代替プロテイン

ダノン、完全栄養食ブランドHuelを買収へ 機能性栄養を強化

出典:Danone/Huel

ダノンは今月23日、植物性の完全栄養食ブランドHuelを買収する最終合意を締結したと発表した。

ダノンは今回の買収について、機能性栄養分野での存在感を高めるとともに、急成長している完全栄養分野へポートフォリオを広げる狙いだとしている。買収額は非公開。

Huelは、Julian Hearn氏が2015年に設立したイギリスのスタートアップで、名称は「Human+Fuel」に由来する。Huelはイギリス、欧州、アメリカで強いファン層を持ち、D2C販売に強みを持つブランドとなる。

公式サイトによると、1食で必要な栄養をバランスよく摂れる「完全栄養食」と位置づけており、26種類の必須ビタミン・ミネラルに加え、タンパク質、必須脂肪酸、炭水化物、食物繊維をバランスよく配合している。Huelの全商品は、原料にオーツ麦、エンドウ豆、米、亜麻仁、ココナッツ、ひまわりなどの植物由来素材を使用しており、パウダー、ボトルドリンクなどを展開する。

2024年度売上高は2億1400万ポンド(約454億円)で、9年連続の成長を遂げた。同年度には、取扱い店舗数が1万1,250ヶ所から2万5,000ヶ所以上に拡大。日本でも公式ECサイトを通じて販売している。イギリスでは新しい施設の稼働を開始した

HuelのCEO(最高経営責任者)であるJames McMaster氏はリンクトインで、従業員数は初期の20名から350名に成長を遂げたと述べている

出典:Huel

ダノンはプレスリリースで、Huelの品揃えに加え、業界屈指のデジタル能力を評価しており、ダノンの規模、栄養に関する深い知見を組み合わせることで完全栄養分野での成長を加速させる考えを示した。ダノンが主軸とする乳製品・プラントベース食品、専門栄養、の延長として、忙しい人向けの“便利で栄養バランスの良い食”を取り込む動きとみられる。

こうした買収は代替タンパク質分野でも、複数確認されている。

ダノンは2017年にWhiteWaveを買収し、Alproをダノンに取り入れ、植物性カテゴリを強化した。ネスレも2017年、アメリカのプラントベース食品への参入の足掛かりとして、プラントベース食品メーカーSweet Earth買収した

JBSは2021年に欧州の植物肉大手Vivera買収している。さらに2025年には、ユニリーバ傘下だったThe Vegetarian ButcherをViveraが買収する動きもみられた(買収は2025年9月に完了)。

米国小売で販売されるダノンの植物性乳製品ブランドSilk Foovo佐藤撮影/2026年3月

完全栄養食の分野では買収事例はまだ多くないものの、2023年のStarco Brandsによる植物由来の完全栄養食品ブランドSoylent買収のほか、ネスレによる欧州のスマート栄養ブランドyfoodへの出資や植物性栄養ブランドOrgainの過半数株式の取得など、栄養食品分野に大手が参加する動きはすでに見られる。

Huel買収は、食品大手が新しい食の需要を自社開発だけでなくM&Aで取り込む流れの1つといえる。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Danone/Huel

 

関連記事

  1. 【現地レポ】シンガポール展示会(Agri-Food Tech E…
  2. オーストラリアのAll G Foods、植物肉ブランドを切り離し…
  3. 培養肉でメキシコ初のスタートアップMicro Meatは量産化段…
  4. インポッシブルフーズが香港・シンガポールの食料品店で販売を開始、…
  5. 中国で植物性食品の新たな団体標準づくりが始動、標準整備の強化へ
  6. 菌糸体から代替肉を開発するMushlabsが欧州イノベーション会…
  7. The Every Company、アニマルフリーな卵白タンパク…
  8. ポーランドNapiFerynがなたね油粕から代替タンパク質Rap…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

【11/26】細胞性食品セミナー開催のお知らせ|世界と日本の細胞性食品の現在地

本セミナーは開催を終了しました。アーカイブ動画はこちらから視聴いただけます。…

米Pairwise、CRISPR技術により世界初の種なしブラックベリーの開発に成功

ゲノム編集技術を活用して農産物を開発する米Pairwise(ペアワイズ)は今月、…

Finless Foodsが約40億円を調達、培養マグロの製造と植物性マグロの販売を拡大へ

植物由来や細胞培養の代替シーフードを製造するアメリカのFinless Foods…

ドイツのMEATOSYS、農家を中心とした培養肉生産システムを開発 – 2028年の市場投入を目指す|創業者インタビュー

試作した培養牛肉 出典:MEATOSYS GmbHドイツの培養肉企業MEATOSYSは、農家が自…

コオロギタンパク質を生産するエントモファームズが約3億円を調達

コオロギタンパク質粉末を開発するEntomo Farms(エントモファームズ)が…

Motif FoodWorksが約249億円を調達、植物肉をアップデートさせる成分の市販化に向けて加速

植物ベース食品のアップデートに取り組む米フードテック企業Motif FoodWo…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

代替カカオレポート販売開始のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP