代替プロテイン

細胞性脂肪のCultimate Foods、倒産手続きへ|事業継続を前提に財務再建に着手

出典:Cultimate Foods

細胞性脂肪(培養脂肪)を開発するドイツ企業Cultimate Foodsが、倒産手続きに入る一方で、事業継続を前提とした財務再建を進めている

同社はリンクトインで5月13日、「当社は事業基盤の強化と長期的な成長に向け、体系的な財務再建に着手します」と述べた。チームは引き続き稼働しており、食品業界向けの独自風味技術「CultiSense」の開発と、顧客への責任を果たすことに注力していると説明している。

Cultimate Foodsは、ベルリン・シャルロッテンブルク区裁判所に倒産手続き開始を申し立てており、案件番号は「3615 IN 2997/26」。4月30日付の決定により、暫定管財人が選任されている

2022年設立のCultimate Foodsは、動物細胞を用いた細胞培養で脂肪を作り、植物由来食品などに肉らしい風味や香りを付与するB2B向け素材を開発してきた。

同社の「CultiSense」は、培養した豚細胞を天然の風味前駆体として使い、単一成分で複雑な肉の風味を生み出すことを狙った素材だ。畜産に依存せず、本物の肉の味や香りを実現する風味素材として訴求してきた

出典:Cultimate Foods

2023年には細胞性脂肪を使用したハイブリッドバーガーをイベントで発表した。2024年4月には、シードラウンドで230万ユーロ(約4億2,000万円)の調達を発表。調達資金は、生産プロセスのスケールアップ、連携の拡大、事業運営にあてるとしていた

昨年10月には、工業規模でのバイオプロセス開発に向けて、欧州地域開発基金(ERDF)およびドイツ・ニーダーザクセン州から資金提供を受けた

現在は、暫定管財人のもとで財務状況や事業継続の可能性を検討している段階とみられる。

細胞性脂肪は、植物由来の代替肉の味や食感を改善する手段として注目されている。一方で、上市には研究開発、規制対応、スケールアップ、企業による採用など複数の要素が絡み合い、市場投入の障壁は高い。昨今では投資環境の悪化が厳しさを増している。

同じく細胞培養で魚脂肪を開発していたオランダのUpstream Foodsは資金調達難で2025年に事業を停止した

Cultimate Foodsの事例は、肉の風味を高める特定素材を開発する企業であっても、商用化まで事業を継続する難しさを示している。

同社はリンクトインで、投資家や金融パートナーと協議を進めており、この移行期を乗り越えられると確信していると説明している。今後の進展については、ステークホルダーに随時知らせるとしている。

 

※本記事は、リンクトインの投稿をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Cultimate Foods

 

関連記事

  1. 英国、培養肉など細胞性食品の初の安全性ガイダンスを公開|2026…
  2. 香港グリーンマンデーのヴィーガンカフェGreen Commonが…
  3. カゴメとNoMy Japan、マイコプロテイン活用の共同検証を開…
  4. BiomeMega、革新的な細菌由来のオメガ3と持続可能な脂肪酸…
  5. ベルギー発のFishway、細胞培養で魚の鯛由来のバイオマスを開…
  6. イスラエルのSteakholder Foods、3Dプリンターで…
  7. キッチンカーで植物肉を広めたい|学生団体Planmeetがクラウ…
  8. 培養肉企業のパイオニア、モサミートがオランダに培養肉工場を開設

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

米The Better Meat Co.がマイコプロテイン由来のフォアグラをリンクトイン本社で提供

マイコプロテインを使った代替肉を製造販売する米The Better Meat C…

イスラエルの培養肉企業Steakholder Foods、バイオ3Dプリンターの商用化に向けて加速

イスラエルの培養肉企業Steakholder Foods(旧称MeaTech)は…

ドイツの培養肉企業MyriaMeat、自発的な収縮を示す培養豚肉の開発に成功

ドイツの培養肉企業MyriaMeatは、多能性幹細胞であるiPS細胞から、自然に…

青果物の鮮度保持期間を延ばすHazel Technologiesが約76億円を調達

アメリカ農務省(USDA)によると、アメリカでは供給される食料の30-40%が廃…

砂糖削減テックのIncredoが約42億円を調達、商用化を加速

砂糖削減ソリューションを提供するイスラエル企業DouxMatokは今月、シリーズ…

中国の細胞性食肉企業Joes Future Food、中国・シンガポール当局と協議進める|第7回細胞農業会議レポート

丁世杰氏 Foovo(佐藤)撮影中国の細胞性食肉(培養肉)企業Joes Future Foodの…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP