代替プロテイン

米Superbrewed Food、腸内細菌由来タンパク質SB1の商用生産を開始|Döhlerが製造、米国向け出荷を開始

出典:Superbrewed Food

腸内細菌由来タンパク質を開発する米Superbrewed Foodは2月25日、独Döhler(ドーラー)との連携により、発酵由来タンパク質「SB1」の商用生産を開始したと発表した

Döhler Venturesによる戦略出資も実施された。SB1は欧州にあるドーラーの施設で製造され、最初の商用出荷が、アメリカの高級なスポーツ・ライフスタイル栄養用途向けに始まっているという。

「開発から商用生産の第一段階へ移行」

出典:SuperBrewed Food

今回の発表で重要なのは、2024年2月に公表されたドーラーとの製造パートナーシップが、ようやく「実際の商用生産」に移った点だ。

2024年の発表時点では、ドーラーが「相当量の発酵生産能力を提供し、アメリカで2024年に複数のCPG企業による食品カテゴリでの製品投入を支援する」とされていた。これに対し、今回のリリースでは、Superbrewed Food自身が「開発から商用生産の第一段階へ移行した」と位置づけており、提携が前進したことが明確になった。

Foovoの調査では、同社は2024年4月時点で生産能力を超える2027年までの注文を受けており、B2B供給は一部で進んでいた可能性が考えられるものの、一般消費者向けの上市は確認できていない。今回の商用生産の開始により、実用化に近づいたものと思われる。

ゴリラなどの草食動物に着想を得る

出典:SuperBrewed Food

Superbrewed Foodの原点は、ゴリラやゾウなどの草食動物が、植物中心の食事で大きな体を維持できる理由を腸内細菌に見いだしたことにある。

2021年のプレスリリースでは、草食動物の腸内にいる微生物に着想を得て、植物繊維やデンプンをタンパク質へ変換する微生物を特定したとしている。

Superbrewed Foodの発酵由来タンパク質SB1は、同社が「Postbiotic Cultured Proteinポストバイオティクス培養タンパク質)」と呼んできた細菌由来バイオマスタンパク質だ。ポストバイオティクスとは、腸内細菌が作り出す健康に有用な代謝物をいう

同社は2024年2月22日、アメリカ食品医薬品局(FDA)からSB1について「質問なし」のレターを受領した

FDAのGRAS Notice 1129では、Superbrewed Foodが届け出た加熱処理済みClostridium tyrobutyricum strain ASM#19について、食品・飲料中のタンパク源として5〜90%の範囲で使用する想定が示されている(PDF p9)。

今回のプレスリリースでも、SB1は高品質なタンパク質に加え、天然由来のB群ビタミンや必須ミネラルを含むホールフード型のタンパク質原料であり、アレルゲンフリー、非GMO、ヴィーガン対応の素材として訴求されている。

同社はこれまで、大手食品企業との提携を段階的に積み上げてきた。

2022年7月には、同社原料を組み込んだチーズ製品群の開発に向けて、Belグループと独占提携を締結。2024年8月には、乳業副産物のパーミエイトを活用したバイオマスタンパク質の共同開発に向けて、Fonterraとも提携した

ドーラーは45以上の生産拠点と160カ国以上での事業展開を誇る。二社は、2027年には生産能力を拡大し、より広範な商用化を共同で推進していくとしている。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Superbrewed Food

 

関連記事

  1. 2023年精密発酵業界の全貌:認可企業の動向、2024年予測、C…
  2. 黄エンドウ豆から代替チーズを開発する英スタートアップ、英政府系機…
  3. 培養肉モサミートが培養脂肪用培地の大幅コストダウンに成功
  4. 微生物とAIで新素材を発見するKingdom Supercult…
  5. 農業副産物をアップサイクルして代替卵原料を開発|英The Bla…
  6. 酵母から脂肪を開発するCultivated Bioscience…
  7. 中国初の培養肉・微生物タンパク質センターが北京に誕生-未来食品の…
  8. 銀行による資金回収で窮地:菌糸体代替肉の代表企業Meati、40…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

ポーランド企業Fresh Insetセミナー動画(英語)|2024年4月開催

今月23日、フードロス対策に取り組むポーランド企業Fresh Insetをお招き…

KFCがシンガポールで植物肉バーガーの販売を期間限定でスタート

シンガポールのケンタッキー・フライド・チキン(KFC)が植物肉バーガーを期間限定…

精密発酵でヘムを開発するPaleoが約17億円を調達、植物性食品に「本物の肉の味」を提供

精密発酵でヘムを開発するベルギー企業Paleoは今月、シリーズAラウンドで120…

オランダの培養肉企業Meatableが培地の共同開発でDSMと提携

オランダの培養肉企業Meatableは、手頃な培地の共同開発でオランダの総合化学…

アレフ・ファームズ、タイ初の培養肉工場建設でBBGI、Fermbox Bioと提携|慎重なスケールアップ戦略で持続可能な市場進出へ

イスラエルの培養肉企業アレフ・ファームズは先月、タイに培養肉工場を建設することを…

Juicy Marblesが植物由来の骨付きリブ肉の開発に成功、今月より限定販売をスタート

スロベニアの代替肉企業Juicy Marblesは今月、骨付きの代替リブ肉を発表…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

代替カカオレポート販売開始のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP