代替プロテイン

米FDA、GRAS通知義務化の規則案を前倒し公表|通知前の販売も可能に

出典:米保健福祉省

アメリカ食品医薬品局(FDA)は8月11日、食品成分について企業がGRAS(Generally Recognized as Safe/一般に安全と認められる)と判断した場合、FDAへの通知を原則義務化する規則案を公表した。

アメリカ政府は規則案(0910-AJ02)の公表予定を2025年10月から2026年12月へ延期していたが、予定が前倒しされた。

現在の制度では、企業は食品成分の安全性を自ら評価し、GRASに該当すると判断できる。FDAへの通知は任意で、企業はFDAへ通知せずに市場投入できる。これが「GRAS自己認証」と呼ばれるものだ。

今回の規則案で注意したいのは、企業自身がGRASと判断する仕組みそのものを廃止するわけではない点だ。FDAは企業が引き続き自社でGRASとの結論を下せる一方、その結論をFDAへ通知することを義務化するとした。

該当箇所:firms would still be able to render their own GRAS conclusions, but they would be required to submit these GRAS conclusions to FDA

したがって、通知が任意であった点を「義務」に変更し、FDAに一切通知しないまま、自社の判断だけで食品成分を販売し続ける仕組みを原則なくすもので、情報の透明性を重視した制度変更といえる。

また規則案では、GRASが市販前承認制度に変わるわけでもないことが明記された。

規則案では、企業はGRAS通知を提出する前や、提出後にFDAが正式に受理する前でも販売できるとしている。新しい用途についても、企業がGRASと判断すれば通知提出前に流通が可能になるとしている。

該当箇所:a company may continue marketing a purported GRAS substance before submitting a GRAS notice or after submitting a GRAS notice before it is filed by FDA.

Similarly, a company may reach a GRAS conclusion about a new use of a substance and introduce the substance into interstate commerce before submitting a GRAS notice.

この議論が開始された当初、FDAへのGRAS通知までを義務付けるものなのか、あるいは「質問なし」のレターを得るまでは販売不可なのかは、公開された情報から具体的なことは判断できなかった。今回の規則案公表で、企業は通知前でも販売できることが明確になった。

出典:HHS

特筆すべき点は、2025年3月の米保健福祉省発表では、「食品供給に導入する前にその成分の使用目的と安全性データをFDAに通知する必要性が生じる」と説明していたのに対し(上記画像)、今回の規則案では「通知前の上市」を認めたことだ。

つまり、当初のHHS発表から想定された制度よりも、今回の規則案は企業が販売する上で柔軟性を残した内容といえる。ただし、FDAが審査の結果、その用途についてGRASではなく食品添加物に該当すると判断した場合、販売には食品添加物として必要な認可を得る必要がある

また、すでにGRAS自己認証で流通している成分には一定の経過措置が設けられる。最終規則の発効前から市場に導入されていた成分については、発効後1年間に限り、簡略化された提出制度を利用できるとした

GRAS通知義務は、最終規則の発効から18カ月後を遵守期限とする。なお、現時点では規則案の段階であり、まだ発効していない。

 

※本記事は、公表された規則案本文0910-AJ02をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。規則案本文へのリンクでは、該当箇所に飛ぶようにリンクされております。

 

GRAS自己認証の廃止に向けたこれまでの流れ

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:米保健福祉省

 

関連記事

  1. アレフ・ファームズ、シンガポールで細胞性牛肉の販売認可を取得
  2. 代替エビを開発するNew Wave Foodsが約18億円を調達…
  3. Oatlyがオーツ麦由来のソフトクリームをイギリスで発売
  4. 【2023年度版】精密発酵レポート販売開始のお知らせ
  5. 英Multus Biotechnologyが約12億円を調達、増…
  6. 植物性卵・培養鶏肉を開発するイート・ジャストが新たに約219億円…
  7. 味の素がイスラエルの培養肉企業スーパーミートに出資、培養肉の商用…
  8. 二酸化炭素でタンパク質を作るArkeon Biotechnolo…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

細胞性ミルクのSenara、2030年に市場投入へ|バイオリアクターのライセンス展開も

出典:SenaraドイツのSenaraは、乳腺上皮細胞を用いた細胞性ミルク(培養ミルク)を開発す…

米Compound Foods、豆を使わないコーヒー・カカオの原料プラットフォームを発表|コーヒーとカカオの代替、先に広がるのはどちらか?

出典:Compound Foodsサンフランシスコを拠点とするCompoun…

培養ウナギ肉の開発に取り組む北里大学・池田大介准教授にインタビュー

写真はイメージ画像日本で江戸時代から食されてきたウナギは絶滅危惧種に指定…

米Omeatがロサンゼルスで培養肉のパイロット工場を開設

ロサンゼルスを拠点とする培養肉企業Omeatは今月、パイロット工場の完成、開設を…

米Bowlton Kitchensの1時間に300の調理が可能な料理ロボット、在庫管理も自動化

このニュースのポイント●Bowlton Kitc…

チェコのBene Meat Technologies、培養ペットフードで欧州当局に登録

2025年4月11日 更新当初、販売認可と記載していましたが、その後の報道で市販前承認を必要…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

細胞性食品(細胞培養食品)レポート販売開始

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

代替カカオレポート・好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

PAGE TOP