代替プロテイン

南米の製糖会社、精密発酵の工場建設へ|Magdalena、グアテマラで65万L施設を計画

イメージ画像

中南米の製糖大手Magdalena(マグダレナ)が、グアテマラの製糖工場の隣に、65万リットル規模の精密発酵施設を計画していることが明らかになった。

AgFunderが第一報を報じた。

製糖会社、糖を使ったバイオものづくりへ

出典:Magdalena

注目したいのは、製糖会社が「糖を売る立場」から、自ら「糖を起点とした」精密発酵のインフラを構築しようとしている点だ。

製糖会社が発酵領域に関与する例はすでに複数ある。たとえば、欧州大手の甜菜共同組合Cosunはてん菜副産物のマイコプロテインへの変換を目的にPlanetary出資しており、日本甜菜製糖も砂糖副産物の活用を見据えてNoMy Japanに出資している。

こうした事例の多くは、製糖会社が副産物活用や出資、提携を通じて発酵領域に関わるものだ。これに対しMagdalenaは、自ら大規模な精密発酵のインフラ整備に乗り出した点でさらに踏み込んでいる。Foovoの認識では、製糖会社自身が前面に立って精密発酵のインフラ構築に乗り出す動きは初だと思われる。

AgFunderの報道によると、同社はまず5万リットルと2,000リットルのパイロット工場を建設し、2029年までに65万リットルへ拡張する計画だ。

事業はCMOから始め、将来的には自然界に存在するもののスケールアップが難しい分子の生産にも取り組む構想を示している。

Magdalenaのバイオ関連事業は、①イノベーションラボのBiorbis、②使用済み酵母を動物飼料や水産養殖、ペットフード向けの高栄養タンパクへアップサイクルするProteva、そして③グアテマラで糖を高付加価値分子へ変換する精密発酵CMOプラットフォームの3本柱で構成されるという。

1983年に事業を開始したMagdalenaは、7年後にはグアテマラ国内への電力供給を開始。2023年からは、合成生物学や持続可能なバイオものづくりに向けた研究を開始し、事業の多角化を進めた

Amyrisが所有していたポルトガルのイノベーションラボBiorbisを引き継いだことで、精密発酵の原料となる砂糖だけでなく、バイオプロセスの知見を取り込んだ。Magdalenaの砂糖生産は日産4万トンで、国内向けが20%、80%は輸出にあてている。グアテマラで砂糖シェアの24%を誇る

ブラジルではAmyrisが2025年5月、Barra Bonitaの精密発酵工場の完全保有を発表している(同社が既存工場の持分を追加取得した動き)。同工場はRaízenの製糖工場に隣接しており、製糖会社のインフラが精密発酵の立地面で強みになり得ることを示す事例といえる。

これに対しMagdalenaは、製糖会社自身が前面に立ち、「糖を売る事業」から「糖を起点にしたインフラ事業」へ多角化を進めようとしている点で、さらに踏み込んだ動きとして位置づけられそうだ。

精密発酵では、ほかにもインフラを構築する動きがある。米Liberation Bioindustries(旧称Liberation Labs)はインディアナ州で60万リットル規模の精密発酵工場を建設中で、2027年のラクトフェリン上市を目指す米PFerrinX26は、EUとアジアに合わせて計200トンの生産能力の施設を確保しており、2027年と2029年の稼働を予定している。

 

※本記事は、AgFunderの第一報をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Magdalena

 

関連記事

  1. アレフ・ファームズ、シンガポール・イスラエルでの合意で培養肉の生…
  2. DM三井製糖、2026年から植物性マグロの提供を計画|海外新興も…
  3. フィンランドの研究チームが細胞培養によるコーヒー生産に成功
  4. 培養フォアグラを開発する仏Gourmeyが約11億円のシード資金…
  5. VEOSグループ傘下のベルギー企業Naplasol、マイコプロテ…
  6. Leaft Foods、ルビスコの日本商用化に向けラクト・ジャパ…
  7. ERGO Bioscience、植物細胞培養によりミオグロビン・…
  8. Esco Aster、2025年までにシンガポールに新たな培養肉…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

マレーシアの培養肉企業Cell AgriTechが2024年末までの工場開設を発表

マレーシア初の培養肉企業Cell AgriTechは、マレーシア、ペナンに培養肉…

エンドウ豆由来の代替ミルクを展開する米Ripple Foodsが約72億円を調達

黄エンドウ豆由来の代替ミルクを開発・販売する米Ripple Foodsが4,92…

藻類で培養肉用培地のコストダウンを図る東京女子医科大学、培養廃液もリサイクル

2021年8月29日に第3回細胞農業会議(日本細胞農業協会・培養食料研究会主催)…

米Uprootによる大学向けの植物ミルクディスペンサー|植物ミルクを当たり前の選択肢に

アメリカで植物ミルクの選択肢が一般的になる一方で、大学キャンパスでの植物ミルクの…

イスラエルのDairyX、精密発酵技術で自己組織化するカゼインミセルの生産方法を開発

2022年に設立されたイスラエルのスタートアップ企業DairyXは今月、精密発酵…

ゲノム編集で食・農業の変革を目指す米Pairwiseが新たな戦略を発表

ゲノム編集技術を活用して農産物を開発する米Pairwise(ペアワイズ)は先月、…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

代替カカオレポート販売開始のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP