出典:月桂冠・大阪大学
月桂冠と大阪大学の研究チームは、3Dプリンターを使って麹の構造を設計し、麹菌の働きを調節する技術を開発したと発表した。
3Dプリンターで造形した麹を培養したところ、構造の違いにより、グルコースやグルタミン酸の生成量が変化することを見出した。また、この麹を用いて清酒醸造試験を行ったところ、アルコール分13%台まで発酵が進み、香気成分の違いも確認した。
これまでにない酒質を持つ清酒の開発や、新たな発酵食品・食品創出につながる可能性がある。9月17日に開催された第78回日本生物工学会大会で発表した。
「麹」構造の変化で、麹菌の代謝も変化

出典:月桂冠・大阪大学
麹菌(Aspergillus oryzae)は清酒や味噌、醤油などの製造で使用される糸状菌で、米や大豆などに麹菌を加えて培養させたものが「麹」となる。
麹菌は、生育過程で酵素を生産し、デンプンやタンパク質を糖やアミノ酸に分解する。古くからさまざまな食品に利用され、2006年に国菌に認定された。
米麹は、米に麹菌を付けて発酵させたもので、麹菌が米粒の表面や内部で米のデンプンやタンパク質をグルコースやアミノ酸に変える。従来の米麹では蒸した米粒に麹菌を生育させるため、麹の基質となる米粒の形状や内部構造を自由に設計することは難しかった。
研究チームは、米粉、水、麹菌を混合したペースト状のバイオインクを生成し、押出式3Dプリンターで網目状の構造体を作製した。
構造を変えて培養すると、麹菌が生成するグルコースやグルタミン酸の量が変化することが確認された。構造によって、麹菌が生育できる表面積や通気性、熱の放射、水分の蒸発などの培養環境が変化したことが要因と考えられている。
この結果から、3Dプリンティングで麹菌を生育させる米由来構造体の構造を変えることで、通常の米麹とは異なる代謝が麹菌によって誘導されている可能性があるという。
研究チームは今後、麹の形状や空隙などの構造と、麹菌が生産する酵素や代謝物との関係を調べる。
麹菌の働きを目的に応じて制御できれば、清酒の糖やアミノ酸組成の調整に加え、従来とは異なる香味成分や機能性成分の生産、新たな発酵食品や食品素材の開発につながる可能性があるとしている。
発酵基質の構造を設計する研究
3Dプリンティングによって構造を設計し、微生物の働きを制御しようとする研究はほかにも進んでいる。
南京農業大学などの研究チームは今年、大豆粕とおからを3Dプリンターで造形し、糸状菌Neurospora intermediaで固体発酵する研究を報告した。
報告によると、構造の高さや充填密度を変えることで、菌糸の空間分布や発酵活性が変化し、従来の固体発酵と比べて菌糸がより均一に生育したほか、可溶性タンパク質やエルゴチオネインの蓄積量も増加したという。

出典:農研機構
固体発酵を活用する別のアプローチとして、農研機構は2025年、米やトウモロコシに窒素化合物、麹菌を加えて固体発酵させたところ、発酵後の総タンパク質量がそれぞれ原料の2.3倍、1.6倍に増加したと報告した。増加するタンパク質需要への対応策になるとみている。
一方、麹菌を培養した菌体そのものを食品タンパク質として活用する研究開発も進む。
ドイツのNosh.bioも麹菌を培養した菌体を、代替肉向けなどの素材として展開しており、昨年には牛肉とブレンドしたハイブリッド製品をレストランで提供した。
筑波大学発ベンチャーの麹ラボも昨年、麹菌体を使用したハンバーグや青椒肉絲などの試食会を都内で開催した。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:月桂冠・大阪大学
















































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