アップサイクル

スイスのPlanetaryが約44億円調達|製糖会社向けライセンスでマイコプロテイン事業の拡大へ

出典:Planetary

スイスのフードテック企業Planetaryは先月、シリーズAで1600万スイスフラン(約32億円)、融資枠で600万スイスフラン(約12億円)を確保し、合計2200万スイスフラン(約44億円)を調達したと発表した調達総額は3200万スイスフラン(約64億円)となった。

2025年の発酵タンパク質企業への投資額が前年比で約50%近く縮小した中、Planetaryは新たな調達を実現した。同社は調達した資金で、発酵インフラおよびライセンス事業の拡大を図る。

2021年創業のPlanetaryは、独自の発酵・AIプラットフォーム「BioBlocks」を基盤に、精密発酵、バイオベース素材、マイコプロテイン事業を展開している。

プレスリリースによると、同社は農業関連会社、特に製糖会社への技術ライセンス供与を戦略の中心に据えている。低価値の副産物を高付加価値のタンパク質、食物繊維、酵素に変換することで、循環型の生産モデル構築を目指している。

特に、インドなどのショ糖が豊富でタンパク質が不足している地域で、農業関連企業と連携し、1kgあたり1ドル未満でのマイコプロテイン生産を目指している。

この構想に向け、今年初頭にはインドの大手製糖企業Dhampur Bio OrganicsDBO)との協業を模索していることが報じられた。AgFunder報道によると、PlanetaryのBioBlocksをDBOにライセンス供与し、サトウキビ加工拠点の隣接地でマイコプロテインを生産する可能性を検討しているという。

同社はすでにスイス・アーベルク(Aarberg)にマイコプロテイン工場を有しており、工業規模の生産を実施している。

出典:Planetary

昨年にはスペインの菌糸体スタートアップLibre Foodsの中核資産を買収し、同社の知的財産・ブランドを取得した。その後、スイスのディスカウント系大手スーパーALDI SUISSEが、Planetaryのマイコプロテインを使用した代替チキン製品をスイス国内242店舗で販売開始した

同様の動きは他社でも確認される。

フィンランドのEniferはブラジルのエタノール大手FSと組み、バイオエタノールの発酵残液を原料として、飼料向けマイコプロテインを生産する計画を進めている

中米ではグアテマラの製糖大手Magdalenaが、製糖工場に隣接する65万リットル規模の精密発酵施設を計画している。

国内では、NoMy Japanが2024年4月、砂糖の製造工程で発生する副産物の活用を目指して日本甜菜製糖(2026年10月より社名はニッテンに変更)との戦略的提携を発表した。

Planetary自身も、糖産業との連携を以前から進めてきた。

2024年には、欧州大手の甜菜糖協同組合Royal CosunがPlanetaryに出資した。Cosunは糖や関連副産物を持つ企業であり、PlanetaryはBioBlocksをライセンス供与し、Cosunの原料を高付加価値のマイコプロテイン原料へ転換する構想を示していた

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Planetary

 

関連記事

  1. イスラエルの培養肉企業Believer Meats、アブダビでの…
  2. Esco Aster、2025年までにシンガポールに新たな培養肉…
  3. Doehlerが代替パーム油を生産する英Clean Food G…
  4. 培養肉の法整備を目指す議員連盟が発足、年内に試食実現のための提言…
  5. オーストラリアの代替肉企業v2foodが微細藻類由来のヘム様成分…
  6. アサヒ、日本初の酵母由来ミルク「LIKE MILK」を発売|海外…
  7. 牛を使わずにモッツアレラチーズを開発する米New Culture…
  8. オレオゲルで代替脂肪を開発するGavan Technologie…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

培養油脂のPeace of Meatと英ENOUGH、マイコプロテインを使った培養ハイブリッド肉の開発で提携

イスラエルの培養肉企業MeaTechは19日、傘下の培養油脂を開発するベルギーの…

ユニリーバ、代替肉ブランドThe Vegetarian Butcherを売却へ|背景に見える“事業の選別”

Foovo(佐藤)撮影 オランダにて 2024年10月食品・日用品大手のユニリーバは20日、傘下…

米The EVERY Company、代替肉への精密発酵タンパク質使用で南米の加工食品大手Grupo Nutresaと提携

精密発酵で卵白タンパク質を開発するThe EVERY Companyは今月、南米…

伝統的なチーズ製法で植物チーズを開発するデンマーク企業FÆRM

デンマークのフードテック企業FÆRMは、伝統的なチーズ製造プロセスと酵素の力で、…

培養脂肪を開発するMission Barnsが約26億円を調達、パイロット工場の建設へ

シリコンバレーを拠点とする細胞農業スタートアップのMission Barnsがシ…

食品原料大手のADM、The EVERY Companyの精密発酵卵白タンパク質「OvoPro」を2027年から米国で商用生産

出典:The EVERY Companyカリフォルニア州を拠点とする精密発酵スタートアップのTh…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

細胞性食品(細胞培養食品)レポート販売開始

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

代替カカオレポート・好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

PAGE TOP