代替プロテイン

ベルギーの精密発酵企業Paleoが約2.5億円のシード資金を調達

 

ベルギーのフードテック企業Paleoはシードラウンドで200万ユーロ(約2億5700万円)を調達した

Paleoは精密発酵により、プラントベース食品を本物の肉や魚のような味、食感、見た目にするための原料の開発に取り組んでいる。

同社は現在、肉や魚にみられる6つの主要タンパク質の生産プロセスの開発に取り組んでいる。ベルギーのルーヴェン大学と共同で、肉や魚に独自の特性を付与するタンパク質の特定に焦点をあてており、2022年には生産プロセスの拡大を図る。

Paleoは元ベルギー上院議員であるHermes Sanctorum氏と外科医であり起業家のAndy de Jong氏が2020年10月に共同で立ち上げた。

Andy de Jong氏(左)とHermes Sanctorum氏(右) 出典:Paleoの画像をもとにFoovoが作成

Paleoは調達した資金を使い、ベルギー、ティエネンに設立予定の研究開発センター、実証プラント、エクスペリエンスハブを設計する。今後は4000万ユーロのシリーズAラウンドを予定しており、調達資金でこれらの施設を建設する。

精密発酵プレーヤーの多くはアメリカ、イスラエルに多い。Paleoは数少ない欧州発の精密発酵企業となる。

代替タンパク質の第3の柱として注目される微生物発酵は、精密発酵バイオマス発酵に大別される。

微生物発酵への投資は急増している 出典:GFI

精密発酵は動物タンパク質と同等のタンパク質を作るために酵母など微生物を生産工場として使用する手法を指す。精密発酵はインスリンの開発に当初使用された技術で、近年、代替タンパク質の開発でも急速に注目を集めている。

Paleoが開発するタンパク質は、植物肉や植物魚に組み込み、植物由来食品の栄養価を高め、より本物に近い口当たりや風味を再現するために使用される。

精密発酵によるタンパク質は市販化が進んでいる。代表的企業としてアメリカのパーフェクトデイを挙げられる。同社はアイスクリーム、クリームチーズに続き、ホエイタンパク質粉末を市販化しており、先月にはアメリカのスターバックスの一部店舗が同社の代替ミルクを試験導入した

出典:Paleo

元クララフーズで知られるThe Every Companyも今年市販化を実現、今月約198億円を調達した。精密発酵の市場投入ではアメリカが先行しているが、イスラエルや欧州もこれに続くと予想される。

精密発酵で油脂を開発するオーストラリアのNourish Ingredientsが培養肉企業Vowと提携するなど、精密発酵と培養肉の協業事例も報告されている。

 

参考記事

https://www.linkedin.com

Precision Fermentation Startup Paleo Bags €2 Million to ‘Create Ultimate Fish & Meat Experience’

Paleo Raises €2M in Seed Round, Prepares €40M Series A For Precision Fermented Alt Meat & Fish Proteins

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Paleo

 

関連記事

  1. 代替肉のビヨンド・ミートがマクドナルド、ヤム・ブランズとの提携を…
  2. 米Mozza Foods、大豆によるカゼインミセル開発で味・品質…
  3. 3Dプリンター製サーモンを開発するRevo Foodsが約1億9…
  4. 大豆ミートを食べてみた感想【意外とおいしい】
  5. ネスレがFuture Meatと協業して培養肉参入に向けて準備
  6. Remilkがイスラエルで初めて精密発酵タンパク質の認可を取得
  7. 精密発酵のImagindairy、シードラウンドの資金調達を約3…
  8. スペイン乳業メーカー、代替乳製品開発に向けた「Mylkcubat…

おすすめ記事

Oatlyがオーツ麦由来のソフトクリームをイギリスで発売

オーツミルクで有名なスウェーデン企業Oatlyは今月、イギリスでソフトクリームの…

テックマジック、炒め調理ロボット「I-Robo2」を駅構内に初導入|一風堂 神田店に設置

2024年のフードテックweekで展示されたI-Robo2 Foovo佐藤撮影…

培養サーモンの米WildTypeが培養シーフード業界史上最大の約114億円を調達

細胞培養による培養サーモンを開発するアメリカ企業WildType(ワイルドタイプ…

ドイツのPlanet A Foodsが代替チョコレートをスーパーに初導入

2025年6月12日更新持続可能な代替チョコレートを開発するドイツ企業Planet A Fo…

【4/10】代替カカオ・ココアバター最新動向セミナー開催のお知らせ

本セミナーは終了しました。アーカイブ動画はこちらからご覧いただけます。…

ISOが植物由来食品の表示規格「ISO 8700:2025」を発表—精密発酵・植物分子農業も含む広義の植物由来をどう見るか

出典:Impact FoodISO(国際標準化機構)は先月、植物由来食品に関する表示規格「ISO…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(12/27 16:28時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(12/27 03:08時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(12/27 06:44時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(12/27 22:27時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(12/27 14:27時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(12/27 01:51時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP