代替プロテイン

米インポッシブル・フーズがEQUIIと提携、パンとパスタで「食事全体」を高タンパク化へ

出典:Impossible Foods

代替肉のイノベーターたちが、“肉”以外の路線を強化している。

インポッシブル・フーズ(Impossible Foods)は今月、パスタやパンなどの高タンパク化を進めることを発表した

酵母タンパク質などを用いたパスタやパンを展開するEQUIIと戦略的提携を締結し、まずは一部のパンパスタから、既存の植物タンパク質に補完する形で、さらに多くのタンパク質を届けることを目指す。

2022年4月より同社のCEO(最高経営責任者)を務めるPeter McGuinness氏がリンクトインで発表した。

既存の代替肉に加え、パンやパスタなど主食側でもタンパク質を上積みし、食事全体の栄養価を高める狙いとみられる。

なお、同社は過去にパスタ系の冷凍ミール(Impossible Bowls)も展開しており、今後こうした製品群に応用される可能性もあるが、販売形態(共同ブランド化など)を含め、対象製品や協業の詳細は公表されていない

McGuinness氏は、「タンパク質はパティだけで完結する必要はありません。パティとバンズの両方から意味のあるタンパク質を摂取できるバーガーを想像してみてください」と述べ、食事全体の栄養価を高めることが可能だと述べた

代替肉大手2社の新たな動き

出典:Beyond Meat

今月には米ビヨンドミートが、タンパク質を強化したドリンクを発売し、飲料事業への参入を果たした

ビヨンドミートは“肉”と切り離した追加の柱を立てる戦略であるのに対し、インポッシブル・フーズは“肉”以外の要素を強化しながら、代替肉と主食を組み合わせて、食事全体としてのタンパク質強化を目指している点が違いといえる。

EQUIIは2021年に設立され、酵母タンパク質などを用いたパスタやパンを展開している。この提携に伴い、同社創業者兼CEOのMonica Bhatia氏が穀物イノベーション担当部長としてインポッシブル・フーズに加わる

「この提携ではEQUIIの技術を活用しインポッシブルとの補完的な製品を開発します」とBhatia氏述べている

出典:EQUII

今回のインポッシブル・フーズの動きは、代替肉をサステナビリティ・環境志向だけでとらえるのではなく、健康メリットにも焦点をあてた戦略といえる。

この背景には、アメリカの食の議論が「環境」だけでなく、「加工度」や「原材料の分かりやすさ」へと重心を移しつつあることがある。2025~2030年版の米国食生活ガイドラインは「リアルフード」を掲げ、毎食タンパク質を優先しつつ、高度に加工された食品や精製炭水化物などを減らす方針を明確にした

3,000人を対象とした消費者調査では、「超加工食品(ultraprocessed food)」という言葉の認知が2024年の32%から2025年には44%に伸び、購入時に加工度を意識する層も厚くなっている(PDF p34)。

加えてFDAは、前面表示による栄養情報の標準化や、「Healthy(健康的)」表示の基準見直しを進めており、商品は“何で作られているか/何がどれだけ入っているか”で比較されやすい環境に向かっている。

こうした流れの中で、インポッシブル・フーズが主食側も含めて栄養設計を組み替えるのは、代替肉を「環境志向」だけでなく「日常的な栄養」の文脈で再定義しようとする動きといえる。

インポッシブル・フーズの戦略が功を奏せば、低迷する代替肉カテゴリのてこ入れにつながる可能性がある。詳細は不明ながら、「パティとバンズの両方から意味のあるタンパク質を摂取できるバーガー」というMcGuinness氏の言葉は、畜産による環境負荷への対応という同社の原点を、あらためて想起させる。

 

※本記事は、リンクトインの投稿をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Impossible Foods

 

関連記事

  1. 二酸化炭素からタンパク質を作る米NovoNutrientsが約2…
  2. 代替肉ビヨンドミートが初の海外工場となる中国生産施設をオープン
  3. 米Fork & GoodがOrbillion Bioを…
  4. 精密発酵セミナー動画-2022年1月開催-
  5. 【セミナーレポート&動画】シェフと再生医療研究者が立ち上げた培養…
  6. 米Upside Foodsが新たに培養鶏ひき肉製品を発表
  7. カナダのNew School Foodsが約8.6億円を調達、ト…
  8. VEOSグループ傘下のベルギー企業Naplasol、マイコプロテ…

おすすめ記事

投資は減速、規制は動く―GFIレポートで読む2024年の培養肉業界と日本市場の胎動

シンガポールの小売店で昨年販売された培養肉「GOOD Meat 3」(Foovo佐藤撮影/2024年…

おがくずから代替油脂を開発するÄIOが約9.9億円を調達、デモプラントの建設へ

当初の記事では「実証プラント」としていましたが、「デモプラント」に表現を修正しました(2025年3月…

スーパーミート、システムのオープンソース化で培養肉の商用化を加速

イスラエルを拠点とする培養肉企業スーパーミートが商用化に向けて加速している。…

菌糸体ステーキ肉の開発に挑むスペイン企業Libre Foods

日本では大豆ミート、ソイミートという言葉が浸透しているが、海外では代替肉の原料=…

鶏を使わずに卵白タンパク質を開発するフィンランド企業Onego Bioが約12億円のシード資金を調達

精密発酵により卵白タンパク質を開発するフィンランド企業Onego Bioはシード…

韓国のEverything But、ペットフードを使った培養肉の高級市場開拓へ|創業者インタビュー

Everything But創業者/CEOのYoonchan Hwang氏 オランダ、アムステルダム…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP