代替プロテイン

米Bond Pet Foods、精密発酵ラムタンパク質でGRAS審査完了|Hill’sとペットフード商用化へ前進

出典:Bond Pet Foods

米Bond Pet FoodsとHill’s Pet Nutritionは5月12日、精密発酵で生成したラムタンパク質「Lamb Protein Yeast」について、アメリカ食品医薬品局の獣医学センター(FDA-CVM)からGRAS通知に対する「質問なし」レターを受領したと発表した。

精密発酵由来の動物タンパク質がペットフード用途でFDAのGRAS審査を完了したのはこれが初めて。

プレスリリースによると、対象は健康な成犬向けで、完成品中に15%まで配合できる。

二社は犬を対象に6カ月間の給餌試験を実施しており、「ペットフード向けの高品質な動物タンパク質の商用化に向けた大きな節目」だとプレスリリースで述べている。

Bond Pet FoodsがFDA-CVMにGRAS通知を提出したのは2025年5月21日。約1年を経て、当局の審査が完了したことになる。

二社が発表した論文および動物用食品GRAS一覧(番号79)によると、ラムタンパク質を発現するSaccharomyces cerevisiaeを使用している。

2トンから25トン超納品、そしてFDA審査を通過

出典:Bond Pet Foods

2017年創業のBond Pet Foodsは、初期から精密発酵技術を使用していたわけではない。

同社は2020年5月、乾燥酵母を使った同社初のアニマルフリーな犬用おやつ「Dog Treat Bar」を発売した。その後、「Dog Treat Bar」の販売を止め、精密発酵由来の肉タンパク質を使用したペットフードの開発・商用化に注力することを決めた。

2020年8月には、精密発酵でペットフード用の鶏タンパク質生産に成功した(下記写真)。鶏の遺伝子を導入した酵母を使用して、アニマルフリーな動物タンパク質を生成した。

ろ過し、乾燥する前の鶏タンパク質 出典:Bond Pet Foods

Hill’s Pet Nutritionとは2021年に提携。2024年には、精密発酵由来の動物タンパク質2トンを同社に納品したと発表しており、当時すでに45,000リットル規模での生産を実施していた。

今回のプレスリリースでは、これまでに25トン以上のラムタンパク質をHill’s Pet Nutritionの施設に納品し、配合、試験、規制評価に使用してきたことが明らかにされた。

猫向けでも同じラムタンパク質を使った給餌試験を完了しており、猫での使用に向けて、当局に追加情報を提出する準備を進めているという。

微生物由来タンパク質のペットフード応用が広がる

発酵後の鶏タンパク質(2021年 Instagram) 出典:Bond Pet Foods

微生物由来タンパク質をペットフードに使う動きは広がっている。

米Calystaは、メタンなどを炭素源とする非GMOの単細胞タンパク質「FeedKind」を展開しており、2025年には独Marsapetが同成分を使ったドッグフード「MicroBell」を発売した。同社は2025年7月、犬を対象とした8ヵ月間の長期安全性試験の結果を発表した。

FDAの動物用食品GRAS一覧(番号86)には、CalystaのMethylococcus capsulatusを用いた犬向けタンパク質が2025年12月1日付の申請で審査中として掲載されており、Bond Pet Foodsに続く動きとして注目される。

ただし、Bond Pet FoodsとCalystaでは技術が異なる。Calystaは非GMOの微生物タンパク質であり、動物由来タンパク質と同一の成分を作る精密発酵ではない。一方、ベルギーのPaleoは、精密発酵で動物由来のミオグロビンを作り、ペットフード市場への参入を目指している。

さらにフィンランドのEniferは、今年3月にペットフード向けのマイコプロテイン「PEKILO Pet」の4トン生産を完了し、今月にはペットフードメーカーRovio Pet Foodsが同成分使用の犬用おやつを発表した。

精密発酵、ガス発酵、マイコプロテインと、微生物由来タンパク質を活用したペットフードの商用化に向けた動きが加速している。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Bond Pet Foods

 

関連記事

  1. フランスのPARIMA、シンガポールで細胞性アヒルの販売認可を取…
  2. ヒマワリ種子のオレオソームで代替脂肪を開発するTime-trav…
  3. 単細胞タンパク質を開発する独MicroHarvest、ポルトガル…
  4. ビーガンチーズを開発するMiyoko’s Creameryが約5…
  5. 精密発酵の米パーフェクトデイ、約130億円の資金調達とともに創業…
  6. 中国の培養肉企業Jimi Biotechnologyが100%培…
  7. おがくずから代替油脂を開発するÄIOが約9.9億円を調達、デモプ…
  8. Novameatがスペイン政府から約3100万円を調達、世界トッ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

培養マグロを開発するWanda Fishが約10億円を調達

培養マグロを開発するイスラエル企業Wanda Fishがシードラウンドで700万…

英Tropic、約166億円を調達|非変色バナナ・賞味期限延長バナナで需要が供給上回る中、生産拡大へ

出典:Tropicイギリスの植物バイオテクノロジー企業Tropicは今月12日、シリーズCラウン…

英Meatly、細胞性ペットフード量産へ前進|約22億円を調達し、ロンドンに2万L規模施設を計画

出典:Meatly細胞性ペットフード(培養ペットフード)を開発する英Meatlyは5月7日、シリ…

米Ovieが開発した冷蔵庫の食品を簡単に追跡できるスマートタグLightTags

食べ残しの料理や、蓋を開けたジャムなど「まだ食べられる」と思って冷蔵庫に保存した…

ネスレもカカオフリー領域に参入|ドイツで代替カカオ「ChoViva」採用の自社ブランド製品を来月発売へ

出典:Nestléネスレがついに、カカオフリー領域に参入する。ネスレ・ドイツは3月2日、…

味と価格の両立は「脂肪」から-米Mission Barnsが語る培養脂肪戦略とグローバル展開|セミナーレポ

先月、培養脂肪で世界で初めてFDAの安全性審査をクリアした米スタートアップMis…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

次回Foovoセミナーのご案内

細胞性食品(細胞培養食品)レポート販売開始

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

代替カカオレポート・好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

PAGE TOP