代替乳製品・代替卵

All G、精密発酵によるウシ型のアポラクトフェリンを米国で上市

出典:All G

オーストラリアのスタートアップAll Gは今月、精密発酵で生成したウシラクトフェリンをアメリカで発売した。

ラクトフェリンには免疫機能の向上や呼吸器感染症の予防など優れた作用が期待されるにも関わらず、供給が限られているため、粉ミルクなど一部の食品や飲料に使用が限定されている。

2021年設立のAll Gは、そうした供給と需要のギャップを埋めるため、精密発酵技術によりウシおよびヒトのラクトフェリン開発に取り組んでいる。Green queenの報道によると、同社は6ヶ月以内に精密発酵によるヒトラクトフェリンの上市も計画している。

今回上市したのは、同社が「LFX」と呼ぶアポラクトフェリン粉末だ。

出典:All G

ラクトフェリンは鉄イオンを可逆的に結合・放出する能力を有し、多くの鉄と結合した鉄飽和度85%超の状態をホロラクトフェリン、少量の鉄と結合した鉄飽和度5%未満の状態をアポラクトフェリンという。

All GのGRAS通知(GRN 1284 p12)によると、通常の牛乳に含まれるラクトフェリンの鉄飽和度は10~20%となる。このため、鉄飽和度の低いアポラクトフェリンは鉄を結合する能力が高く、細菌の増殖に必要な遊離鉄を捕捉することで、静菌作用を示すとされる。

公式サイトによると、同社LFXの鉄飽和度は5%未満となり、鉄飽和度を低く抑えることで、鉄結合能力を最大限に高めるよう設計されている。

All Gは精密発酵ウシラクトフェリンについて、2024年11月に中国でパーソナルケア用途で認可を取得した。その翌月にはアメリカでGRAS自己認証を取得し、今年3月にFDAから「質問なし」のレターを受領した。一方、ヒトラクトフェリンについては、年内にGRAS自己認証を見込むという。

Green queenの報道によると、アメリカ向けの最初の製品はすでに出荷済みで、サプリメント商品に使用されているが、顧客名は非公開だとしている。

All GはDöhlerとの提携を通じ、ドイツに専用のパイロット施設を有する。カゼインミセルに関する特許も出願している。2025年12月には、ウシおよびヒトのラクトフェリン生産・販売に向けてフランスのArmor Protéinesとの合弁会社を設立した。

AgFunderの報道によると、現在、6万L規模で年間数トンのLFXを生産しており、欧州を念頭に第2の工場を建設する計画を進めているという。

出典:Perelel Health

ウシラクトフェリンでは、シンガポール発でアメリカに拠点を置くTurtleTreeが先行している。

同社は昨年4月、自社ブランドとして精密発酵ウシラクトフェリン「LF+」を使用したサプリメント製品「IronKind」を上市し、初の市場投入を実現した。今年4月には、Perelel HealthがLF+を使用したパウダー製品(上記写真)を発売している。次のステップとして、今月には乳幼児栄養市場用途のスケールアップ・商用化に向けてNovonesisと提携した。

 

※本ニュースについては、プレスリリースを取得できなかったため、海外メディア(Green queen)の記事をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:All G

 

関連記事

  1. DSM・フォンテラが設立した精密発酵企業Vivici、資金調達を…
  2. ポルトガルのPFx Biotech、精密発酵による母乳タンパクの…
  3. Eden Brewが精密発酵カゼインでGRAS自己認証、機能性原…
  4. 米イート・ジャストがシンガポール最大の植物性タンパク質工場の建設…
  5. 細胞性食品は各国で何を意味するのか|研究者らが語る社会・文化の違…
  6. Onego Bio、精密発酵卵白タンパク質を米ワッフルブランドに…
  7. イスラエル企業Accellta、細胞性乳脂肪で米国市場進出を狙う…
  8. ユニリーバ、植物性の代替肉・代替乳製品の年間売上目標を約1200…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

エストニアで進むマイコプロテイン開発|ホールカット代替肉を開発するFunkiとMati Foodsの取り組み

エストニア発のマイコプロテイン企業Funkiは、今後5年から10年で、食用菌糸体…

マイコプロテインから飼料、燃料まで|東京理科大発MycoGenome、独自の真菌ゲノム編集技術で社会課題の解決に挑む【インタビュー】

代表取締役社長の林修氏 Foovo(佐藤あゆみ)撮影 BioJapan 2025にて東京理科大学…

培養肉スーパーミートと欧州大手養鶏企業PHW、培養肉の欧州導入で合意

テルアビブを拠点とする培養肉企業スーパーミート(SuperMeat)は、欧州市場…

イングレディオンが砂糖削減ソリューションのBetter Juiceと提携

砂糖を削減する酵素技術を開発したイスラエル企業Better Juiceが、世界的…

ブラジルの精密発酵企業Future Cow、最初の乳タンパク質試作品を製造

ブラジルのスタートアップ企業Future Cow Technologiesは昨年…

乳業大手フォンテラ、精密発酵・バイオマス発酵企業2社と提携(Nourish Ingredients・SuperBrewed Food)|排出量削減に向けた新たな一歩

ニュージーランドの大手乳業会社フォンテラが環境負荷の軽減に向けた取り組みを強化し…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

次回Foovoセミナーのご案内

細胞性食品(細胞培養食品)レポート販売開始

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

代替カカオレポート・好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

PAGE TOP