アップサイクル

農水省が発酵菌食品WTを設立|麹菌や菌糸体などを新たな食品素材に

Foovo(佐藤あゆみ)撮影

農水省は6月24日に開催したフードテック官民協議会総会で、発酵菌食品ワーキングチーム(WT)の設立を発表した。

麹菌やキノコの菌糸体などを活用した発酵菌食品を、持続可能な食品素材の選択肢として普及させることを目指す。

「発酵」技術を用いた食品には、①味噌や醤油、ヨーグルトなど従来の発酵食品と、②麹菌などを培養した菌体そのものを対象とした食品で、バイオマス発酵と呼ばれるもの、③遺伝子組換え微生物を用いて乳タンパク質など特定成分を生成する精密発酵がある。

発酵菌食品WTでは、②の菌体そのものを食品とする素材を、発酵由来の新しい食品素材と位置づける。具体的には、麹菌、納豆菌など、食経験のある菌を対象にする。

海外ではマイコプロテインと呼ばれる麹菌やキノコの菌糸体のほか、菌糸体には分類されない納豆菌、酵母なども含めて、議論を進める予定だ。

Foovo(佐藤あゆみ)撮影

参画メンバーである麹ラボの萩原大祐代表は「これまで使われていた発酵菌の新しい使い方を提案するものだ」と述べた。

同WTでは、発酵菌食品の社会実装に向けて、技術的特性、安全性、表示、リスクコミュニケーションといった課題を協議し、共通基盤の構築を目指す。

社会普及にあたっては、菌を食べることの消費者の心理的ハードルや、食経験のある菌と食経験のない菌が混同されるリスク、認識不足といった課題が想定される。一方で、発酵菌食品にはタンパク質だけでなく、食物繊維やアミノ酸、ミネラルを豊富に含み、アレルゲンがなく、製造工程における環境負荷が低いというメリットがある。

同WTは消費者理解を促進しながら、付加価値を提示することで発酵菌食品の市場での需要創出・競争力強化を図る考えだ。

初期メンバーには、麹ラボ、アグロルーデンス、ヤヱガキ醗酵技研、Nomy Japan、GFI Japan、日本ハム、ビオック、フェルメクテス、お多福醸造、アサヒグループHD、奈良先端科学技術大学院大学、バイオインダストリー協会、農水省の13団体が参画している。

Quornのマイコプロテイン使用のナゲット Foovo佐藤撮影 2024年7月下旬/シンガポール

海外でマイコプロテインや菌糸体食品と呼ばれるこの領域では、開発・上市が進展している。

オランダ企業は今月、EUで新規食品制度ができて以来、初の認可を取得し、中国でも昨年末にマイコプロテインで初の認可事例が確認された。アメリカでは代替シーフードやデリミートでの小売展開が進む。

先月には副産物を抱える製糖会社に向けてライセンス供与を目指すスイス企業が大型調達を実施した。ビヨンドミートは昨年、菌糸体ステーキを上市した。

海外が先行してきたこの領域において、日本でも産学官が共通課題の整理に乗り出した意義は大きい。食経験のある発酵菌を新たな食品素材としてどう位置づけ、消費者理解と市場需要をどう育てていくか。長い発酵文化を持つ日本で、発酵菌食品の社会実装が進むかが注目される。

 

※本記事は、WTの発表をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

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