代替脂肪/代替油脂

精密発酵でココアバターを代替、米C16 Biosciencesが初の食品原料を発表

出典:C16 Biosciences

精密発酵で油脂を開発する米C16 Biosciencesは7月30日、食品向けとして初の原料となる代替ココアバターを発表した。カカオ由来のココアバターが抱える品質のばらつきや供給リスク、価格変動に対応する原料として、チョコレート用途を狙う。

C16 Biosciencesは、酵母を利用した精密発酵によって油脂を生産するニューヨークのバイオテクノロジー企業。これまでは代替パーム油ブランド「Palmless」を化粧品・パーソナルケア分野で先行して展開してきた。

同社は2023年始めに、消費者向け製品として初めて、化粧品業界向けに「Palmless Torula oil」を使用した美容オイル製品を発売した。2023年にはイギリスで、同原料を使用した固形石鹸「REWILD Body Block」約200個を限定販売した(下記写真)。

出典:C16 Biosciences

2022年には5万L規模での発酵に成功し、現在も5万Lのバイオリアクターで生産している。

プレスリリースによると、Palmless原料はすでに数十種類の製品に配合され、アメリカの美容小売店や海外の販売店で販売されている。今回、美容・パーソナルケア向けに、3つの新原料「TorulaSilk」、「Torula Butter」、「Torula Carotenoid Complex」を追加した。

同社によれば、ココアバターは、ダーク、ミルク、ホワイトチョコレートに欠かせない成分だが、品質にばらつきがあり、カカオ豆の産地、季節、収穫時期によって挙動が異なるという。チョコレート製造ではテンパリング条件の調整やブルーム、割れなどにつながる場合がある。

C16 Biosciencesは脂質プロファイルを一定にし、結晶化挙動を予測しやすくすることで、こうしたばらつきを抑えられるとしている。また、カカオ栽培に依存しないため、安定供給や価格の安定化にもつながると説明する。

出典:C16 Biosciences

食品分野への進出は以前から準備していた。

C16 Biosciencesは2024年1月、ビル&メリンダ・ゲイツ財団から350万ドル(約5億5,000万円)の助成金を受け、食品分野への参入を進めると発表。Elemental Exceleratorから得た100万ドル(約1億7,000万円)の資金で、FDAのGRASプロセスに関する取り組みも進めるとしていた。

今回の代替ココアバターは同社にとって初の食品原料となるが、具体的な食品への導入時期、FDAでのGRAS取得状況については明らかにしていない。

精密発酵によるココアバター開発では、米Yali Bio、ドイツのPlanet A Foods、シンガポールのTerra Oleoなどが開発を進めている。エストニアのÄIOも林業廃棄物を活用した代替油脂でチョコレートの試作も行っている。

Foovoの調査では、精密発酵由来ココアバターを使用した食品の上市事例は、現時点では確認できていない。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:C16 Biosciences

 

関連記事

  1. 誰もが食べられるグルテンを開発するUkko、食品アレルギーにパラ…
  2. 精密発酵で生まれた甘味タンパク質──Oobliのチョコレートを試…
  3. イスラエルのAmai Proteins、精密発酵甘味タンパク質「…
  4. イスラエルのPhytolonが約37億円を調達、精密発酵由来の天…
  5. キッチンOSのサイドシェフ|買出しレシピサービスでウォルマートと…
  6. 「砂糖を再発明する」妥協なき代替砂糖の開発に挑戦するイスラエル企…
  7. 話題のビーンレスコーヒーATOMO COFFEEを渋谷で飲んでみ…
  8. 国内最大級のフードテックイベントSKS JAPAN 2024が1…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

微生物発酵で飲食用のアニマルフリーなコラーゲンを開発する米Geltor、今秋市販化へ

アニマルフリーなコラーゲンを開発するGeltorが、ヴィーガンコラーゲンPrim…

カフェに溶け込む培養肉―シンガポール・フードテック実食レポート(1)Vowの培養うずら肉「FORGED」

写真提供:吉田美和氏 本記事は、エトワール国際知的財産事務所の弁理士・吉田美和氏による寄…

米小売「Whole Foods Market」の売場から見る代替食品の現在地|米国フードテック・現地レポート(8)

Foovo(佐藤あゆみ)撮影/2026年3月サンフランシスコ2026年3月、アメリカ・サンフラン…

米Zero Acre Farms、持続可能な代替油脂でホテルから外食まで導入を拡大|大豆油・パーム油に代わる選択肢

出典:Zero Acre Farms大豆油などの種子油(シードオイル)やパーム油に代わる、持続可…

精密発酵で卵白タンパク質を開発するOnego Bio、米国進出に向けて約61億円を調達

フィンランド・アメリカに拠点を置くOnego Bioは今月、精密発酵による卵白タ…

Fooditiveが精密発酵カゼインの工業生産の実現性を実証、欧州進出に向けて提携パートナーを探索

精密発酵でカゼインを開発するオランダ企業Fooditiveは試作製造が成功し、欧…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

次回Foovoセミナーのご案内

細胞性食品(細胞培養食品)レポート販売開始

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

代替カカオレポート・好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

PAGE TOP