代替プロテイン

ベルギーのThose Vegan Cowboys、精密発酵カゼインの米国上市に向け約11.4億円を調達

出典:Those Vegan Cowboys

精密発酵でカゼインを開発するベルギーのThose Vegan Cowboysは先月、625万ユーロ(約11億4,300万円)の資金調達に成功した。同社初の投資ラウンドとなる。

今年初頭には一般向けのクラウドファンディングも開始する予定だ。

精密発酵カゼインに焦点を当てた企業では昨年11月の仏Nutropyに続く資金調達となった。

Those Vegan Cowboysは、代替肉ブランドThe Vegetarian Butcherを創業したJaap Korteweg氏Niko Koffeman氏が2020年に設立したスタートアップ。New CultureEden BrewFooditiveのように、精密発酵でカゼインを開発している。

同社によれば、「すばやく吸収されるホエイとは異なり、カゼインは数時間かけてアミノ酸を放出し(穏やかに吸収されるということ)、ゲル形成、保水性、耐熱性などの独自の機能特性を備えているため、チーズ、チョコレート、その他多くの食品に欠かせないもの」となっている

Those Vegan Cowboysの精密発酵カゼインは、「乳由来カゼインと味・機能が同等でありながら、動物に依存せず、温室効果ガスの排出量を90%抑えることが可能」だという

カゼインにはαS1、αS2、β、κの4種類あるが、Those Vegan Cowboysはどのタイプもしくは全種類を開発しているかは明らかにしていない。

出典:Those Vegan Cowboys

Those Vegan Cowboysは昨年2月、アメリカ進出を目指していることに言及した。2025年中の上市を目指していた目標は2026年に持ち越しとなったものの、準備は進んでいる。

昨年夏には、アメリカ向けの規制用バッチの最終調整を行った。精密発酵カゼインを使用してチョコレートやクッキー、パンなどの試作も進めた

昨年2月にはドイツの大手チーズ企業Hochland Groupと共同開発契約の締結を発表。ほかにも、チョコレートメーカー、スポーツ栄養ブランド、食品メーカーとの提携を結び、チーズのほか、アスリート向けの徐放性プロテイン製品、高級チョコレートなどの開発も視野にいれているようだ

アメリカではNew Culture、昨年事業終了したFermifyがGRAS自己認証を取得しているが、市場投入の事例はまだ確認されていない。Foovoの調査では、精密発酵においてはホエイヘム卵白ラクトフェリン甘味タンパク質などで市場投入が進む一方、関心が高いながらも未だ市場投入が確認できていないのがカゼインだ。

ホエイやラクトフェリンと比べ、カゼインは採算がとれるようになるまで特に時間がかかると指摘する業界関係者の声もある。

出典:Those Vegan Cowboys

しかし、市場投入に近づく動きはある。

オーストラリアのEden Brewは先月、オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)への申請が正式に受理されたことを発表した。同地域で初の精密発酵カゼインの申請となる。

昨年10月にはフランスのStanding OvationがBel Groupとの共同研究により、チーズ生産で生じる副産物の酸性乳清を有効利用した精密発酵カゼインの工業生産に成功したと発表した(生産量は非開示)。

先月には、オランダで精密発酵やバイオマス発酵の承認前試食が可能になった。Those Vegan Cowboysも行動協定の策定に協力したスタートアップの1社となり、政府発表によると、2026年初頭に最初の試食会開催が計画されている。

 

※本記事は、リンクトインの投稿をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Those Vegan Cowboys

 

関連記事

  1. 英培養肉企業Higher Steaksが約43億円を調達、社名を…
  2. 米イート・ジャストがシンガポール最大の植物性タンパク質工場の建設…
  3. パーフェクトデイが約390億円を調達、今秋にアニマルフリーなクリ…
  4. イスラエルのYO-Eggが黄身と白身に分かれた代替卵を開発
  5. 発酵技術で代替シーフードに挑むAqua Cultured Foo…
  6. 培養魚のBLUU Seafoodが約24億円を調達、年内にパイロ…
  7. ベルギーのPaleoがペットフード業界に参入|精密発酵ミオグロビ…
  8. 酵母由来ミルク「LIKE MILK」テスト販売開始──実際に飲ん…

おすすめ記事

塩生植物からルビスコタンパク質を抽出するThe Leaf Protein Co.が約1.3億万円を調達

2024年6月20日 情報を追記食品メーカー向けにB2B原料として葉由来…

GRAS自己認証に終止符か|米国FDA、通知義務化の規制案をアジェンダに追加

ロバート・ケネディ・ジュニア米保健福祉長官(出典:米保健福祉省)ロバート・ケネディ・ジュニア米保…

イスラエルのPlantishが3Dプリントされた植物性サーモンを発表、2024年に本格販売へ

イスラエルのフードテック企業Plantishは、植物原料を使った代替サーモンの切…

Oobli、精密発酵による甘味タンパク質を使用した初製品の予約販売を開始

精密発酵により甘味タンパク質を開発するOobli(旧称Joywell Foods…

BioBetterはタバコ植物を活用して培養肉用の成長因子を開発、培養肉のコスト削減に挑む

イスラエルのバイオテクノロジー企業BioBetterは、植物のタバコを活用し、培…

ブラジルのCellva Ingredients、コーヒー副産物由来の代替カカオ「CoffeeCoa」の海外展開を計画|創業者インタビュー

出典:Cellva Ingredients2026年2月17日:更新ブラジルのフードテッ…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

代替カカオレポート販売開始のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP