代替プロテイン

Meatable、EU初の培養肉試食会をオランダで開催

 

オランダの培養肉企業Meatableは今月、欧州連合(EU)で初めて培養肉の試食会を開催した

これは先月発表された、培養肉の生産期間を8日から4日へと短縮したニュースに続くものとなる。年内に予定されるシンガポールでの発売、2025年のアメリカ進出に先立ち、Meatableはオランダ国内での培養肉試食会を実現した。

Meatable、EU初の培養肉試食会をオランダで開催

出典:Meatable

Meatableとオランダの培養肉企業モサミートは、オランダ政府、オランダ細胞農業財団(CANS)と協力して、管理された条件下において培養肉・培養シーフード企業が試食会を開催できるよう枠組みの構築に取り組んできた。

オランダ政府は昨年7月、培養肉・培養シーフードの試食がまもなく可能になることを発表。今回ついにEU初の培養肉試食会が実現した。

試食会では培養豚肉ソーセージが提供された。

約70年前に体外で肉を作るアイディアを思いついた培養肉の父といわれるWillem van Eelen氏の娘であるIra van Eelen氏、オランダ王子であるConstantijn van Oranje氏、ミシュラン星付きシェフのChef Ron Blaauw氏が試食会に参加した。

モサミートも試食会開催を申請済みか

出典:Meatable

EU非加盟国を含めた欧州全体でみると、EUに加盟していない国を中心に、実は培養肉の試食会はいくつか開催されている

今年2月には、オーストラリアのVowがアイスランドのORF Geneticsと協力して、アイスランドで培養肉の試食会を開催した。Vowはシンガポールで今月培養肉の販売認可を取得し、現在もレストランで限定提供を実施している

こうした動きに続き、モサミートも今年1月に培養牛肉の試食会開催の申請をまもなく行うと発表しており、すでに申請済みの可能性がある。

今年後半にシンガポールのレストランで提供予定

出典:Meatable

Meatableは昨年5月、培養肉の生産期間を3週間から8日に短縮した。細胞分化時間を短縮することで、バイオリアクターの規模、生産スペースの縮小に成功し、先月には生産期間を8日から4日に短縮したことを発表した。

シンガポールではこれまでに2回試食会を開催し、製造・販売に向けてパートナーシップも構築している。

Meatableはシンガポールのビーガン肉屋レストランLove Handleと提携しており、シンガポールで販売認可を取得後は、同レストランで最初の製品を提供する可能性が高い。

昨年11月にはオランダでパイロット工場を開設。昨年8月にシリーズBラウンドへ進み、約51億円という大型調達に成功した背景には、上市への期待感、独自技術、製品の品質に対する評価が関係していると思われる。

Meatableは最新のプレスリリース(2024年3月21日)で、2024年後半にシンガポールのレストランで発売予定であると述べている。

販売を実現したGOOD MeatVowに続き、Meatableアレフ・ファームズモサミートVital MeatCellmeatUmami Bioworksなどの企業が今後1-2年以内にシンガポールで販売を実現する可能性があるだろう。

 

参考記事

Meatable LinkedIn

Meatable Makes History as First Company to Hold a Cultivated Meat Tasting in the EU

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Meatable

 

関連記事

  1. 米New Cultureが精密発酵カゼインによるモッツァレラ試食…
  2. オーストラリアが培養肉承認に向けて一歩前進|FSANZがVowの…
  3. アイスランドORF Geneticsが大麦由来の低コスト成長因子…
  4. 米Oobliが精密発酵による甘味タンパク質ブラゼインでGRAS認…
  5. ソーラーフーズがフィンランドのNasdaq First Nort…
  6. 菌糸体肉の米Meati Foodsが約155億円を調達、6000…
  7. 代替マグロの米Kuleanaが販路拡大、オンラインストアでの販売…
  8. Ÿnsectのミールワームタンパク質、アメリカでペットフード製品…

おすすめ記事

フランスの培養肉企業Vital Meat、シンガポール当局へ承認申請書類の提出を発表

フランスの培養肉企業Vital Meatがシンガポール食品庁(SFA)に新規食品…

ビヨンドミートが新しいビヨンドバーガーを5月に全米小売で発売

代替肉巨人のニュースが止まらない。ビヨンドミートが新しい植物肉バーガーを…

ヒマワリ種子のオレオソームで代替脂肪を開発するTime-travelling Milkmanが約1.4億円を調達

ヒマワリの種子からクリーミーな代替乳製品を開発するTime-travelling…

味の素、おいしい減塩に向けた「電気調味料」技術を開発

味の素は今月、皮膚を通じた微弱な電気刺激で味覚をコントロールする「電気調味料」技…

米Superbrewed Food、腸内細菌由来のタンパク質について米国GRAS認証を取得

アメリカ、デラウェア州を拠点とするSuperbrewed Foodは先月、腸内細…

中国の培養肉企業CellXが培養肉のパイロット工場建設を発表

中国の培養肉企業CellXと、グローバルな医薬品・食品製造向けのプロセスサポート…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(03/25 14:52時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(03/26 00:38時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(03/26 04:31時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(03/25 20:50時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(03/25 12:59時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(03/25 23:50時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP