Foovo(佐藤あゆみ)撮影/米国にて
米ニューヨーク市は今月、市機関の食品調達データと環境・栄養などの関連指標を示すGood Food Purchasingダッシュボードを更新し、2025年度時点で広義の環境負荷を2019年比で約36%削減したことを示した。
同ダッシュボードによると、食品の農業サプライチェーン由来の排出量に、土地利用によって失われる炭素吸収・貯留機会も加えた「食品関連カーボンコスト」は、2019年度の162万トン(CO2換算)から2025年度の104万トン(CO2換算)へ減少し、約36%減となった(下記)。

出典:Good Food Purchasing (GFP) data
ただし、この36%削減は、食品由来の温室効果ガス排出量だけを示すものではないことに注意が必要だ。狭義の温室効果ガス排出量に限ると、2019年度の約33万トン(CO2換算)から2025年度の約24.8万トン(CO2換算)への減少で、2019年比削減率は約25%となる(下記)。

出典:Good Food Purchasing (GFP) data
ニューヨーク市は2023年、2030年までに市機関の食品調達による温室効果ガス排出量を2019年比で33%削減する目標を発表した(PDF p16)。
ニューヨーク市食品政策局のエグゼクティブディレクターであるKate MacKenzie氏は最新データを受けて、4年前倒しで排出量削減目標を達成したと言及しているが、この36%削減は、食品由来の温室効果ガス排出量だけを示すものではない。
2030年目標では対象を「排出量」としているのに対し、Good Food Purchasingダッシュボードでは、農業サプライチェーン由来の排出量に加え、食品生産のための土地利用によって失われる炭素吸収なども含めた「食品関連カーボンコスト」を指標としているからだ。
たとえば畜産肉では、家畜由来のメタンや飼料生産に伴う排出に加え、土地を使うことで森林や草地が本来持つ炭素吸収・貯留の機会が失われる。同市は、畜産肉による排出量に加え、この影響も加味した広義の気候負荷を「食品関連カーボンコスト」として示している。
同市が2023年に公表した33%削減目標は対象を「排出量」と明記している。今回のデータを厳密に見るならば、少なくとも狭義の温室効果ガス排出量ベースでは、ニューヨーク市が削減目標を4年前倒しで達成したとは言い難い。
とはいえ、2019年比では2025年に約25%減となり、削減目標に向けて前進しているといえる。
MacKenzie氏は「これが公共調達の静かな力です。都市が目的をもって支出すれば、その成果は蓄積されます」とリンクトインでコメントした。
Good Food Purchasingは、市の食品調達が、栄養・地域経済・環境の持続可能性・動物福祉・労働などの価値観に与える影響を可視化する枠組みとして導入された。
ニューヨーク市では2030年目標が発表される前の2022年から、公立病院のNYC Health + Hospitalsが、患者向けに植物性メニューを昼食・夕食の選択肢として提示するなど、公共でも取り組みが進められてきた。
Good Food Purchasingダッシュボードによると、2025年度の購入量は2019年度比で、豆類・ナッツ・種子が130%増、果物・野菜が46%増となった一方、乳製品は21%減、反芻動物肉は67%減となった。

出典:Good Food Purchasing (GFP) data
また、動物性食品は2019年の1億638万ポンドから2025年の8,990万ポンドへと約15%減少した。

出典:Good Food Purchasing (GFP) data
ニューヨーク市では制度面での後押しも進む。
同市は昨年8月、2026年7月1日から、11の市機関が提供する年間約2億1,900万食・軽食に適用する食品基準を更新すると発表した。
新基準では、加工肉をすべて排除し、丸ごと、または最小限に加工された植物性食品の提供を増やすことが盛り込まれた。SNAP利用者を対象に、スーパーマーケット24店舗で対象となる果物・野菜・豆類を購入すると1日最大10ドルまで補助金が支給されるなどの追加施策の実施も発表された。
同様の動きは欧州にも広がる。ヘルシンキ市議会は今年、2030年までに2025年比で市全体の肉・乳製品調達を半減し、その分をプラントベース食品に置き換える方針を決定した。
ニューヨークもヘルシンキの事例も、消費者の選択に委ねるだけでなく、行政が「何を買うか」を変えることで、植物性タンパク質の需要を制度的につくろうとしている動きとして注目される。
※本記事は、リンクトイン投稿とGood Food Purchasing (GFP) のデータ(2026年6月9日更新版)をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像はFoovo(佐藤あゆみ)撮影/米国にて


















































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