出典:SuperMeat
イスラエルの細胞性食品スタートアップSuperMeat(スーパーミート)は今月、欧州での細胞性鶏肉(培養鶏肉)の商用生産に向けて350万ドル(約5億4,600万円)を調達した。
細胞農業スタートアップに投資するベンチャーキャピタルAgronomicsが200万ドル(約3億1,000万円)を出資したほか、Milk and Honey Venturesも出資した。
今回の資金調達はSAFE(Simple Agreement for Future Equity:将来株式の簡易契約)を用いたもので、スーパーミートはSAFEの発行を通じて最大450万ドル(約7億円)の資金調達を進めている。
SAFE契約に応じた投資家は、次回の適格な資金調達ラウンド、またはその他の流動性イベントが発生した際に、事後評価額3,500万ドル(約54億円)を上限に70%ディスカウントで株式に転換できる。
欧州市場に向けたスーパーミートの動き

出典:SuperMeat
スーパーミートはモサミート・インテグリカルチャー・Upside Foodsと並び、初期に設立された細胞性食品スタートアップ。
2015年に設立され、2020年にはイスラエルで細胞性鶏肉の試食に特化したレストラン「The Chicken」を開設し、製造工程を可視化したレストランとして注目を集めた。
同社は1年前、アニマルフリー培地を用いた生産で、筋肉85%・脂肪15%から構成される100%細胞性鶏肉が1ポンド(約450g)11.79ドル(当時約1820円)のコストを達成したことを発表しており、商用化に向けて技術面でも進展している。
欧州市場への布石としては、2018年のPHWによる出資に続き、2022年にはPHWグループと欧州市場導入に向けた基本合意書(MOU)を締結した。スイスの小売大手Migros(ミグロ)とも協業関係を結んでおり、創業初期から欧州を重要市場として位置づけてきたことがうかがえる。2022年には味の素が出資を行った。
一方で、2023年に計画していたアメリカ工場設置の続報は出ておらず、これまでの取り組みや今回の発表から、欧州市場に比重が移っていることがうかがえる。
EU・スイス・英国:どこを攻めるのか

出典:SuperMeat
ただし、スーパーミートが言う「欧州」は、規制面ではEU、スイス、イギリスという三つの規制圏に分けることができる。
細胞性食品に限定すると、現在、EUではGourmey(現PARIMA)・モサミートの2社が新規食品申請を行っているが、承認はまだおりていない。Foovoの調査では、二社いずれもEFSAの審査状況が非公開のまま(2025年11月29日時点)であり、業界全体として承認まで時間を要する状況が続いている。
一方、スイスは独自の新規食品制度を運用しており、2025年9月12日時点の「新規食品申請一覧」で細胞性食品に関する複数の申請が公表されている。
品目名のみが公告され企業名は伏せられているものの、牛脂肪バイオマス/cell-cultivated bovine fat biomass (モサミートと推定)、細胞性サーモン/Cell-cultivated Salmon(Wildtypeと推定)、細胞性食肉/Cultured meat product(アレフ・ファームズと推定)、細胞培養によるアヒル細胞/Duck cells from cell culture(Gourmeyと推定)の4例の細胞性食品の申請が確認された。一方で、スーパーミートに該当しそうな案件は現時点で確認されていない。
イギリスでは英国食品基準庁(FSA)が細胞性食品を対象とする2年間の規制サンドボックスプログラムを開始しており、Hoxton Farms、BlueNalu、モサミート、Gourmey、Roslin Technologies、Uncommon Bio、Vital Meat、Vowの8社が参画すると発表されている。
スーパーミートの名前は含まれていないため、同社が欧州での商用化を急ぐ場合、イギリスよりも、既に関係構築を進めているスイスを足がかりにする可能性もある。
こうした状況から、スーパーミートが欧州展開を進める際に、まずどの市場を起点にするのかは依然として不明だ。EUの審査タイムラインが長期化する中で、PHWやMigrosとの協業を通じてスイスや周辺市場での事業展開を探る可能性も考えられる。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:SuperMeat




















































