2025年のバイオジャパンで展示されたオルガノイドファームの細胞性牛肉 Foovo(佐藤あゆみ)撮影
細胞性牛肉を開発するオルガノイドファームは17日、200リットルのバイオリアクターを用いて、牛筋肉細胞の培養実証試験を実施したと発表した。
同社によると、200L規模での細胞性食品の実証実験は国内最大級。培養から回収まで一連の工程を完了したことで、商用生産に向けたスケールアップおよびコスト低減の技術基盤を確立したとしている。
牛筋肉細胞の200L培養実証試験に成功

2025年のバイオジャパンで展示された同社細胞性牛肉バーガー Foovo(佐藤あゆみ)撮影
今回の実証では、日揮ホールディングスの技術研究所が保有する動物細胞用バイオリアクターと、培養が難しいとされる牛の筋肉細胞株を使用。培養プロセスには、足場材を使わない浮遊培養を採用した。
プレスリリースによると、足場材を使用しないことで原材料費の抑制や回収工程の簡素化が見込めるほか、培養環境をよりシンプルにできるため、均一な攪拌や安定培養にもつながるという。さらに、装置の洗浄や滅菌といった運用面でも効率化が期待される。
使用した細胞株は、オルガノイドファームが開発し、特許を取得しているものだ。一般的な牛の筋肉細胞と異なり、細胞分裂が途中で止まりにくく、増殖を続ける特徴を持つという。
培養は2026年1月から2月にかけて実施され、初回の試験で増殖した牛筋肉細胞の取得に成功した。今回の発表により、同社が細胞株と培養プロセスの両面で、スケールアップに向けた準備を着実に進めていることが示された。

出典:オルガノイドファーム/日揮ホールディングス
オルガノイドファームは、日揮ホールディングスのグループ会社として2021年に設立された。自社の細胞株・培養技術に加え、日揮グループが医薬品や再生医療分野で培ってきたスケールアップやエンジニアリングの知見を組み合わせ、研究開発を進めてきた。
昨年には企業や研究機関向けに和牛細胞の販売を開始。昨年のバイオジャパンでは100%細胞からなる生の細胞性牛肉や、それを焼いたミニバーガーなど複数の試作品を発表した。
今後は培養効率化の検証を進めるとともに、実用化に向けた実証の場の構築や、戦略的パートナーとの協業を模索していくとしている。2028年には、商用生産に向けたスケールアップ実証試験と試作品開発を加速する新拠点の開設も予定している。
国内で制度整備と事業化の動きが進展

Foovo作成(2026年4月16日時点の状況)
世界では、シンガポール、アメリカ、オーストラリア、香港で細胞性食品の販売事例が生まれており、ペットフード向けも含めればイギリス、オーストラリアでも販売事例がある。
一方、日本では制度整備がまだ途上にあり、販売は実現していないが、消費者庁の新開発食品調査部会で細胞性食品のガイドライン整備に向けた議論が進められている。
事業化を見据えた動きも広がりつつある。

インテグリカルチャーのアヒル細胞を培養した試作品とそれを用いたラザニア Foovo(佐藤あゆみ)撮影
昨年、黒字化を達成したインテグリカルチャーは今年1月、地域のストーリーを持つ細胞性食品の創出を目指し、新潟フードテックタウン構想を進めるオイシックス・ラ・大地と共同開発契約を締結した。
同社は調査部会に提出した2026年3月30日付け資料の中で、2027年4月1日に上市を目指せるスケジュールで安定的な製造試験とデータの蓄積を進めていると述べた。
細胞性鶏肉を開発するダイバースファームは、早期の事業化に向けて、シンガポールやオーストラリアなどへの製造技術のB2B展開を計画している。
シンガポールで2種の動物種の認可を取得したフランスのPARIMAも、調査部会への提出資料の中で、日本で上市が可能となり次第、国内製造を行う方針を示した。
さらに味の素は今月、細胞性食品企業への提供を想定し、無血清培地で高い増殖率を維持できる植物由来成分に関する新技術の開発を発表している。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像はFoovo(佐藤あゆみ)撮影





















































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