代替プロテイン

ポルトガルのCell4Food、細胞性タコの開発加速に向けてAlgocellと提携

出典:Cell4Food

細胞培養でタコなどのシーフードを開発するポルトガル企業Cell4Foodは先月20日、プロセス開発と最適化を加速するために、バイオプロセス分野でAI技術を手掛けるイスラエルのAlgocellとの戦略的提携を発表した

AlgocellのAIを搭載したバイオプロセス・モデリングプラットフォーム「Algocell P」をCell4Foodの細胞培養プロセスに統合することで、プロセス全体の最適化を進める。

Cell4Foodは、魚類、軟体動物、甲殻類の細胞を用いて細胞性シーフードを開発するポルトガル企業で、2022年に設立された。ポルトガル初の細胞性シーフード企業とされている。

プレスリリースによると、Algocellとの提携では、試行錯誤の80%削減を目指すほか、限られた実験データから検証済みのモデルを構築することで開発サイクルの短縮と、予測可能性の高いスケールアップの実現を目的としている。

Cell4Foodは昨年12月、ポルトガル2030の枠組みであるSIIDプログラムを通じて150万ユーロ(約2億7,000万円)を調達した。同社は調達した資金で、タコの細胞を用いて、タコの風味・食感・栄養価を再現したハイブリッド製品の開発を進める

出典:Cell4Food

今月には、ポルトガル議会の農業・水産委員会において、細胞農業に関する説明を行った

同社CTO(最高技術責任者)のFilipa Soares氏と研究開発責任者のCarlos Rodrigues氏が出席し、細胞農業がポルトガルの食料システムにどのような変革をもたらし得るかについて意見交換を行った。

Cell4Foodはこの場で、細胞農業は従来の食料システムを置き換えるものではなく、補完する存在として位置づけられるべき技術であると強調。食の未来を見据え、細胞農業が果たし得る役割について議論することの重要性を訴えた。

同社は今回の説明の機会を、ポルトガル国内外における細胞農業産業の発展に向けた重要な一歩と位置づけている

Carlos Rodrigues氏(中央)、Filipa Soares氏(右側)が出典:ARTV

アメリカシンガポールオーストラリアなど複数国で細胞性食品が販売され、昨年には米WildTypeがアメリカで細胞性サーモンの世界初販売を実現した。一方で、欧州では細胞性ペットフードを除き、ヒト向けに承認された事例はまだない。こうした中、Cell4Foodはシーフード分野の中でもタコというニッチな領域を狙う。

シーフード需要は世界的に拡大し、国際取引価格も需要の高まりを背景に上昇傾向にある一方でプラスチックごみによる海洋生物への影響が懸念され、混獲も重要な環境課題として指摘されている。

同社は細胞性シーフードを「伝統的な漁業の課題に対する持続可能かつ倫理的な解決策」と捉え、将来的にはタコ以外の他の魚種にも開発を広げる方針だ

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Cell4Food

 

関連記事

  1. ソーラーフーズ、CO2由来の微生物タンパク質「ソレイン」で米国G…
  2. TurtleTree、精密発酵ラクトフェリンの上市に向けて最初の…
  3. 米培養肉Upside Foods、培養肉用のアニマルフリーな増殖…
  4. ソーラーフーズのCO2由来「ソレイン」、米国で初の消費者向け販売…
  5. インポッシブルフーズがオーストラリア・ニュージーランド進出へ向け…
  6. チェコの培養肉企業Mewery、チェコ政府から約3200万円の助…
  7. 牛を使わずに乳製品を開発するDe Novo Dairy|南アフリ…
  8. 米Reel Foods、初の培養魚試作品を発表|組織工学を活かし…

おすすめ記事

代替肉のネクストミーツが新潟に代替肉の自社工場を建設、2022年夏の稼働を目指す

代替肉企業ネクストミーツが代替肉の製造に特化した自社工場「NEXT Factor…

英Meatly、細胞性ペットフード量産へ前進|約22億円を調達し、ロンドンに2万L規模施設を計画

出典:Meatly細胞性ペットフード(培養ペットフード)を開発する英Meatlyは5月7日、シリ…

細胞培養向け試薬を開発する英CellRev、シリーズA調達に至らず事業停止へ

共同創業者・CSOのMartina Miotto氏(出典:Chris Green氏リンクトイン)…

英Fermtech、ビール粕×麹菌でゼロカーボンな代替タンパク質を開発

2025年3月25日:本記事で参照した公式リンクの内容はその後大きく変更されておりますが、記事内では…

【現地レポ】米GOOD Meatの培養肉実食レビュー@シンガポール(2024年7月)

今年5月、シンガポールの小売店で培養肉の販売が開始された。場所は、チャイ…

精密発酵タンパク質、最終製品から「単一原料」の消費者向け販売へ|The EVERY Company卵白タンパク質粉末がB2C販売

出典:Healthier Comforts精密発酵で製造されたタンパク質原料が、新たな形で市場投…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP