新しい食

Celleste Bio、細胞性ココアバター使用の世界初のミルクチョコレートを発表

出典:Celleste Bio

イスラエルのCelleste Bioは15日、植物細胞培養で生産したココアバター(細胞性ココアバター)を用いた世界初のミルクチョコレートバーを発表した。戦略パートナーであるMondelez Internationalが細胞性ココアバターを用いて12枚のチョコレートバーを試作した。

細胞性ココアバターを用いたチョコレートの発表はこれが初。昨年10月に生産を発表したココアバターを、実際に食べられるチョコレートの形まで進めた形となり、Celleste Bioが掲げる2027年までの市場投入に向けた重要な成果となった。

Celleste Bioは従来のカカオ由来品と同等の食感、口溶け、官能特性を満たしたとしている。

ココアバターは、チョコレートの口溶けや食感を左右する重要な原料とされる。共同創業者兼CTOのHanne Volpin氏は先月、Foovoインタビューに応じ、チョコレート製造ではココアバターの不足が特に深刻だと説明した。

同社はその課題に対し、植物細胞培養でココアバターを供給することを目指しており、今回の発表でも、1粒のカカオ豆から、植物細胞培養により森林伐採を伴わずに原料を増やせる点を訴えている。

Volpin氏によれば、1,000リットルのバイオリアクター1基で、カカオ農園1ヘクタール分に相当する年間約1トンのココアバターを生産できる試算となり、年内に1,000リットルにスケールアップし、技術経済性分析(TEA)の実数値を得る計画だ

気候変動、森林破壊、供給不安を背景に、同氏は、細胞培養技術は従来の栽培方法の補完アプロ―チになるとともに、環境負荷を低減できるものだと強調している。

Hanne Volpin氏 Foovo(佐藤あゆみ)撮影

Volpin氏は、同社が2027年末から2028年初頭の上市を想定し、規制審査の早い市場から展開する予定だとFoovoに述べた。また、韓国では協業先企業が植物細胞の生産拠点を設置する可能性があることにも言及している。

Celleste Bioは今回の成果を受けて、今後2年以内に市場投入可能な規模へと生産を拡大する計画だ。

細胞農業によるココアバターやカカオ開発の動きは、Celleste Bio以外にもみられる。

今年2月には、米Yali Bioが精密発酵ココアバターの小規模テスト販売をアメリカで年内に計画しているとFoovoに述べた。スイスのFood Brewerは植物性カカオで欧州上市を進めつつ、細胞性カカオで2027年のアメリカ上市を見込んでいる。

Green queen報道によると、明治ホールディングスが出資する米California Culturedは自社の細胞性カカオ粉末についてGRAS自己認証を確認し、FDAにGRAS通知を提出。今年後半の上市を目指しているという。

カカオ価格の乱高下や供給不安を受け、Barry Callebautやカーギルなど大手原料メーカーでも原料分散の動きが広がっており、今後は「カカオを減らす」だけでなく、「ココアバターをどう確保するか」も焦点になりそうだ。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Celleste Bio

 

関連記事

  1. キッチンOSのサイドシェフ|買出しレシピサービスでウォルマートと…
  2. 仏Green Spot Technologies、副産物×発酵で…
  3. 培養肉はまず「ハイブリッド」から、価値は肉以外へ拡張|GFI E…
  4. 代替コーヒーのPrefer、タイ味の素社と提携|持続可能なコーヒ…
  5. ごぼうから生まれたカカオ不使用の代替チョコ「ゴボーチェ」実食レビ…
  6. カカオフリーのチョコレートを開発する英WNWNが約7.6億円を調…
  7. 精密発酵により代替タンパク質を開発する企業23社
  8. スイスのFood Brewer、培養カカオで2027年米国上市を…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

JBAなどバイオ3団体、日本成長戦略に提言|フードテックで省庁横断体制とルール整備を求める

Foovo(佐藤あゆみ)撮影 記者会見にて政府は昨年11月、日本成長戦略本部を設置し、17の戦略…

パーフェクトデイが約390億円を調達、今秋にアニマルフリーなクリームチーズを発売

アニマルフリーな乳製品を開発する米パーフェクトデイがシリーズDラウンドで3億50…

代替タンパク質の普及促進を行う国際シンクタンクGood Food Institute(GFI)が日本拠点を設立

代替タンパク質の普及促進で主導的役割を担う国際シンクタンクGood Food I…

食品ロスに取り組むFlashfoodが約14.7億円を調達、アメリカ食料品店との連携を強化

食品ロスに取り組むアプリを提供しているカナダ企業FlashfoodがシリーズAで…

Vivici、欧州企業で初となる精密発酵タンパク質のGRAS自己認証ステータスを発表、年内にアメリカで発売へ

オランダの精密発酵企業Viviciが、精密発酵由来ホエイタンパク質についてGRA…

Helaina、精密発酵によるラクトフェリンの商用化へ移行、機能性食品参入に意欲

アメリカのバイオテック企業Helainaは、精密発酵によるラクトフェリンの生産に…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

会員サービスFoovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovoセミナー開催のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP