代替プロテイン

植物性シーフードの米Impact Foodが事業終了、米国で展開も「消費者行動を変える難しさ」

出典:Impact Food

植物由来シーフードを開発する米Impact Foodが、5年以上にわたる事業を終了した。共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のKelly Pan氏リンクトインで明らかにした。

Pan氏は、技術や資本はイノベーションを加速できる一方、「タイミング、経済性、習慣、文化も同じくらい重要だった」と振り返り、特に消費者行動を変える難しさを学んだと述べた。

相次ぐ代替シーフードの撤退

出典:Impact Food

代替シーフード分野ではImpact Food以外にも、ここ数年で撤退が相次いでいる。

タイソンフーズから出資を受けていた植物性エビを開発したNew Wave Foodsは債務を全額返済できない状態となり、2023年に事業を終了した

ドイツのOrdinary Seafoodは、マグロやサーモンの代替食品を開発し、ドイツ大手小売METROでの流通も実現していたが、資金環境の悪化から2024年に事業を終了した

フランスのOLALA!も植物性シーフードを大量生産する段階まで到達していたが、昨年、「市場を見いだせず、企業の存続に必要な売上に達しなかった」ことを理由に事業を終了している。

植物性シーフードを展開していたスウェーデンのHooked Foodsもまた、今年1月に閉鎖を発表した

このほか、バイオマス発酵で代替シーフードを開発した米AQUA Cultured Foodsや、細胞培養でサーモンの脂肪を開発したオランダのUpstream Foodsも事業終了に至っている。

全米で販売、日本でもパイロット生産

出典:Impact Food

こうした撤退が増える中、Impact Foodは市場投入を進め、日本でも事業展開に向けた取り組みを進めていた。

Impact Foodは2020年、カリフォルニア大学バークレー校の代替肉に関する授業プロジェクトとして始動した。3名の学生が、授業の課題だったものをImpact Foodとして現実の世界に持ち込むことを決意し、創業した

植物性シーフード「Impact Tuna」と「Impact Salmon」を開発し、全米での販売まで進めた。製品はレストラン、大学、企業の食堂、ホテル、航空会社のラウンジなどで提供された。原料には、エンドウ豆タンパク質、藻類油、こんにゃく、キャノーラ油などを使用している

サンフランシスコに自社のパイロット施設を設置したほか、日本でもパイロット生産を完了し、国内の大手食品企業との提携を構築した。

Impact Foodの植物性マグロ 撮影:Foovo(佐藤あゆみ)/2023年6月

2022年には、オイシックスのコーポレート・ベンチャー・キャピタルファンドFuture Food Fundから出資を受け、国内での試食会にも参加した

投資と助成金による調達総額は200万ドルを超え、プロテイン飲料などシーフード以外のカテゴリーにも開発を広げていた。

植物肉・シーフード市場、購入世帯率は11%に低下

Impact Foodの植物性マグロ 撮影:Foovo(佐藤あゆみ)/2023年6月

市場環境を見ると、植物肉・シーフード市場全体も低迷している。

Good Food Institute(GFI)の報告によると、2025年のアメリカの植物肉・シーフードの小売売上高は約10億ドルで、前年比10%減、販売数量は11%減となった。食肉市場全体に占める金額シェアも約0.7%にとどまり、13%を占める植物性ミルクと比べシェアはまだ小さい

購入世帯率は2021年の約20%から2025年には11%へ低下した。

GFIは、「味と価格の両面で従来品との差を縮めるとともに、説得力のある価値を伝えることが、プラントベース食品を受け入れる姿勢のあるアメリカの大多数の消費者にリーチするために不可欠」だと指摘している

 

※本記事は、リンクトインの投稿をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

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