代替プロテイン

Atlantic Fish CoとRevo Foods、マイコプロテイン活用で細胞性シーフードのホールカット化を検証

出典:Revo Foods

アメリカの細胞性シーフード企業Atlantic Fish Coと、オーストリアのフードテック企業Revo Foodsは、細胞培養シーフードのホールカット製品のスケール化に向けて、マイコプロテインと細胞性シーフードを組み合わせるというハイブリッド型アプローチの検証を開始した。

FishFocusCultivated Xなどが報じた。現時点で二社による公式サイト/SNSでの発表は確認できていない。

マイコプロテインを用いた細胞性白身魚開発へ

Revo Foodsのマイコプロテイン使用の代替白身魚「El Blanco」 出典:Revo Foods

現時点で商用化されている細胞性シーフードは、米Wildtypeによる細胞性サーモンが唯一の事例となる

シーフードに限らず、培養肉も含めた細胞性食品では、細胞を増やした後、どのように構造化するかが重要な課題とされてきた。国内でも東京大学がマイクロモジュール積層法や中空糸バイオリアクター、大阪大学が企業数社と共に3Dプリンターを活用した開発を進めている。

Atlantic Fish CoとRevo Foodsは、「世界の白身魚消費量の8割以上」を占めるとされる、ホールカットの白身魚を検証のターゲットに据えた。

両社が検討したのは、構造の起点を細胞ではなくマイコプロテインという別素材に担わせることだ。糸状菌を栄養を含む培地で増殖させると、繊維構造のあるバイオマスが生成され、一般にこれがマイコプロテインと呼ばれる

二社の提携では、マイコプロテインを主要な担体として用い、そこに細胞培養した材料を組み込むことで、魚特有の味を備えた構造化された細胞性シーフードをスケール可能な形で生産できるかを検証する。

Atlantic Fish Coの細胞由来材料とRevo Foodsの3Dプリンティング技術を試験し、経済的、技術的、そして官能的な適用可能性を検証する。

Revo Foodsは創業初期から3Dプリンターによる代替サーモン開発を進めてきた。2024年には月産60トンの工場を開設。昨年11月には2025年の売上が前年比2倍になり、2026年第4四半期までに黒字化を目指すと発表しており、代替シーフード分野では比較的順調な成長を続けている。

一方、Atlantic Fish Coは、シーフードがもたらす環境負荷が牛肉ほど注目されていないことに警笛を鳴らしてきた。2024年4月には世界初の細胞性ブラックシーバスを発表し、昨年11月には120万ドルのシード資金を調達、アメリカでの上市を目指している

既存食糧と直接競合しにくいマイコプロテインを用いる可能性

出典:Atlantic Fish Co

今回の提携は、これまで市販されてきた細胞性食品に多い「細胞成分+植物タンパク質」という構図を再考する試みともいえる。

シンガポールで小売展開される米GOOD Meatの製品は、植物タンパク質に細胞性鶏肉を3%配合したものとなり、過去にレストランで提供していた製品でも、細胞由来成分は全体の約7割となっていた。

細胞性食品にマイコプロテインを活用する取り組みとして、ミュンヘン工科大学では、培養肉向けの食べられる菌糸体足場の研究開発が進められている

カナダのGenuine TasteThe Better Butchersは、菌糸体由来のタンパク質に細胞性脂肪を使用したハイブリッド肉の共同開発を進めている

大豆やエンドウ豆といった食用タンパク質と比べ、マイコプロテインは発酵で生産でき、酸性乳清酒粕などの副産物を活用できる可能性があること、生産を施設内で完結できることから、既存の食糧と直接的に競合しにくい点が特徴といえる。

この点で、細胞性食品の新たなハイブリッド化素材として注目されていくと思われる。

 

※本記事は海外メディアの記事をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Revo Foods

 

関連記事

  1. Helaina、精密発酵によるラクトフェリンの商用化へ移行、機能…
  2. 植物肉企業Plantedが約100億円を調達、植物由来の鶏胸肉を…
  3. 細胞性魚脂肪のImpacFatが日本に拠点設置|2026年に化粧…
  4. 3Dプリント肉のSavorEatがアメリカの大学への試験導入でソ…
  5. 米Jellatech、細胞培養によりヒトコラーゲンの開発に成功
  6. サケ・マス・コイを開発する欧州初の培養魚Bluu Bioscie…
  7. Forsea Foodsが初の培養うなぎ試食会をイスラエルで開催…
  8. 機能性成分としての培養タンパク質粉末を開発する韓国のSimple…

おすすめ記事

培養肉未来創造コンソーシアム、大阪万博で培養肉の実物を展示|家庭で霜降り肉を作る「ミートメーカー」

「培養肉未来創造コンソーシアム」は、4月13日に開幕した大阪・関西万博で、3Dバ…

微生物・空気・電気からタンパク質を生産するソーラーフーズ、年内に工場着工、2023年前半に商用生産へ

空気と微生物と電気を使ってタンパク質を生産するフィンランドのSolar Food…

Apeel Sciencesが約31億円を資金調達、小規模農家の市場アクセス改善を本格支援

このニュースのポイントApeel Science…

菌糸体肉の米Meati Foodsが約155億円を調達、6000箇所以上の小売店に拡大

菌糸体肉を開発する米Meati Foodsは今月、シリーズC1ラウンドで1億ドル…

家庭調理ロボット「Posha」、シリーズAで約11.6億円を調達──“プライベートシェフ”として全米展開へ

家庭向けキッチンロボットを開発する米Posha(旧称Nymble)は今月6日、シ…

日本から世界へ、酵母の育種×発酵技術で挑む|奈良先端大・高木博史特任教授の「伝統・バイオマス・精密発酵」によるフードイノベーション戦略

出典:高木博史特任教授2025年9月9日更新奈良県に、発酵(伝統・バイオマス・精密発酵)…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP