リッチモンド工場の内部 出典:Liberation Bioindustries
アメリカのLiberation Bioindustries(旧称Liberation Labs)がインディアナ州リッチモンドで建設を進めている60万L規模の精密発酵工場で、完成までに必要な資金が約2,500万ドル(約39億円)不足していることが明らかになった。
資金不足によって工事の進捗は鈍化しており、目標としてきた2026年第4四半期の完成は達成できない見込みとなる。出資者の英Agronomicsが9月29日に発表した。
Liberation Bioindustriesは、精密発酵によるタンパク質などの受託製造を目指すCDMO企業。精密発酵の商用化に向けた生産能力の不足を解消し、スタートアップなどが量産へ移行できるよう支援することを目指している。2023年6月にリッチモンドで工場建設を開始した。
2025年5月には、オランダの精密発酵スタートアップViviciと初の製造パートナーシップを締結。同社が開発するβ-ラクトグロブリン「Vivitein BLG」を生産する計画を発表した。サウジアラビアで第2の工場建設に向けた調査も進めている。
AgFunder News(AFN)の過去報道によると、リッチモンド工場には15万Lのバイオリアクター4基を設置し、下流工程も備える計画となる。

出典:Liberation Bioindustries
精密発酵でスケールアップのギャップを埋める動きは他にもあり、最近ではフランスで先月、ミシュランやダノンなどが参画する「Biotech Open Platform」が開設された。最大1万5,000Lの発酵ラインを備えるが、こちらは研究室から商用化の間にあるギャップを埋めることを主な目的としている。
プレスリリースによると、今回の資金不足は、調達を見込んでいた一部の資金が確保できなかったことに加え、プロジェクトの遅延に伴う追加費用や世界的な経済情勢によるコスト上昇が原因だという。
同社は過去4ヶ月間、工場の売却や合弁事業も含め、事業の戦略的見直しを検討していた。特に2者と長期にわたる交渉を重ねたものの、受け入れ可能な提案は得られず、主要株主とともに、外部パートナーなしで建設を継続する方針を決めた。
これまでに、株式や借入金などを通じて1億2,500万ドル(約195億円)を工場建設に投じている。主要な建設工事は完了しており、追加資金は主に配管、溶接、電気工事に充てるという。
Liberation Bioindustriesは、株主からの追加出資や担保付借入金、政府の助成金・融資、顧客からの前払い金を組み合わせ、2027年上半期に資金調達を目指すとしている。
追加資金を確保してから完成、稼働を開始して初回生産に至るまでには、さらに約6カ月かかる見通しとなる。Agronomicsなどの主要株主は、工場完成に向けて引き続き支援する意向を示している。

出典:Liberation Bioindustries
同社CEO(最高経営責任者)のEtan Bendheim氏は今年6月、生産能力の2倍を超える引き合いがあるものの、顧客は稼働時期が確定するまで正式な契約をためらい、投資家は事業面での確実性を求めるという難しさがあることを、AFNのインタビューで述べている。
AFNの10月の記事によると、ある精密発酵スタートアップの創業者は、年間数百万ドル規模の契約を実際に結べる企業はまだ少なく、関心を示すことと、拘束力のある契約を結ぶことは別だと指摘したという。
また、同工場は製造コストを削減できる規模ではあるものの、規模の経済を最大限に発揮するには不十分との見方も示している。共用施設であるため、顧客ごとに下流工程を最適化することにも限界があるという。別の業界関係者は、多くのスタートアップが新規食品原料を市場投入する難しさを過小評価してきたとAFNの取材で指摘している。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:Liberation Bioindustries
















































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