3Dプリンター

アレフファームズがブラジル食肉大手BRFと培養肉の開発・ブラジル導入で提携

 

イスラエルのアレフファームズとブラジル大手の食肉メーカーBRFは、培養肉の開発と培養肉のブラジルへの導入で提携を発表した。

2社は基本合意書(MOU)を交わし、培養肉を共同開発する。

培養肉の開発・生産にはアレフファームズの特許技術BioFarmを活用し、ブラジルでの培養牛肉の販売はBRFが担当する。

牛肉生産量で世界2位のブラジルは「戦略的市場」

出典:アレフ・ファームズ

この提携は、BRFのサプライチェーンを強化し、環境への影響を軽減できるほか、既存の食肉システムに培養肉をとけ込ませるというアレフファームズの戦略実現をさらに前進させるものとなる。

2016年のデータによると、ブラジルは牛肉生産量で世界2位輸出量で世界2位、消費量で世界4位と、世界有数の畜産国・消費国となっている。

こうした需要・供給のニーズがいずれも高い国であるブラジルで、大手食肉メーカーのノウハウとインフラを活用すれば、培養肉の大量生産を加速し、社会に与える影響も大きいとアレフファームズは考えている。

Didier Toubia 出典:アレフファームズ

プレスリリースで共同創業者でありCEOのDidier Toubia氏は

「ブラジルはアレフファームズにとって戦略的な市場だ」

とコメントしている。

2社はアレフファームズの技術を活用し、牛の細胞を培養して動物を殺さずに培養肉を開発する。

2社の提携は、ブラジル・アレフファームズの環境問題への取り組みを強化する。

ブラジルは2030年までに温室効果ガスの排出量を43%削減することを宣言している。

アレフファームズは2025年までに食肉生産に伴う排出量を削減し、2030年までにサプライチェーン全体で排出量を実質ゼロにすることを2020年4月に宣言した。

培養肉は畜産肉よりも排出する温室効果ガス78-96%削減できるほか、畜産肉と比べて使用する土地・水がそれぞれ99%、82-96%少ないため、今回の2社の提携は、ブラジル、アレフファームズ双方が宣言を達成するのを助けるものとなる。

培養肉は5年以内に畜産肉と同等価格になる

出典:Aleph Farms

アレフファームズは今年1月にも日本の三菱商事と培養肉の日本導入で提携を発表した。先月には生きた細胞の3Dプリントによるリブロース肉の開発に成功したことを発表。

2021年になってから培養肉のニュースは続いている。

資金調達を実施した企業は、Mosa MeatVowNovameatBlueNaluBioTech
Mirai FoodsFuture MeatHoxton FarmsNew Age MeatsCellMEATと当メディアで取り上げただけでも10社あり、勢いが続いている。

培養肉を食卓に導入するためには、動物肉と同価格までコストダウンする必要があり、生産コストが高いことがハードルとされる。

これについて、『Moo’s Law』の著者であるジム・メロン(Jim Mellon)氏は、培養肉は将来的に、畜産肉や植物性代替肉よりも手ごろな価格になると予想している。

メロン氏はThe Spoon誌のインタビューに対し、次のポイントを回答している。

・牛から採取した2.5mL分の幹細胞で7~8頭に相当する牛肉を40日で生産できるようになる。

5年以内に培養肉が畜産肉と同等価格になる

・5年以内に集約畜産業界が劇的な脅威に直面する

・細胞農業による培養肉の生産効率は10倍に向上する

 

メロン氏の予測通りにいけば、5年以内に培養肉が動物肉に代わるタンパク質源になる可能性が高い。

Edison Groupも、早くて2025年には、培養肉が量産され、従来の肉と同価格になるだろうと報告している。

出典:Edison Investment Research

この報告によると、2040年は代替肉が収益で畜産肉を上回る転換点となり、肉全体の6割が培養肉か植物肉になると予想される。

培養肉が普及するためには、消費者の受容性を高めること、法整備を整えることが求められる。

また、既存産業の反発を和らげるためにも、アレフファームズのように既存産業と手を組んで培養肉を市場へ出して行く戦略がより求められる。

同社は2022年にはアジアで培養肉を販売する予定でおり、その上位リストには日本があげられている。

出典:Aleph Farms

2013年に登場した3500万円の培養肉ハンバーガーから8年。

この衝撃的ニュースの主役だったモサミートは、非現実的ともいわれた培養肉の生産コストを1/88に削減することにすでに成功し、欧州での承認申請に向けて準備を進めている。

イスラエルのFuture Meatは植物ベースと培養肉のハイブリッド戦略ですでにコストダウンに成功している。

そして、CellMEATのようにコストダウンを実現するための技術改良に取り組む企業が次々と登場しており、米イート・ジャストの培養肉は昨年、世界で初めてシンガポールで販売された。

培養肉は着実に「現実のもの」になりつつある。

 

参考記事

Aleph Farms Partners with BRF to Bring Cultured Meat to Brazil

Israel’s Aleph Farms and meatmaker BRF to bring cultured steak to Brazil

Aleph Farms and BRF Partner to Bring Cultivated Meat to Brazil

 

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アイキャッチ画像の出典:アレフファームズ

 

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