コーヒー

培養肉を手掛ける細胞性食品スタートアップTissenBioFarm、細胞培養コーヒーの生産に成功

出典:TissenBioFarm

厚みのある培養肉(細胞性食品)を開発する韓国のTissenBioFarmは先月、細胞培養によるコーヒーの試飲を実施したと発表した。コーヒー細胞の培養から回収、焙煎、抽出までの全工程を自社技術で手掛け、試飲を実施したのは、同社によると韓国で初となる。

同社は、コーヒー本来の風味をより忠実に再現するため、現在、培養条件と焙煎工程の高度化を進めている。また、大量生産に向けて、コーヒー細胞の液体培養についてもスケールアップを進めているという。

TissenBioFarmは今年2月、コロンビアのコーヒー豆生産・加工・流通企業であるCafé Nogalesと、細胞性コーヒー(細胞培養コーヒー)の共同研究開発と事業化に向けて基本合意書(MOU)を締結しており、今回の試飲は提携後に進めてきた研究成果となる。

出典:TissenBioFarm

同社は、人工臓器の研究開発で培った技術を活かし、構造化された培養肉の開発に取り組んできた。韓国では2024年、慶尚北道に細胞性食品の規制自由特区が設けられ、TissenBioFarmはその参加企業に選定され、2025年1月から2026年末まで実証研究を進めている。

同社は2023年3月、韓国初の細胞農業ハブとなる慶尚北道細胞農業産業支援センターの開所式で、10キログラムの培養肉試作品を発表した。昨年12月には、従来肉に匹敵する細胞密度を持つ培養肉を作製したと発表している。

出典:TissenBioFarm

細胞培養技術をパーソナルケアや化粧品など食品以外の分野へ横展開する動きはみられるが、コーヒーを手掛ける企業はまだ多くない。

世界の主要なコーヒー産地では、気候変動に伴う異常な高温がコーヒー生産への圧力を強めている。主要な品種であるアラビカ種はロブスタ種よりも暑さに弱く、30℃を超える気温は特に有害とされる。

Climate Centralの報告では、世界のコーヒー供給の約75%を占めるコーヒー生産上位5ヵ国で、コーヒーの生育に悪影響を与える高温が年間平均144日以上発生しており、気候変動の影響がなければ、こうした高温日数は年間平均約57日少なかったと推定している。

TissenBioFarmは、植物細胞培養技術を活用した持続可能な代替コーヒーを早期に市場に投入できるよう、開発に全力を尽くすとプレスリリースで述べた。

植物細胞培養でコーヒー生産に取り組む企業は多くないものの、複数登場している。

イスラエルのCoffeesaiは、発酵と光を組み合わせる技術を持つBrevelと提携。従来は暗所で行われているコーヒー細胞の培養に光を活用することで、風味や香りの向上、収量やコストの最適化に取り組んでいる。

フィンランドの研究チームは2021年、細胞培養によるコーヒー生産に成功している。そのVTTフィンランド技術研究センターでは現在、インキュベーションチーム「Solunor」がスピンアウトを目指している。Solunorは、コーヒーとアボカドの植物細胞培養技術を、食品・化粧品向けに展開することを掲げている。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:TissenBioFarm

 

関連記事

  1. ビールの醸造で発生する廃棄大麦をアップサイクルするReGrain…
  2. “見えない卵”を置き換え、食卓の多様性を守る-日本企業UMAMI…
  3. インポッシブルフーズがオーストラリア・ニュージーランド進出へ向け…
  4. GFIレポートから読む2025年の植物性食品|植物肉は実現可能性…
  5. 精密発酵でラクトフェリンを開発する米De Novo Foodla…
  6. 培養肉モサミートが培養脂肪用培地の大幅コストダウンに成功
  7. オランダの培養肉企業Meatableが培地の共同開発でDSMと提…
  8. 北大発のFloatmeal、ウォルフィアの本格生産に向けた実証試…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

米食品大手Mars、CRISPRでカカオ開発加速へ──Pairwiseとゲノム編集技術のライセンス契約を締結

出典:Marsカカオ豆の高騰が続くなか、米食品大手のMarsが新たな一手を打った。スニッ…

米イート・ジャストがシンガポール最大の植物性タンパク質工場の建設を開始

アメリカ、カリフォルニアを拠点とするイート・ジャストは、シンガポールで新しい生産…

発芽オーツ麦でカゼインを開発|イスラエル発の植物分子農業スタートアップPlantopiaが約14.7億円を調達

出典:Plantopia植物分子農業で乳タンパク質を開発するPlantopia(旧称Pigmen…

イスラエルの培養肉・代替肉企業6社まとめ

 2021年になってから、イスラエル発の培養肉企業・植物肉企業のニュースが続ている。…

イスラエルのWilk、研究室でヒトラクトフェリンの生産に成功

イスラエルのスタートアップ企業Wilk(旧称Bio Milk)は今月、ヒトラクト…

米MeliBioが欧州進出を拡大、植物性ハチミツをスイスとオーストリアで発売

米MeliBioが開発した植物性のビーガンハチミツが、イギリスでの発売に続き、ス…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoセミナー開催のお知らせ

細胞性食品(細胞培養食品)レポート販売開始

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

代替カカオレポート・好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

PAGE TOP