受ける可能性もある。製造面では、6万2,000Lバイオリアクターでデモ運転を行い、1トンの初生産を完了した。
2014年創業のEVERYは酵母を用い、卵白タンパク質「OvoPro」などを販売。OvoPro採用の商品は、昨年から米大手スーパーマーケットでも導入が進み、今年には、OvoProを単一原料として使用した家庭向け製品も販売された。
精密発酵では過去にも知財紛争が事業を左右した事例がある。
米インポッシブル・フーズは2022年、ヘムタンパク質を開発したMotif FoodWorksを特許侵害で提訴。2024年に各社が費用を負担することで訴訟は終結し、インポッシブル・フーズがMotifのヘム関連事業を引き継いだ。Motifはその数日後、閉鎖が報じられた。
今回の訴訟では、裁判所はOnegoが求めていたEVERYの特許無効やOnegoによる侵害の有無などについて、審理する権限がないとし、特許の有効性や侵害の有無について判断を示さなかったものの(p1)、先端技術を事業化するうえで、特許対応の重要性を改めて示す事例となった。
※本記事は、判決文をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクまたはページ番号を付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:The EVERY Company










































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