出典:UPSIDE Foods
培養鶏肉(細胞性鶏肉)を開発するアメリカの細胞性食品企業UPSIDE Foodsが、細胞培養培地に焦点をあてたB2Bのライフサイエンス部門Lucius Labsを立ち上げた。
同社は本件についてプレスリリースを公表していないが、UPSIDE FoodsのCSOを務めるBob Newman氏はリンクトインで同部門の狙いとして、「ライフサイエンス業界で新しい縦型事業を構築すること」を挙げ、「培養肉の開発で培った培地の知見を関連産業に販売する」趣旨に言及している。
UPSIDE Foodsは現在、複数の職種の求人を出しており、新部門Lucius Labsを明記した求人では、LinkedInやインスタグラム、X(旧Twitter)などの戦略担当となるソーシャルメディアマネージャーを募集している。
Lucius Labsは公式サイトで「培地の新標準」を掲げ、「世界規模の培地ライブラリと原材料プログラムを提供し、コスト効率の高い調達と性能重視の配合を組み合わせる」としている。懸濁/接着いずれの用途でも性能向上や、最短2〜4週間でのカスタム配合などが可能だとしている。
なお、現時点でLucius Labsが子会社なのか、部門なのかは公開情報からは不明である(Upsideは「B2B life sciences division」としている)。
初販売の実現、その後に続く州規制の逆風

出典:UPSIDE Foods
心臓医のUma Valeti氏が2015年に立ち上げたUPSIDE Foodsは、2021年にメンフィス・ミーツから社名を変更し、カリフォルニア州エメリービルに培養肉工場を開設した。2023年6月にはGOOD Meatと共にアメリカで細胞性鶏肉を販売するためのステップを全てクリアし、翌7月にサンフランシスコのレストランで初販売を実現した。
Foovoの調査では、その後の同社による販売は確認できていない。
その後は州レベルの規制が逆風となり、Upsideはフロリダ州、テキサス州の培養肉販売禁止を相次いで違憲として提訴した。州側は訴えの却下を求めたが、連邦地方裁判所はフロリダでは請求の多くを棄却しつつ一部の論点は残し、テキサス州では州側の申し立てを退け、フロリダ州で2025年4月、テキサス州で2026年1月に訴訟継続となった。
ただし、これらは禁止法の無効化を意味する「最終勝訴」ではなく、販売環境の改善は今後の判断次第である。
周辺領域で先に収益化する動き

出典:UPSIDE Foods
同社がLucius Labsを新設した背景には、細胞性鶏肉で培った細胞培養培地の知見を近い産業に拡張し、収益化を図る狙いがあるとみられる。公式の言及はないが、細胞性鶏肉で安定した収益を生み出すまでの「移行手段としての措置」である可能性がある。
こうした「周辺領域で先に事業化する」動きは他社でもみられる。
国内ではインテグリカルチャーが、食品用途を見据えた基礎培地「I-MEM 2.0」を開発するほか、卵由来細胞の培養上清液を活用した化粧品原液「CELLAMENT」の上市を進めている。後者については昨年11月時点でユーグレナを含む10社以上に採用され、同社の収益を支える柱の1つとなっている。
細胞性シーフードではAvantに続き、Umami Bioworks(シンガポール)、ImpacFat(シンガポール)、Bluu(ドイツ)などが化粧品分野での上市を目指している。
精密発酵ラクトフェリンのTurtleTreeも過去に培地に焦点をあてたTurtleTree Scientificを設立したが、公式サイトは確認できず、同社の活動はその後確認できていない。
細胞性食品をめぐる州規制の逆風に見舞われる中、知見の横展開を狙うUPSIDE Foodsの今後の動向が注目される。
※本記事は、リンクトインの投稿をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから
関連記事
アイキャッチ画像の出典:Upside Foods



















































