代替プロテイン

仏Verley、精密発酵ホエイの米国上市に向けてシリーズAで約58億円を調達

出典:Verley

精密発酵でホエイを開発するフランスのスタートアップVerley(旧称Bon Vivant)は2月24日、シリーズAラウンドで3,800万ドル(約58億円)を調達したと発表した

応募超過となった本ラウンドはAlvenが主導し、BlastBpifranceなどの新規投資家に加え、既存投資家のSofinnovaSparkfoodCaptechFounders Futureも参加した。

発酵タンパク質企業への2025年投資額が2024年の6億3,200万ドル(約980億円)から3億5,700万ドル(約553億円)へと約44%減したなかでの大型調達となった。

プレスリリースによると「Verleyの原料に対する需要は現在の生産能力を上回る」とされており、厳しい投資環境下、規制面での前進に加え、十分な需要が見込まれていることから、商用化の現実味が評価されたことが、資金調達の背景にあると考えられる。

Verleyは調達した資金でアメリカ市場への参入を進めるほか、初期顧客の拡大、生産能力の増強を進める。アメリカ上市後は、欧州中東も優先市場とするとプレスリリースで明らかにした。

Verleyが開発するのはホエイの1種、β-ラクトグロブリン。精密発酵は、遺伝子組換えした微生物を用いて特定産物を生成させる技術をいい、糖尿病治療薬ヒトインスリンのブレイクスルーに始まり、酵素やビタミン、香料の開発に使用されてきた。畜産の環境負荷が指摘される中、精密発酵は資源効率の良いタンパク質生産手段として近年注目されている。

出典:Verley

Verleyは、ホエイの弱点(酸・熱安定性、ゲル化など)を機能別に強化した原料ポートフォリオを複数展開し、用途ごとのニーズに応える設計を前面に出している。それが、同社が展開する原料ブランド「FermWhey」だ。

プロテインドリンクや炭酸飲料、インスタント飲料などを想定した、β-ラクトグロブリンを高純度(95%)で含む「FermWhey Native 100」、高タンパク質乳製品やインスタント飲料などを想定した、耐熱性と耐酸性を備えた微粒子化ホエイ「FermWhey MicroStab」などがある。

同社は公式サイトで「精密発酵は従来の乳業を置換するものではなく補完するもの」だと述べ、補完の戦略を明確に打ち出している。

従来のホエイを代替するという単純な図式ではなく、ホエイの幅広い用途を機能毎に細分化し、それに合致するソリューションを提供しようとしている。

同社は2025年1月に精密発酵によるβ-ラクトグロブリンでGRAS自己認証を取得した。その後、FDAにGRAS通知(GRN No.1241)を提出し、Aspergillus oryzae由来のβ-ラクトグロブリンについて、2025年9月16日付でFDAから「質問なし」のレター受領している

Verleyは「当社の技術は乳タンパク質の複製だけでなく、その性能向上も目指しており、メーカーにとって新たな配合の可能性を切り開きます」とプレスリリースで述べている。

Foovoの調査では、アメリカではVerleyのほかに、パーフェクトデイ(アメリカ)、Remilk(イスラエル)、Imagindairy(イスラエル)、Vivici(オランダ)、Changing Bio(中国)の5社が精密発酵ホエイでGRAS認証を取得している。パーフェクトデイの原料は消費者向けの代替ミルク製品に配合されており、一部の導入が可視化されているが、他社の現時点での市場投入状況は不明だ。

精密発酵ではすでにThe Every Companyのように、見えない形での市場投入を進める事例が確認されており、Verleyの精密発酵ホエイも、そうした裏方的な配合用途で市場投入が進められる可能性がある。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Verley

 

関連記事

  1. Motif FoodWorks、精密発酵による代替タンパク質開発…
  2. ユニリーバ傘下の代替肉ブランドThe Vegetarian Bu…
  3. 米Omeatがロサンゼルスで培養肉のパイロット工場を開設
  4. オルガノイドファーム、2027年に細胞性食品のパイロット実証施設…
  5. ビヨンドミート、今年半ばまでに中国事業を停止|コスト削減の一手
  6. 極限環境微生物で代替パーム油を開発するシンガポール企業Biteb…
  7. Novameatがスペイン政府から約3100万円を調達、世界トッ…
  8. フードテックの祭典Smart Kitchen Summit 20…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

菌糸体から代替肉を開発するMushlabsが欧州イノベーション会議から助成金を獲得

菌糸体を使って代替肉を開発するドイツ企業Mushlabsは先月、スタートアップの…

分子農業で代替タンパク質と成長因子を開発するスタートアップ企業4社

分子農業(Molecular Farming)とは、植物を「バイオリアクター」「…

イスラエルのDairyX、精密発酵技術で自己組織化するカゼインミセルの生産方法を開発

2022年に設立されたイスラエルのスタートアップ企業DairyXは今月、精密発酵…

クリーンラベルの代替カゼインを開発する米Pureture、年内にアメリカで上市へ【創業者インタビュー】

ニューヨークに拠点を置くバイオテクノロジー企業Pureture(旧称Armore…

AIエンジンで代替タンパク質を開発するThe Live Green Coが精密発酵に参入

独自のAIレコメンドエンジン「Charaka」を活用し、動物由来原料や高度に加工…

米MeliBioの蜜蜂フリーなハチミツ、2023年始めに欧州市場へ

微生物を活用して蜜蜂フリーなハチミツを開発する米MeliBio(メリバイオ)が来…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

代替カカオレポート販売開始のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP