代替プロテイン

ドイツのVeganz、シート状のオーツミルク製品「Mililk」を米国に輸出開始へ|代替ミルクで広がる“水を運ばない”潮流

出典:Veganz Group

ドイツのVeganz Groupは先月、子会社のMililk Food Techが2Dプリンターで印刷されたシート状の代替ミルク製品をアメリカに輸出することを発表した

今月、最初のコンテナがアメリカ東海岸に向けて出荷される。

プレスリリースによれば、オーツミルクの短期的な受注予測は1,500万リットルに達し、北米・アジアの顧客からは1年半で1億6,000万リットルの需要があると見込んでいる。

これにより、ドイツ発のシート状というユニークな代替ミルクが、いよいよアメリカ市場に導入されることとなる。

Mililk Food Techのマネージングディレクターを務めるAnja Brachmueller氏は、「Mililkの納入品は農産物として分類されるため、ドイツ製品に対するアメリカの15%の輸入税は適用されないと見込んでいます。これは明確な競争優位性となり、アメリカ市場への参入を加速させるでしょう」とプレスリリースで述べている。

シート状の代替ミルク「Mililk」、米国へ

出典:Veganz Group

「Mililk」はシート状の代替ミルクで、シートと水を30秒間ブレンドすると、オーツミルクが出来上がる仕組みだ。水を含んだ従来型の代替ミルクではなく、製品から水を取り除くことで、“飲みたい時に作れる”代替ミルクとなっている。

「Mililk」は1リットルあたりわずか128gの重量となり、持ち運びの手間や、輸送・物流に伴うコスト・環境負荷も軽減される。同社によれば、包装ごみ94%、重量85%の削減が可能だという。

Veganz Groupは2011年に、当初は欧州のヴィーガン向けスーパーマーケットとしてベルリンで設立された。同社が運営していたヴィーガンスーパーは、一部が昨年4月、ドイツの小売大手REWE Groupにより同社ヴィーガンスーパーとして転用された

その後、プラントベースメーカーとして市場に参入し、Mililkのほか、代替チーズのHappy Cheeze、代替肉のPeas on Earthなどのブランドをドイツで確立した。

Veganzの製品はドイツ、オーストリア、スイスのEdekaREWEなどの小売店で販売されている。今回の発表は、同社ブランドがアメリカ市場に導入される転機となる。

同社は現在、ドイツからの輸出と並行して、北米における生産拠点の候補地を選定している。北米では2026年上半期の生産開始を予定しているという。

“水を運ばない”潮流、代替ミルクを超えてお酒でも

ソリプル・マッコリキット 出典:MR. GROUP

Mililkの特徴は“シート化”だが、水をあらかじめ抜くという発想自体は、粉末や濃縮ベース、業務用ディスペンサーなど複数の製品に広がりつつある

ドイツのBlue Farmは、家庭で水と混ぜて作る粉末型オーツミルク製品を開発した。ドイツ、スイス、オーストリアに発送している

アメリカのJOIはペーストおよび粉末ベースの代替ミルクを販売しており、アーモンド、カシュー、オーツなど複数ラインナップを展開している

同じくアメリカのNumilkは濃縮パウチと家庭用マシンで、その場で新鮮な代替ミルクを作るモデルとなる。2018年にホールフーズに自販機が導入された実績もある

国内でも水とシェイクして、5分で完成する粉末オーツミルク製品「Earth MILK」が展開されている。

「便利さと新鮮さ」を両立させたソリューションは代替ミルクにとどまっていない点が興味深い。韓国のフードテック企業MR. GROUPFoovoへのメールで、水を注ぐだけで48時間以内に発酵し、生マッコリが完成するという新製品 「ソリプル・マッコリキット」を開発したと述べた。

Mililkの“すぐできるミルク”とは方式が異なるが、輸送時の無駄を減らせるという利点は共通だ。こうしたユニークかつ、利便性と環境負荷低減の両立を目指す製品は、今後ほかの代替食カテゴリにも広がる可能性がある。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Veganz Group

 

関連記事

  1. Tempty Foods、デンマークのセブンイレブン30店舗で試…
  2. 「大食物観」とは何か―中国政策文書の変化から読み解く中国のフード…
  3. 精密発酵スタートアップが欧州の「不透明な」規制枠組みの改善に向け…
  4. スイスの小売大手ミグロスがビーガンゆで卵を発売
  5. VEOSグループ傘下のベルギー企業Naplasol、マイコプロテ…
  6. 精密発酵でアニマルフリーなチーズを作るNutropyが約2.8億…
  7. 国内最大級のフードテックイベントSKS JAPAN 2024が1…
  8. 独Nosh Biofoodsが赤身肉のようなマイコプロテインの開…

おすすめ記事

万博展示の培養肉、全国の科学館展示を目指して大阪大学がクラウドファンディング

出典:大阪大学国内ではまだ販売に至っていない培養肉などの細胞性食品を、実物を見て、知ってもらうた…

古細菌の力で二酸化炭素をタンパク質に変換|オーストリア企業Arkeon Biotechnologiesが約8.5億円を調達

オーストリア、ウィーンを拠点とするArkeon Biotechnologiesは…

代替油脂の米Lypidが台湾大手コーヒーチェーンと提携、500店舗に導入

植物由来の代替油脂を開発する米Lypidが、台湾大手コーヒーチェーンのLouis…

代替卵「JUST Egg」の欧州導入に向け、イート・ジャストとVegan Food Groupが提携──進展と撤退のある欧州の代替卵市場で、いかに差別化するか

米イート・ジャストの代替卵ブランドJUST Eggが、欧州市場への導入に向けて動…

インポッシブル・フーズの大豆レグヘモグロビンをEFSAが安全と判断:GMOパネルが結論を発表

米インポッシブル・フーズ(Impossible Foods)の大豆レグヘモグロビ…

培養肉企業インテグリカルチャーによる 「CulNetコンソーシアム」が本格始動、細胞農業の社会実装を目指す

日本を代表する培養肉企業インテグリカルチャーによる細胞農業オープンイノベーション…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(01/11 16:32時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(01/12 03:15時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(01/12 06:49時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(01/11 22:34時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(01/11 14:32時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(01/12 01:56時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP