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英国、食品イノベーション9分野で精密発酵・細胞性食品を短期の対応分野に|細胞性食品・精密発酵・バイオマス発酵で個別審査も進行

2022年にシンガポールで販売されていた精密発酵ホエイ使用のアイスクリーム(Foovo佐藤あゆみ撮影)

英国食品基準庁(FSA)とスコットランド食品基準局(FSS)は先月25日、2025年から2035年の10年間でイギリス市場に到達する可能性が高く、将来の食料システムにおいて重要とされる主要な食品イノベーションを整理した政策文書「Top emerging UK food innovations: 2025-2035(英国の注目の食品イノベーション)」を公表した。

対象には、精密発酵およびバイオマス発酵、細胞性食品、食用昆虫、環境制御型農業、植物分子農業、ガス発酵、3Dフードプリンティング、リバースフード製造、自然界に存在しないタンパク質の9分野が含まれた。

特に、精密発酵・バイオマス発酵・細胞性食品・食用昆虫などは、「影響が大きく、短期的に実現可能な技術で、早急なガイダンスや枠組みが必要」とされる5年以内の短期対応分野に分類された。

今回の文書は、個別技術の商用的成功や市場認可の可能性を判断するものではなく、イギリスの食品規制がどのように適用されるかを説明している。市場投入では、関連する規制プロセスに基づいて製品ごとに審査される。

FSAとFSSは、これらの技術を市場への近さや規制対応の必要性、食料システムへの影響に応じて3段階に分類した。

出典:PARIMA

最も近い「Tier 1(0〜5年)」には、精密発酵、バイオマス発酵、細胞農業、環境制御型農業、食用昆虫が含まれた。Tier 1は、イギリス市場ですでに使われている、または規制当局が積極的に関与している技術とされる。

このうち精密発酵について、FSA/FSSは、「酵素や保存料で数十年にわたる安全な使用実績がある確立された技術であり、拡張性が高く、より新しく複雑な機能性成分の生産に応用される」技術だと位置づけた。

またバイオマス発酵については、イギリスで数十年にわたり販売されているマイコプロテインを例に挙げ、ほとんどの製品は新規食品には該当しないが、一部は新規食品の対象となるとした。

培養肉などの細胞性食品については、倫理面やサステナビリティ面での期待がある一方、消費者の不安やスケールアップの課題により、市場準備度はまだ低いと指摘した。その一方で、規制要件を満たし、安全な使用が実証されれば、「タンパク質のサプライチェーンを変革する可能性がある」とした。

5〜10年を想定する「Tier 2」には植物分子農業とガス発酵が含まれた。10年以上先を見据えた「Tier 3」には、3Dフードプリンティング、リバースフード製造、自然界に存在しないタンパク質が分類された。リバースフード製造は、食品副産物から栄養素を取り出し、新しい原料に変換する技術と定義されている。

英当局は、Tier3の技術の事業拡大は、今後10年以上にわたり、安全性やサプライチェーンの健全性を実証できるかによるとしている。

イギリスにおける新規食品の審査状況

出典:Solar Foods

イギリスでは昨年、細胞性食品に関する初の安全性ガイダンスが公表され、今年3月には、精密発酵でも初の安全性ガイダンスが公表されるなど、市場投入に向けた枠組みの整備が進む。

今回の政策文書は、2025〜2035年にイギリス市場で重要になりうる食品イノベーションを横断的に整理し、特に短期的に実現しうる技術として、精密発酵・バイオマス発酵・細胞性食品を改めて位置付けたものといえる。

イギリスでは昨年より、細胞性食品を対象とした2年間の規制サンドボックスプログラムが実施されており、Hoxton Farms、BlueNalu、Mosa Meat、Gourmey、Vital Meat、Roslin Technologies、Uncommon Bio、Vowの8社が参加している(社名は当時)。

The Advisory Committee on Novel Foods and Processes (ACNFP:新規食品およびプロセスの諮問委員会)の会議資料からは、イギリスでは現在、精密発酵・バイオマス発酵・細胞性食品の個別審査が進行していることが確認できる。

2026年2月の会議資料からは、細胞性食品ではアヒルバイオマス(RP2241)および鶏バイオマス(RP2218)の2件、バイオマス発酵ではThe Protein BreweryのFermotein(RP1215)やソーラーフーズのSolein(RP1326)、精密発酵ではパーフェクトデイが2022年に申請した精密発酵由来β-ラクトグロブリン(RP1571)の審査が進められていることが確認できる。

昨年3月に始動したサンドボックスでは、今後2年間で2件の細胞性食品について安全性審査を完了するとされていた。ACNFP会議資料から、その2件は、参画企業の中で鶏とアヒルを開発するPARIMA(GourmeyがVital Meatを買収して設立された企業)である可能性が高い。

 

※本記事は、「Top emerging UK food innovations: 2025-2035」をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

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アイキャッチ画像はFoovo(佐藤あゆみ)撮影

 

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