出典:Vivici
オランダで、精密発酵タンパク質の生産コスト低減・生産拡大を目指した官民連携による研究コンソーシアム「ECOFERM」が始動した。
参画するのは、オランダの受託研究機関NIZO Food Research、BFF、DAB.bio、Vivici、dsm-firmenich、ヴァン・ホール・ラーレンスタイン応用科学大学の6者。
オランダのTKI Agri & Foodから資金支援を受け、微生物をバイオリアクター内に保持したまま、生成物を連続的に回収する連続発酵技術の実用化を目指す。
連続発酵で生産性向上、微生物を槽内に保持

出典: NIZO Food Research
従来の流加培養方式では、バイオリアクターを空にし、洗浄、再充填、滅菌して生産を再開する工程が発生する。
これに対し連続発酵は、バイオリアクターの排出、洗浄、充填、滅菌、再起動に伴う停止時間を減らせる利点がある。一方で、ケモスタット方式などの連続発酵では、微生物や栄養分が培養液とともに流出してしまうという課題があったと、NIZOはプレスリリースで指摘している。
ECOFERMが開発するのは、細胞の凝集を制御することでバイオマスを槽内に保持する手法となる。膜分離や遠心分離などエネルギー消費の大きい分離技術を用いることなく、微生物細胞をバイオリアクター内に留めることを目指す。
実証には乳タンパク質の一つであるβ-ラクトグロブリンなどを用い、DAB.bioの「FAST」リアクターの性能最適化や工業規模へのスケールアップ戦略も検討するとしている。
NIZOとBFFでプロジェクトマネージャーを務めるRobyn Eijlander氏は、精密発酵には大きな可能性があるものの、生産の経済性を高めるにはさらなるプロセス革新が必要だと言及。
その上で、「ECOFERMが取り組むのは、この分野で最も有望な機会の一つです。連続発酵と効率的なバイオマス保持を組み合わせることで、生産性を向上させながら資源消費と環境負荷を削減することを目指しています」とプレスリリースで述べた。
NIZO、精密発酵の商用化に向けた基盤を整備

出典:NIZO
NIZOが官民連携で精密発酵に取り組むのは今回が初めてではない。
2023年7月に始まった4年間の「SAFERMENT」プロジェクトには、ワーゲニンゲンの研究機関やオランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)と、Those Vegan Cowboys、TurtleTree、Real Deal Milk、Fonterraなどの企業が参加。精密発酵で生産する乳タンパク質の安全性について、アレルゲン性や製造工程のリスク、消費者受容などを研究している。
さらにオランダ・エーデにあるNIZOの拠点では、オランダ政府の支援を受け、精密発酵のスケールアップを支援するオープンアクセス施設「BFF」の整備が進む。
BFFは今年1月、1,000Lと1万Lの食品グレードの精密発酵ラインをGEAに発注した。このパイロット施設は2027年の稼働を見込む。10~30Lのプレパイロット施設は今年6月に稼働開始を発表した。
欧米で進む官民連携

出典:Those Vegan Cowboys
精密発酵をめぐる官民連携は、オランダ以外でも進んでいる。
EUでは今年6月、Horizon Europeから約600万ユーロ(約10億円)の支援を受ける4年間の「FERM4FOOD」プロジェクトが始動した。
研究機関や企業15組織が参加し、産業由来のCO2を原料に、遺伝子組換え微生物を用いた精密発酵で単細胞タンパク質や微生物油脂などを生産し、バリスタ飲料と美容系の機能性食品(パウチ)の2つの消費者製品に配合して検証を行う計画だ。
より広いバイオものづくりの分野では、アメリカ国防総省などの公的資金を受ける官民連携組織BioMADEが、カリフォルニア、アイオワ、ミネソタの3州で、パイロット~実証規模のバイオ製造施設からなるネットワークを整備している。
設備不足とコストという課題に、官民で取り組もうとする動きが欧米で進んでいる。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:Vivici
















































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