代替プロテイン

細胞性シーフードのAvant、シンガポール拠点を閉鎖 事業は移転へ

出典:Avant

細胞培養でシーフードを開発する香港発のAvantは今月、細胞性魚肉のシンガポールでの認可を引き続き目指すとしつつ、同国事業の移転を発表した。

Avantはリンクトインで「培養肉業界が進化する中、私たちも進化してきました。業界を異なる形で支援する次の段階へ進むにあたり、当社の事業拠点をシンガポールから移転することとなりました」と述べた

「2018年倒産・再編・解散法に基づくAVANT PROTEINS PTE. LTD.(会社登録番号:202038095D)に関する件」と題するシンガポール政府官報には、同社の債権者ミーティングが2026年2月13日にオンラインで開催されることが記載されている。

事業移転の理由については公式情報から明らかではないが、シンガポールメディアのThe Straits Timesは「負債を理由にした事業清算」だと報じている

出典:Avant

Avantは細胞性シーフードに取り組むプレイヤーが少ない2018年に、中国で珍味とされる魚肚(ぎょと)やナマコの開発から活動を開始した。

2020年11月にはシンガポールで細胞性魚肉の切り身を発表し、翌年9月には、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)とともにシンガポールに共同研究所を設立した。A*STARとのプロジェクトはその後完了し、Woodlandsにはパイロット施設が設置された。

同社は食品向けと並行して、2021年から海洋タンパク質製品「Zellulin」で化粧品業界へも参入している。現在、食品用の公式サイトは閉鎖されているが、「Zellulin」の公式サイトは継続されている。

Avantは2024年11月、培養された海洋細胞を用いたZellulinプラットフォームを発表し、最初の製品として「ZelluGEN」を発表した。

本記事執筆時点で、「ZelluGEN」を採用したBIOTECQ美容液クリームがオンライン販売されており、一部では商用化が確認できる。

出典:BIOTECQ

シンガポールから事業移転後の具体的な計画について、Avantは詳細を明らかにしていない。The Straits Timesによると、香港法人は現在も稼働しているという

Avantはリンクトインで「培養魚について、シンガポール食品庁の承認に向けて着実に前進しています」と述べており、化粧品向けの「Zellulin」で収益化を図りながら、ヒト向けの細胞性魚肉の上市に向けて、採算性向上のためにシンガポール拠点を閉鎖した可能性が考えられる。

非食品分野への展開という点では、インテグリカルチャーUpside FoodsUmami BioworksBluuなどの動きがみられる。とりわけインテグリカルチャーは、化粧品用素材「セラメント」がユーグレナを含む10社以上に採用され、2025年9月期に黒字化を達成した。

一方で、投資が減退する中、昨年にはシンガポールでの販売を目指していたオランダのMeatableや、アメリカで工場を完成させたBeliever Meatsが事業を終了した。シンガポールで販売認可を取得した細胞性食品企業は、ヒト向けではGOOD MeatVowPARIMAの3社にとどまる。

Foovoの認識では、細胞性食品分野でこれまでに事業終了が報じられたのは主に食品領域に注力する企業であり、非食品分野ですでに商用化していた企業で同様の事例は確認できていない(Meatableもレザー分野に横展開する動きがあったものの、商用化は未達だった)。

仮に今後、非食品分野に展開する企業でも閉鎖に至る事例が現れれば、業界全体の今後に対する見通しが一段と厳しくなる可能性がある。

 

※本記事は、リンクトインの投稿をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Avant

 

関連記事

  1. 代替母乳のTurtleTree、カリフォルニアに研究施設開設を発…
  2. Yコンビネーターが支援する米培養肉企業Orbillion Bio…
  3. ドイツのBluu Seafoodが欧州で初めて培養魚製品を発表、…
  4. アレフファームズがブラジル食肉大手BRFと培養肉の開発・ブラジル…
  5. カナダのTerra Bioindustries、ビール粕由来のタ…
  6. 培養母乳を開発するイスラエル企業Bio Milk、2022年にサ…
  7. バイオものづくりの国内製造の空洞化を防げるか-「Beyond B…
  8. 【現地レポ】シンガポールの精肉スーパーHuber’s Butch…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

機械学習でフードロス削減に取り組むFloWasteが約1億2400万円を調達

フードロス削減に取り組むFloWasteがシードラウンドで110万ドル(約1億2…

Finless Foodsが約40億円を調達、培養マグロの製造と植物性マグロの販売を拡大へ

植物由来や細胞培養の代替シーフードを製造するアメリカのFinless Foods…

バイオミメティクスに着想を得た代替肉企業Plantedが約19億円を調達

スイスの代替肉企業Plantedが今月、シリーズAラウンドで1700万フラン(1…

目の前で焼かれる培養肉、その香りはまさに牛肉だった|関西万博レポート

写真提供:吉田美和氏 本記事は、エトワール国際知的財産事務所の弁理士・吉田美和氏による寄…

Umami Bioworks、ペットフード用途で細胞性シーフードのEU登録完了、日韓マリンコスメ市場進出へ【インタビュー】

出典:Umami Bioworks「技術にこだわるのではなく、消費者が求めている最終製品を生…

Ants Innovate、ハイブリッド培養豚脂肪「Cell Essence」の試食会を開催

シンガポールの培養肉企業Ants Innovateは14日、シンガポール企業Es…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovoセミナー開催のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP