新しい食

米Galyが細胞性カカオのGRAS自己認証を完了、米・ドバイで初期受注を獲得

出典:Galy

気候変動による異常気象や病害により、カカオの安定供給への懸念が高まる中、アメリカのスタートアップが植物細胞培養によるカカオ粉末の商用化に乗り出した。

植物細胞培養による綿の開発に取り組んできた米Galyは10月21日、細胞性カカオ(培養カカオ)を使用した同社の業務用チョコレートブランド「WunderHaus」を通じ、アメリカで商用事業を開始したと発表した。

プレスリリースによると、従来のカカオ原料とGalyの細胞性カカオ粉末を組み合わせて、業務用チョコレートを製造する。ただし、細胞性カカオの割合については言及されていない。

今年第4四半期には、ボストンのレストラン「Troquet on South」で、Galyの細胞性カカオを使用したチョコレートを披露する予定だ。同店から初期受注を獲得しており、ほかのレストランやホテルでも採用が検討されている。

Green Queenの報道によると、Galyは細胞性カカオ粉末のGRAS自己認証を完了しており、アメリカ食品医薬品局(FDA)にもGRAS通知を提出したという。

Galyは2019年設立のスタートアップで、もともとは植物細胞培養による綿「GALY COTTON」の生産を主力としてきた。

日本では医療用品メーカーのスズランと2023年、10年間で5,000万ドル(約78億円)相当の培養綿供給契約を締結した。2025年にはイントラリンクが日本事業拡大を支援すると発表し、加工食品メーカーとの提携も視野に入れているとしていた。この時点で、高フラボノイド含有のカカオ原料開発にも言及していた。

出典:Galy

綿からカカオへの横展開は、既存の植物細胞培養技術を食品に応用する動きといえる。

製造工程では、カカオの細胞をバイオリアクターで増殖させ、回収後に発酵・焙煎してカカオ粉末に加工する。

Green Queenの報道によると、Galyは2025年以降、カカオ事業に重点を移した。綿については技術面の複雑さから商用化にさらに時間を要するとし、現在はカカオの商用化を最優先させているという。今後は2027年にアラブ首長国連邦(UAE)への進出を目指し、当局に申請書を提出したという。

プレスリリースによると、ドバイのショコラティエ(チョコレート専門の菓子職人)からもすでに初期受注を受けている。

細胞性カカオでは米California CulturedもすでにGRAS自己認証を完了しており、ベルギーのチョコレート原料大手Puratosが同社の細胞性カカオを使用したチョコレートを2026年末を目処にアメリカで商用提供する計画を公表している。

スウェーデンのXseedも細胞培養によるチョコレートを試作しており、従来のココアバターを一部添加したチョコレートを開発している。

スイスのFood Brewerは細胞培養によるカカオ・コーヒー開発を手掛けており、2027年にアメリカで細胞性カカオの上市を目指しているとFoovoのインタビューで述べた。

Foovoの調査では、カカオ細胞の培養に使用されるバイオリアクターは、現在はおおむね、1,000~2,500Lの範囲にとどまる。今年5月には、最大1万L規模のバイオリアクターへのスケールアップ支援を計画するEU支援プロジェクトが始動しており、公的支援のもとで、細胞性カカオの量産開発も進められている。

こうした中、GalyもアメリカでGRAS自己認証を完了し、初期受注を獲得したことで、細胞性カカオの商用化に向けた動きが具体化してきた。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Galy

 

関連記事

  1. シンガポール企業Mycosortia、おからをアップサイクルした…
  2. MeliBio、高級レストランで蜜蜂フリーなハチミツの提供を期間…
  3. イスラエルDouxMatokの砂糖を減らしても甘さが変わらない画…
  4. そら豆の外皮から代替カカオ、Cultivated Food La…
  5. 明治ホールディングス、細胞培養チョコレートの米Californi…
  6. フィンランドの研究チームが細胞培養コーヒー生産に関する論文を発表…
  7. ミツバチを使わない「本物のハチミツ」を開発する米MeliBio
  8. イスラエルのPhytolonが約37億円を調達、精密発酵由来の天…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

米Bond Pet Foods、精密発酵ラムタンパク質でGRAS審査完了|Hill’sとペットフード商用化へ前進

出典:Bond Pet Foods米Bond Pet FoodsとHill’s Pet Nutr…

日本のDAIZエンジニアリング、新大豆タンパク質を2025年に欧州市場へ投入

2025年7月1日:変更後の社名を追記東京・熊本を拠点とするDAIZエンジニアリング(現在の…

食料品配達のパーソナライズ化を実現するHungryrootが約44億円を調達|AIで買い物を予測

AIを活用してパーソナライズ化された食料品デリバリーを提供するHungryroo…

ソーラーフーズ、シンガポールでソレインの販売認可を取得

二酸化炭素と微生物を活用して代替タンパク質ソレインを開発するソーラーフーズ(So…

国内最大級のフードテックイベントSKS JAPAN 2025が東京で開催|第2ステージへ入った日本の食イノベーション

画像提供:SKS JAPAN本記事は、Foovoがメディアスポンサーを務める「SKS JAPAN…

シンガポール・イスラーム評議会、特定条件下で培養肉をハラールと認定

シンガポールで唯一、ハラール認証を発行する権限を有するシンガポール・イスラーム評…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoセミナー開催のお知らせ

細胞性食品(細胞培養食品)レポート販売開始

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

代替カカオレポート・好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

PAGE TOP