代替タンパク質などの必需品を持続可能な方法で生産するアメリカの気候テック企業Hyfé Foodsは、菌糸体タンパク質の生産を400Lバイオリアクターまで拡大したことを発表した。
プレスリリースによるとHyféは、Boston BioWorksとイリノイ大学のバイオプロセス研究所の支援を受けて、昨年11月にスケールアップを完了した。これは、予定よりも3ヶ月前倒しになるという。
廃水をアップサイクルして菌糸体タンパク質を生産
Hyféによると、世界では毎年95兆ガロンの一般に「廃水」と呼ばれる、栄養豊富な水が発生している。廃水処理に関連する排出量は、温室効果ガス排出量全体の1.5%を占めると言われている。
同社のエンジニアは、3番目の廃水の発生源となっている食品製造業界に由来する水の多くが、豆の缶詰や発酵プロセスに使用される水と同じく、安全な砂糖水であることに着目した。
Hyféは前処理プロセスで水から栄養素を抽出して製造パートナーにきれいな水として戻し、濃縮された栄養素を最適な配合に施して、発酵原料として活用している。つまり、廃水を発酵原料にアップサイクルしている。
このプロセスでは、Hyféの特許出願中の技術が使用されており、こうして生成される発酵原料は「劇的に安価で環境に優しい」ものになるという。
同社共同創業者兼CEOのMichelle Ruiz氏は、「私たちの使命は、柔軟な発酵プラットフォームを使用して、さまざまな業界向けにコスト競争力のある必需品を生産し、何百万ポンドの廃棄された栄養素を再利用し、大量の温室効果ガスが毎年大気中に排出されるのを回避することです」とコメントしている。
Hyféによると、バイオ生産に使用される原料は発酵費用の50%を占めており、サプライチェーンの混乱による影響を受けやすい。廃水を安価な発酵原料に変えるHyféのソリューションは、既存の課題を解決する可能性を秘めている。
菌糸体タンパク質の開発が加速
Hyféは独自の発酵プロセスを活用した最初の製品として菌糸体タンパク質を選択した。同社の菌糸体タンパク質は、ニュートラルな風味で、繊維が豊富で、アレルゲンは含まない。菌糸体タンパク質の多様な機能性を活用して、消費財メーカーがより健康で持続可能な商品を開発するのを支援したいと考えている。
菌糸体を活用した代替タンパク質の生産は海外で加速しており、昨年には中国で最初のバイオマス発酵企業となる70/30が登場した。70/30は菌糸体タンパク質を活用した25,000食以上の試験販売を実施している。
菌糸体で代替肉を開発するドイツのMushlabsは工業規模のスケールアップをほぼ完了しており、発酵原料の副産物の調達やインフラの活用で醸造会社と提携している。
このほか、アメリカのMeati Foodsは昨年、菌糸体由来の代替ステーキ肉を発売し、昨年7月には大量生産に向けて1億5000万ドル(当時約200億円)を調達した。
参考記事
Hyfé Scales Production of Mycelium Protein Powder Ahead of Schedule
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アイキャッチ画像の出典:Hyfé Foods