代替脂肪/代替油脂

細胞性脂肪を開発するドイツのCultimate Foodsが閉鎖、財務再建かなわず

出典:Cultimate Foods

細胞性脂肪(培養脂肪)を開発するドイツのCultimate Foodsが閉鎖することがわかった。

共同創業者兼CTO(最高技術責任者)のJordi Morales-Dalmau氏がリンクトインで明らかにした。同社は4月に倒産手続きに入り、5月には財務再建を進めながら事業を継続する方針を示していた。

Cultimate Foods、財務再建を図るも事業終了へ

出典:Cultimate Foods

Morales-Dalmau氏は8月11日の投稿で、Cultimate Foodsが正式に破産したと説明。「チーム、技術、科学論文や特許、製品を築いた」とこれまでの成果を振り返ったうえで、閉鎖することを明らかにした。会社が期待した姿にはならなかったとしながら、技術開発やチームづくり、会社経営、資金調達などについて多くを学んだとしている。

Cultimate Foodsは2022年設立。動物細胞から脂肪を培養し、肉らしい風味や香りを付与する食品素材を開発してきた。同社は当初、植物肉に肉らしい風味や食感を付与する用途を想定していた。その後は、植物肉に限らず、幅広い食品に肉らしい風味を付与する素材へと用途を広げていた。

5月時点では、ベルリン・シャルロッテンブルク区裁判所で倒産手続きが進められる一方、同社は「体系的な財務再建」に着手すると発表していた。チームは引き続き稼働し、独自の風味技術「CultiSense」の開発を継続するとともに、投資家や金融パートナーと協議していると説明していた。

今回の投稿では、閉鎖に至った直接の理由は明示されていない。少なくとも5月時点では事業継続に向けた再建を模索していたが、その後約3ヶ月で閉鎖が決まったことになる。

植物肉市場の縮小も細胞性脂肪に逆風

細胞性脂肪をめぐっては、サーモンの脂肪開発に取り組んでいたオランダのUpstream Foodsが、資金調達難を理由に昨年事業を終了した。

細胞性食品業界は、投資対象となる企業の選別が進んでおり、昨年このセクターに集まった資金は7,390万ドル(約115億円)と、2024年の1億4,400万ドル(約225億円)から減少した。

細胞性脂肪は植物肉の風味や味を高める素材として注目されてきたが、主要市場の一つであるアメリカでは植物肉市場の縮小が続いている。2025年の植物肉・植物性シーフードの小売売上高は前年比10%減少し、販売数量も11%減となった。食肉市場全体に占める金額シェアも約0.7%にとどまった。

代表格とされるビヨンドミートはドリンク事業に参入し、インポッシブル・フーズは肉にと留まらず、パスタやパンの高タンパク化を進める方針を公表するなど、「代替肉」以外の選択肢を模索している。

こうした中、植物肉を初期の主要用途として想定してきた細胞性脂肪企業にとって、事業化を取り巻く環境は厳しさを増している。植物肉市場の低迷は、味や食感を改善する細胞性脂肪の必要性を高める一方、導入先となる市場そのものが縮小すれば、細胞性脂肪への需要を押し下げるという矛盾も抱える。

細胞性魚脂肪の開発から事業を開始したImpacFatは、まず魚の培養上清を用いた化粧品原料の上市を目指しており、周辺産業から市場投入を目指す動きも出ている。

 

※本記事は、リンクトインの投稿をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

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