代替プロテイン

英Mycofeast、精密発酵のDaisy Labを買収|精密発酵乳タンパク質では初の買収事例か

出典:Daisy Lab

精密発酵とバイオマス発酵を手掛ける英バイオテック企業Mycofeastが、ニュージーランドの精密発酵スタートアップDaisy Labを買収したことが明らかになった。買収額は公表されていない。Green Queenが第一報を報じた。

Mycofeastは近年、バイオものづくりのための技術や製造インフラの取得を進めている。2025年には、アメリカのWillow Biosciences子会社のEpimeron USAを買収し、その研究開発事業を取得した。現在はEvolutia Bioとして、微生物の菌株改良やカスタム酵素の設計・最適化を行っている。

製造拠点となるポーランドでは、かつてはハイネケンの醸造所だった建物を発酵施設へ転用中だ。Daisy Labの乳タンパク質生産技術が、新たにこの体制へ組み込まれることとなる。

Daisy Labは2020年創業で、精密発酵で乳タンパク質を開発してきた。今年2月には、500Lのバイオリアクターを導入。初期ではホエイの開発に取り組んでいたが、現在は牛乳中に微量に存在する高付加価値素材であるウシラクトフェリンの開発を進めている。

出典:Daisy Lab

Daisy Labの共同創業者兼CEO(最高経営者)のIrina Miller氏はGreen Queenの取材に対し、資金調達環境の厳しさに触れ、製造・販売体制を自社で何年もかけて整える代わりに、既存のリソースを活用することで迅速に事業を進められる点を買収の利点として挙げた。

今回の買収による従業員の解雇はなく、ニュージーランドでの事業も継続するという。今後はウシラクトフェリンを中心に、スケールアップや規制当局への申請、顧客試験、Mycofeastの工場へのプロセス移管を進める方針だとしている。

出典:Daisy Lab

精密発酵企業の買収は今回が初めてではない。2023年にはカナダのLallemandが、精密発酵技術を持つスイスのEvolvaを買収している。

細胞農業分野ではこれまで、培養肉など細胞性食品で企業買収が先行してきた。

2021年には食肉大手JBSがスペインのBioTech Foodsの買収を発表。2022年には米UPSIDE Foodsが細胞性シーフード企業Cultured Decadenceを買収した。2025年にはフランスのGourmeyがVital Meatを買収してPARIMAを設立。今年8月には、イスラエルのEver After Foodsがベルギーの細胞性シーフード企業Fishwayを買収している。

一方、Foovoの調査では、乳タンパク質の開発を手掛ける精密発酵企業が買収された事例はこれまでに確認できず、Daisy Labが最初の事例になると思われる。今回の動きは、乳タンパク質の精密発酵分野でも、M&Aの動きが始まりつつあることを示している。

 

※本記事は、Green Queenで報じられた事実を参照しつつ、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Daisy Lab

 

関連記事

  1. Revo Foods、アンズ種子由来の植物性カッテージチーズを発…
  2. 古細菌の力で二酸化炭素をタンパク質に変換|オーストリア企業Ark…
  3. アレフ・ファームズ、イギリスで培養肉の申請書類を提出
  4. 卵黄・卵白に分かれた植物ベースの全卵を開発するFloat Foo…
  5. オーストラリアのNourish Ingredients、植物肉用…
  6. ソーラーフーズのCO2由来「ソレイン」、米国で初の消費者向け販売…
  7. 中国企業HaoFoodのピーナッツを原料とする代替肉が上海レスト…
  8. 菌糸体由来チーズを開発するベルギー企業Bolder Foods、…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

Vowの培養ウズラ肉、シンガポールのレストランがメニューに導入、来月提供へ

オーストラリアの培養肉企業Vowが先月、シンガポールで培養肉の販売認可を取得した…

グリーンカルチャー、食品工場向けに特化した植物性ミンチの販売を開始

出典:グリーンカルチャー植物性食品を専門とするグリーンカルチャーは先月21日、食品工場向けに開発…

Better Dairyはアニマルフリーチーズの最前線で約25.8億円を調達

イギリスのフードテックBetter DairyがシリーズAラウンドで2,200万…

微生物発酵で赤色着色料を開発するChromologicsが約8億円を調達

微生物発酵により着色料を開発するChromologicsが、シードラウンドを60…

オランダの研究チーム、バナナの2大病害に抵抗性を持つ新品種「Yelloway One」を開発

オランダ、ワーゲニンゲンを拠点とする作物育種企業KeyGeneが主導する研究チー…

オランダのEatch、ロボット調理による冷凍ミールの一般向け販売を開始──B2BとB2Cの二軸展開へ

オランダのロボットキッチン企業Eatchが、ロボットで調理した冷凍食事の一般消費…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoセミナー開催のお知らせ

細胞性食品(細胞培養食品)レポート販売開始

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

代替カカオレポート・好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

PAGE TOP