スイスのフードテック企業Planetaryが、インドでのマイコプロテイン生産に向けた事業化を進めている。
同社は10月19日、インドの製糖企業Dhampur Bio Organics(DBO)と、インドでのマイコプロテイン製造に関する独占的な技術ライセンス契約を締結した。
DBOが証券取引所に提出した開示資料で明らかになった。
両社は今年1月、協業に向けて拘束力のない条件書を締結した。Planetaryは今年4月のプレスリリースで、インドなどのショ糖が豊富でタンパク質が不足している地域で、農業関連企業と連携し、1kgあたり1ドル未満でマイコプロテインを生産することを目指すと述べていた。
提携先のDBOは、1日に2,000トンの精製糖の生産能力を持つインドの製糖企業。今回の正式契約により、両社の関係は協業を模索する段階から、現地生産に向けて前進した。
Planetaryは農業関連会社、特に製糖会社への技術ライセンスを戦略の中心に置き、低価値の副産物を高付加価値のタンパク質、食物繊維などに変換することで、循環型の生産モデル構築を目指している。

出典:Planetary
契約によると、DBOが製造設備の建設と運営を担当し、マイコプロテインや関連製品の製造・供給も行う。Planetaryは技術提供と製品の引き取りを担う。両社はさらに、マイコプロテインの販売と製品の引き取りを行う合弁会社の設立に向け、合弁契約を締結する予定だ(PDF ii項/以下、該当箇所のみ記載)。
契約期間は10年間で、双方が合意すれば5年単位で更新できる(vii項)。DBOはPlanetaryに、契約で定義された税引き後収入の10%をライセンス料として四半期ごとに支払うとしている(Vi項)。
ただし、生産規模や稼働開始時期など、製造に関する具体的な内容は今回の資料では示されていない。製品の販売・引き取りに関する契約や、インドでの合弁会社設立の契約も今後締結する予定となる。
DBOは開示資料の最後で次のように述べ、今回の取り組みが、製糖会社の原料を活かした新たな収益源につなげることに期待を示している。
「マイコプロテイン製品の生産に用いられる技術は、当社の既存事業とシナジーがあり、砂糖や糖蜜をマイコプロテイン生産の原料として活用することで、川下分野への事業展開につながります。この事業に参入することで、当社は新たな収益源を開拓し、収益性の向上を図ることができます」(x項)
Planetaryは今年4月、約44億円を調達したと発表。スイスではすでにマイコプロテインの工業規模の生産を実施しており、昨年にはスペインの菌糸体スタートアップLibre Foodsの資産を買収し、200ヶ所を超えるスイス小売でマイコプロテイン使用の代替チキン製品(下記写真)を販売した。

出典:Planetary
副産物を活用するマイコプロテインの事業化は他社でも進む。
フィンランドのEniferは飲料・食品工場で生じる液体副産物を活用した食品・ペットフード向けのマイコプロテインを開発している。今年9月にはフィンランドの新工場で試運転を開始。今月には同社のマイコプロテインを使用したペットフードが欧州市場で発売された。
国内では、ノルウェーのNorwegian Myceliumの日本法人NoMy Japanが、砂糖の製造工程で生じる副産物の活用で、ニッテン(旧称日本甜菜製糖)と提携している。
筑波大学発スタートアップの麹ラボも、酒粕や焼酎粕を培地に利用したマイコプロテイン「麹肉」を開発しており、2025年6月には都内で試食会を開催した。
※本記事は、契約に関する開示資料をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンク・注記を付与しています。
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